尾崎世界観、「MCバトル」に着想を得て小説を執筆…新作『犬も食わない』を語る

J-WAVEで放送中の番組『SPARK』(月曜担当ナビゲーター:尾崎世界観<クリープハイプ>)。11月5日(月)のオンエアでは、10月31日に発売された尾崎と千早茜さんの共著『犬も食わない』について語りました。


■男女両方の視点から毎回ケンカをする恋愛小説

これは新潮社の文芸誌『yom yom』の連載をまとめた小説。2016年にアルバム『世界観』が出たあとのツアーで大阪にいるときに打ち合わせをしたそうで、そのことを思い返す尾崎。

尾崎:2日目のライブが終わったあと、打ち上げで飲み過ぎて、ものすごい二日酔いで打ち合わせに行きましたね。ホテルのラウンジ……オシャレな所を取ってもらったんですけど。いろんなアフタヌーンティーセットとかあったんですけど、食べ物を見るのが気持ち悪くて。ずっと首を斜めにして打ち合わせしてましたね。「二日酔いだからダメだ」と思われたくなくて、すごい頑張って打ち合わせしました。

そのときに「男女両方の視点から毎回ケンカをする」というコンセプトを決めたのだとか。当時MCバトルにハマっていたことから、そういうことが本の中でできないかと着想を得たそう。

尾崎:でもただ傷つけ合うケンカではなくて、ちゃんとお互いが深く結びついていくためのものになればいいなと思って。毎回、打ち合わせをしながら1話ずつ書いていきました。

先攻・後攻が入れ替わるため、尾崎が先に書くときと千早さんから書くときの2パターンがありました。プロの小説家である千早さんと相対することは、尾崎からするとプレッシャーだったと言います。

尾崎:すごく勉強になりましたね。この連載を通して「小説を書いていく」ということをけっこう学びました。前までは好き勝手に、自分の気持ちを歌詞を書くように書いていたので、「こんなの小説か?」と言われることもあったし。それが、これをやりながら「確かにそうかもな」と思いましたね。歌詞を書くということは「人に伝える」というか、「人に理解してもらうこと」だと最近思いました。自分で出したものを人が歩み寄って拾い集めてくれる……散らかしたものを拾ってくれるというか。小説っていうのは全部キレイにまとめて、キレイな状態で包装して相手の家まで届けて「もらってくれませんか」って、それくらい丁寧な作業なんじゃないかなと思って。文章を書くうえでちゃんと「そこまで届けなきゃいけない」という気持ちで書いてみました。……まあまだ全然足りないと思いますけど、昔に比べたらちょっとそういうことができたんじゃないかなと思いますね。それもやっぱり相手(千早さん)があってこその経験でした。

連載をしているときは「どうなるんだろう」と迷いがあったものの、書籍になってしっくりきたそうです。

尾崎:自分がバンドを通して歌っていることとすごくつながってるような作品ができたんじゃないかなと思いますね。「だから何?」って言われるような作品が、自分はやっぱり好きなんですね。

自分自身、何気ない作品が好きだと言う尾崎は、「こんななんでもない感情が作品として世の中に出て、それにお金を払って時間を割いて、それを受け取って『いいな』と思う人が少なからずいるということに安心して救われてきた」と語ります。

尾崎:ただ生活してるだけで作品になるってことは、自分もいつか世の中に出て行ける可能性があるんじゃないかと思ったりしたので。別に「世に出たい」「何かを表現したい」っていう人だけに向けてるわけじゃないですけど、そういう気持ちになってほしいですね。普通に生活してるんだけど、そういう生活に誇りを持てるような……そういう小説になったんじゃないかなと思います。

最後に「しゃべりましたね。しゃべったけど、大事なことは全然しゃべれてない気がしますね」と結んでいました。「ちょっとずつ1話ずつで読みやすいんじゃないかなと思います」と尾崎も薦める『犬も食わない』。手に取ってみてはいかがでしょうか?

この日の放送では他にも、話し終わったあとに「J-WAVE NEWSさん、ここ拾わないでくださいね」と付け加える、ラジオならではの“ここだけ”トークが……radikoでチェックしてみてください。

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【番組情報】
番組名:『SPARK』
放送日時:月・火・水・木曜 24時-25時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/spark/

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