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イチロー「毎日カレーを食べてる」は風評被害!? トヨタ社長×小谷真生子とトーク

イチロー「毎日カレーを食べてる」は風評被害!? トヨタ社長×小谷真生子とトーク

J-WAVEでは1月13日(日)に特別番組『DJ MORIZO HANDLE THE MIC SPECIAL-ここだけの話-』(ナビゲーター:DJ MORIZO・遠近由美子)をオンエア。シアトルマリナーズ・イチロー選手とフリーアナウンサー・小谷真生子さんをゲストに迎えた鼎談の様子をお届けしました。


■「DJ MORIZO」の由来

「DJ MORIZO」ことトヨタ自動車社長・豊田章男さん。社長でありながら、「マスタードライバー(テストドライバーの頂点)」として、“車の味付け”を行う、大の車好きです。「MORIZO」という名前は、豊田さんの国際C級ライセンスに登録されているドライバー名。この名前にした理由を、次のように明かしました。

MORIZO:今だと、トヨタ自動車の社長である豊田章男がハンドルを握ってることに対して、何の批判もなく応援いただいてますが、以前は「何をやってるんだ」と批判ばかりだったんです。それでニュルの24時間レース(「ニュルブルクリンク24時間レース」)とかに出たら、もっとすごいんだろうなということで、自分自身を隠すために「MORIZO」という名前を使ったのが原点です。
遠近:なぜ「MORIZO」なんですか?
MORIZO:なんでもよかったんですけど、「愛知万博(愛・地球博)」のメインキャラクターの名前が「モリゾーとキッコロ」だったので、その名前をちょっとお借りしました。今では万博協会のお許しをいただいてます。あるときから、MORIZOと豊田章男が共存しはじめ、今はどちらかというとMORIZOが豊田章男の素の部分を引き出してくれる役割になってると思います。


■カレーは「毎日」食べているわけではない

オンエアでは、DJ MORIZO、イチロー選手、『ワールド ビジネス サテライト』(テレビ東京)のキャスターを務めていた小谷真生子さんが鼎談。3人は日ごろから付き合いがあり、カジュアルな雰囲気で話がスタート。まずは、「イチロー選手といえばカレー」という話題からです。

イチロー:「毎日カレーを食べてる」って風評被害です。いまだに言われるんですよ。
MORIZO:ルーティンじゃないんですか?
イチロー:それって家にいるときの話なんです。半分はロードだから365日のうちの81日です。これを“毎日”と言われ続けてるんですよ。
MORIZO:シアトルにいるときは毎日でしょ?
イチロー:デーゲームの朝で、ものすごく早いときは、ないときもありましたけど、ほぼ毎日でした。だから、その細かい説明が必要なんです。
MORIZO:81日でも家にいるときはそれしか食べないというのは、普通じゃないですよ。
イチロー:それを“毎日”と定義してもいいんですか?
MORIZO:毎日です。
小谷:カレーを食べて、あれだけアスリートとして一流をキープするというのは、最初に聞いたときに、つながるような、つながらないような。だってアスリートだと、もっとタンパク質と野菜と、バランスをものすごく考えて、それがルーティンというのならわかるんです。カレーライスと聞いて、一瞬拍子抜けしたんです。
イチロー:それはよく言われます。僕は好きなものを食べて、好きなものを飲む生活を基本的には送っているんです。食生活が細かく計算されていて、それを長年続けていると思われがちなんですけど、そこのストレスを溜めたくないので、好きなものを食べてるんです。
MORIZO:たとえば、神戸に行くと牛タンでしょ。
イチロー:オフの間はそうです。週6回です。月曜日は定休日なので。
MORIZO:そうすると、気候、年齢、環境、趣味嗜好、体調とか変わりません?
イチロー:体調を知るためにも、毎日同じものを食べ続けるとか、やり続けることが大事だと考えてます。
MORIZO:なるほど。
イチロー:毎日違うものを食べていると、自分の体の問題よりも「これは食べたものに原因があるかな」って思いがちなんです。
MORIZO:それは理解できる。僕は会社でマスタードライバーと言われていて、年始の車の乗りはじめは、同じ道、同じ車なんです。だから、雪の上で以前の「スープラ」を1年の最初に乗る車にしてたんです。「自分の腕の筋力が落ちてきたな」とか「ここの反応スピードが悪くなった」とか、大体わかります。そうすると、自分の健康状態とか車の状態とか、自分のセンサーを基準に戻すみたいな。そういうことかな。イチローさんは、僕が普通に生活していることを解説してくれるんです。
小谷:ずっとおっしゃってますね。私も章男社長を拝見していて、感性で、勘で動くんだけど、イチローさんが解説できちゃうんです。たぶん、同じような感性を持ってらっしゃるんだと思います。
イチロー:本当ですか。
MORIZO:僕が野球選手だったら大成してたかな。
イチロー:それはわからないですけど(笑)、ものの考え方はパフォーマンスにつながりますから、章男社長の話でいえばバットがそれにあたります。僕は26年同じバットなんです。少し軽くなったりはあるんですけど、同じバランスの同じ形のバットを使い続けていて、これを同じにしておかないと、さっきと同じ話で、自分の感覚がおかしいのかどうかっていう測りがもてないんです。「結果が出ないな」って思ったときにバットを変えてしまうと、これも全部バットの責任になってしまうんです。
MORIZO:なるほど。やっぱり体自体がセンサーなんでしょうね。
イチロー:センサーにしておきたいんです。


■車が個性のない量産品になるのは嫌だ

イチローさんからDJ MORIZOへの質問から、「新しい技術」の話題に移りました。

イチロー:次の未来は、自動運転の世界に踏み込んでいくじゃないですか。これと車を操る楽しさは、相反する動きに見えるんですけど、自動運転の中で車に接する喜びって何になるんでしょうか?
MORIZO:自動運転が単なる移動手段となったときに、車そのものが移動手段となります。数ある工業製品の中で、車は“愛車”って言われるでしょ。それが、普通のコモディティ(商品)となり、移動手段となり、車からいつのまにか愛が消えたというものにはしたくない、というのが唯一のこだわりです。ただ、自動運転ができることによって、全ての方に移動の自由があるという意味では、自動運転にはものすごく意味があるんじゃないかと思います。以前は、自動運転の車がニュルの24時間レースでドライバー・MORIZOに勝ったなら、自動運転を信じるっていうことをよく言ってました。でもあれは、パラリンピックの選手と出会うことによって、ちょっと間違っていたと思いましたね。パラリンピックの人が乗る車は、車椅子が入るような車って勝手に思ってました。しかし彼ら彼女らに訊きますと、「われわれはスポーツカーに乗りたい」「かっこいい車に乗りたい」と。
小谷:なるほど。
MORIZO:ブラインドランナーにも「私も運転したい」と言われて、そういう方々に対して、移動の自由を与えているかというと、まだなんですよ。自動運転というものにアクセルを踏みました。今まではトヨタらしさを取り戻す、今は未来のモビリティを作り上げていく戦いに変わってきたような気がします。それが特に2018年に始まったのではないかなと。シェアリングみたいに、所有から使用に変わっていくんだと思います。ホテルに泊まったときに、タオルは毎回、新品があるわけではないでしょ。でも歯ブラシがタオルのように「綺麗に洗濯してあります」って汎用品が置いてあったら嫌ですよね。その違いがあると思うんです。だから、歯ブラシみたいになる車と、タオルみたいな車があるんじゃないのかなと。
小谷:タオルはみんなで使ってますからね。“マイタオル”じゃないですもんね。
MORIZO:その違いは一体何なのでしょうと。
小谷:いい例えですね。
MORIZO:答えはありませんけどね。そうすると、歯ブラシみたいな車の内装はどうあるべきか。タオルみたいな車の内装はこうあってほしいとか、絶対あるはずです。

ここで、会話の中に出てきた「コモディティになる」という表現に関して、MORIZOさんの思いを訊きしました。

MORIZO:車が個性のない量産品になるのは嫌だなと思ってるんです。うちも大衆車メーカーとしてスタートしたので、普及してこそいい安全技術、いい環境技術があると思うんです。でもその中にも、個性にはこだわっていくからこそ“愛車”といってもらえるブランドメーカーになれるんじゃないかと思っています。ですから、自分たち“車出身の自動運転勝負師たち”は、そういうものにこだわるべきじゃないかという意味で、コモディティにはしたくないという言い方をしております。


■2030年の車はどうなっている?

電気自動車と燃料電池自動車。ズバリ2030年にはどちらの比率が国内で多くなるのでしょうか。

MORIZO:われわれは、燃料電池と電気自動車を含め、ほかにもプラグインハイブリットとか、ハイブリッド車を総称して「電動車」といっています。電動車全体の比率が、日本は世界で2番目に普及している先進国です。1番はノルウェーです。3番目はグンと比率が下がってほかの国。日本が電動車の先進国であるということは、日本のみなさんはけっこうご存じないんです。

また、「電気自動車と燃料自動車は、自動車会社が車を作れば済むというものではなく、インフラとのセットなんです」とDJ MORIZO。

MORIZO:電気自動車だったら電気の充電ステーション、燃料電池であれば、水素のステーションが街のいたるところにできないと難しいと思います。2030年は、正直に言うとどっちになるかわかりません。ただし、今、ひとつだけ言えるのは、電気自動車の場合の充電時間と、燃料電池車の充電時間では、燃料電池車の充電時間のほうが、今のガソリン車に非常に近いです。電気自動車だと、フル充電するのに8時間とか、ひと晩かかるんです。ちょこちょこ乗る場合は電気自動車がいいと思いますけど、今のガソリン車と同じような使い方をされる方にとっては燃料電池車でしょう。でも、これはメーカーがとやかく言うことではなく、お客様と市場が最後に決めていくものだと思います。

そのほか、鼎談では2019年の予想話も展開されました。MORIZOさん、イチローさん、小谷真生子さんの鼎談の模様は、トヨタ自動車のサイトの「トヨタイムズ」でも観ることができます。

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【番組情報】
番組名:『DJ MORIZO HANDLE THE MIC SPECIAL-ここだけの話-』
放送日時:1月13日(日)22時-22時54分

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