J-WAVEがいま注目するさまざまなトピックをお届けする日曜夜の番組「J-WAVE SELECTION」。毎月第3日曜は、震災復興プログラム「Hitachi Systems HEART TO HEART」(ナビゲーター:重松 清)をお届けしています。6月17日(日)のオンエアでは、映画監督の行定 勲さんがゲストに登場。震災と復興について一緒に考えました。
■熊本地震発生時、現地では…
熊本県出身の行定さんは、熊本地震発生後の熊本を舞台に、傷付いた街並みや風景、復興しようと頑張っている人々の姿を記録した映画『うつくしいひと サバ?』を手がけています。
行定さんは2016年4月14日に発生した熊本地震のなかで最も大きな揺れのひとつとなった2回目の、4月16日の地震を現地で体験しました。
重松:そのときはどのような気持ちでしたか?
行定:のちに本震って呼ばれるんですけど、そのときは余震だと思ったんですよね。すごく長かったんですが、余震だという頭があるから「こんなにも揺れ戻しがあるんだ」っていう、何が何だかわからない状態で一晩を過ごしました。
重松:地震発生時は熊本のホテルにいたんですよね?
行定:そうです、ホテルの10階にいました。地震発生直後に停電になって、窓の外の暗闇の先に熊本城が見えるはずなのに、暗くなっていてわからないんですよ。ただ、そこに白い噴煙が立ち上っていて。のちのちわかるんですけど、熊本城の石垣が崩れ落ちて、その土煙が上がっていたんです。土煙が暗闇のなかでも目視できるくらいだったので、非常に大きな地震だったんだなと思います。
熊本地震発生から2年。この期間について「とても早く感じる」と行定さん。
行定:熊本の人の気質は、ネガティブっていうよりはカッコつけたい人たちなので、とにかくポジティブに「起こったことは、しょうがない。前に行くしかないね」って言っている人たちが多かったです。でも内情としてはそれぞれ経済的に厳しい部分があって、だけど表側はそれだけの勢いで「前に向かわなくてはいけない」って気持ちがすごくあるから、街が活気を取り戻すのは早かったんですよね。その意味では復興の途上に立っている見えない部分を僕らはずっと考えてきたので、それが何なのかってことを風化しないように発言して、熊本を少しでも応援してもらえたらと思う2年間でした。
行定さんが監督した映画『うつくしいひと サバ?』は、地震発生前の熊本を舞台にした映画『うつくしいひと』の続編という位置付けで制作されました。
重松:『うつくしいひと』には地震の前の美しい熊本城が残されていて、『うつくしいひと サバ?』では地震で傷ついてしまった熊本城がありました。映画を後世に残す意味って大きいですよね。
行定:普通は何十年もかかって朽ちてしまったりなくなってしまったりを実感するものだと思うんですよね。まさか自分が撮った半年後にその風景がなくなるなんていう経験ってないんですよ。そういう意味では僕が震災当日に熊本にいたことも含めて、映画の神様がいるとしたら、(熊本に)いさせられたんだろうと思います。
重松:神様が、見ておけと。
行定:そうですね。だからこの20年の僕のひとつのテーマは、熊本の復興とともに作品を作り続けていき、作品集を出していくことです。それによって熊本県の人たちの印象に残っていき、語り継いでくれる人がひとりでもいればうれしいなと思っています。
■くまモン、マスコットキャラクターを超えた活躍
今回、重松は熊本市に訪れ、熊本県副知事・小野泰輔さんに熊本地震と熊本県のゆるキャラ・くまモンについてお話を伺いました。
地震発生後、くまモンは活動を自粛していました。しかし、熊本県民からの待ち望む声に後押しされ、地震から約20日後の2016年5月5日、こどもの日に活動を再開。
小野:こどもの日にくまモンに、「なんとか元気で頑張っていますよ」という意味を込めて出てきてもらいました。被災地を勇気づけることもしましたし、今は、全国から多くの支援をいただきましたので、支援をしていただいた場所をくまモンが訪れています。
重松:お礼行脚ですね。
小野:そうですね。被災者のみなさんがお礼の手紙を書いたりとか、そういうことでももちろんお礼はできるんですけど、くまモンがいたことで、よりお礼が伝わりやすくなったと思います。また新たに被災地と支援する側の絆がより子どもたちも含めて親しみやすく進められたのかなと思います。くまモンは単なるゆるキャラや九州新幹線のキャンペーンマスコットを超えて、熊本が頑張り続ける、そして支援していただくことの感謝のシンボルとして頑張ってもらっています。
小野さんの話を聞いて、行定さんは以下のように話しました。
行定:震災が起こってくまモンが活動を自粛していたことは知ってたんですけど、「くまモンは避難所とかに行くべきだよ」と。僕は東日本大震災が起こったときも映画人たちとボランティア活動で何度も被災地に足を運ばせていただきました。そのときの実感として、「今どうしても身動きがとれないなか、どうしたらいいかな」って考えている一瞬を、特に音楽の人たちなどある種の娯楽が、心を溶かしてくれるんですよね。それに関してくまモンはうってつけだろうと。子どもたちはとにかく不安だったものを一掃できるだろうと思いましたし、僕はくまモンがいるんだから出動するべきだよって思いました。
番組では他にも、熊本城の被害と復興の様子や、地域経済の中心だった大学が無くなった南阿蘇村など、重松の取材をもとに行定さんと考えました。ぜひ、radikoでお聴きください。
6月2日(土)に行定さんが監督した映画『うつくしいひと』『うつくしいひと サバ?』のBlu-ray&DVDが発売されました。売上の一部は熊本復興のために寄付されるそうです。こちらもぜひチェックしてみてください。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:『Hitachi Systems HEART TO HEART』
放送日時:毎月第3日曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/special/hearttoheart/
■熊本地震発生時、現地では…
熊本県出身の行定さんは、熊本地震発生後の熊本を舞台に、傷付いた街並みや風景、復興しようと頑張っている人々の姿を記録した映画『うつくしいひと サバ?』を手がけています。
行定さんは2016年4月14日に発生した熊本地震のなかで最も大きな揺れのひとつとなった2回目の、4月16日の地震を現地で体験しました。
重松:そのときはどのような気持ちでしたか?
行定:のちに本震って呼ばれるんですけど、そのときは余震だと思ったんですよね。すごく長かったんですが、余震だという頭があるから「こんなにも揺れ戻しがあるんだ」っていう、何が何だかわからない状態で一晩を過ごしました。
重松:地震発生時は熊本のホテルにいたんですよね?
行定:そうです、ホテルの10階にいました。地震発生直後に停電になって、窓の外の暗闇の先に熊本城が見えるはずなのに、暗くなっていてわからないんですよ。ただ、そこに白い噴煙が立ち上っていて。のちのちわかるんですけど、熊本城の石垣が崩れ落ちて、その土煙が上がっていたんです。土煙が暗闇のなかでも目視できるくらいだったので、非常に大きな地震だったんだなと思います。
熊本地震発生から2年。この期間について「とても早く感じる」と行定さん。
行定:熊本の人の気質は、ネガティブっていうよりはカッコつけたい人たちなので、とにかくポジティブに「起こったことは、しょうがない。前に行くしかないね」って言っている人たちが多かったです。でも内情としてはそれぞれ経済的に厳しい部分があって、だけど表側はそれだけの勢いで「前に向かわなくてはいけない」って気持ちがすごくあるから、街が活気を取り戻すのは早かったんですよね。その意味では復興の途上に立っている見えない部分を僕らはずっと考えてきたので、それが何なのかってことを風化しないように発言して、熊本を少しでも応援してもらえたらと思う2年間でした。
行定さんが監督した映画『うつくしいひと サバ?』は、地震発生前の熊本を舞台にした映画『うつくしいひと』の続編という位置付けで制作されました。
重松:『うつくしいひと』には地震の前の美しい熊本城が残されていて、『うつくしいひと サバ?』では地震で傷ついてしまった熊本城がありました。映画を後世に残す意味って大きいですよね。
行定:普通は何十年もかかって朽ちてしまったりなくなってしまったりを実感するものだと思うんですよね。まさか自分が撮った半年後にその風景がなくなるなんていう経験ってないんですよ。そういう意味では僕が震災当日に熊本にいたことも含めて、映画の神様がいるとしたら、(熊本に)いさせられたんだろうと思います。
重松:神様が、見ておけと。
行定:そうですね。だからこの20年の僕のひとつのテーマは、熊本の復興とともに作品を作り続けていき、作品集を出していくことです。それによって熊本県の人たちの印象に残っていき、語り継いでくれる人がひとりでもいればうれしいなと思っています。
■くまモン、マスコットキャラクターを超えた活躍
今回、重松は熊本市に訪れ、熊本県副知事・小野泰輔さんに熊本地震と熊本県のゆるキャラ・くまモンについてお話を伺いました。
地震発生後、くまモンは活動を自粛していました。しかし、熊本県民からの待ち望む声に後押しされ、地震から約20日後の2016年5月5日、こどもの日に活動を再開。
小野:こどもの日にくまモンに、「なんとか元気で頑張っていますよ」という意味を込めて出てきてもらいました。被災地を勇気づけることもしましたし、今は、全国から多くの支援をいただきましたので、支援をしていただいた場所をくまモンが訪れています。
重松:お礼行脚ですね。
小野:そうですね。被災者のみなさんがお礼の手紙を書いたりとか、そういうことでももちろんお礼はできるんですけど、くまモンがいたことで、よりお礼が伝わりやすくなったと思います。また新たに被災地と支援する側の絆がより子どもたちも含めて親しみやすく進められたのかなと思います。くまモンは単なるゆるキャラや九州新幹線のキャンペーンマスコットを超えて、熊本が頑張り続ける、そして支援していただくことの感謝のシンボルとして頑張ってもらっています。
小野さんの話を聞いて、行定さんは以下のように話しました。
行定:震災が起こってくまモンが活動を自粛していたことは知ってたんですけど、「くまモンは避難所とかに行くべきだよ」と。僕は東日本大震災が起こったときも映画人たちとボランティア活動で何度も被災地に足を運ばせていただきました。そのときの実感として、「今どうしても身動きがとれないなか、どうしたらいいかな」って考えている一瞬を、特に音楽の人たちなどある種の娯楽が、心を溶かしてくれるんですよね。それに関してくまモンはうってつけだろうと。子どもたちはとにかく不安だったものを一掃できるだろうと思いましたし、僕はくまモンがいるんだから出動するべきだよって思いました。
番組では他にも、熊本城の被害と復興の様子や、地域経済の中心だった大学が無くなった南阿蘇村など、重松の取材をもとに行定さんと考えました。ぜひ、radikoでお聴きください。
6月2日(土)に行定さんが監督した映画『うつくしいひと』『うつくしいひと サバ?』のBlu-ray&DVDが発売されました。売上の一部は熊本復興のために寄付されるそうです。こちらもぜひチェックしてみてください。
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【番組情報】
番組名:『Hitachi Systems HEART TO HEART』
放送日時:毎月第3日曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/special/hearttoheart/