弁護士に対する身に覚えのない懲戒請求が急増…その理由とは?

J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。5月28日(月)のオンエアでは、月曜日のニュース・スーパーバイザー、津田大介が登場。「弁護士に対する不当な大量懲戒請求」をテーマに、当事者の一人である弁護士の嶋﨑 量さんをお迎えしてお話を伺いました。

身に覚えのない弁護士に対する懲戒請求が集団で大量に申し立てられる事例が去年から増えています。日本弁護士連合会によると、その数はおよそ13万件。発端となったのは匿名のブログ「余命三年時事日記」で、朝鮮学校への補助金交付などを求める各弁護士会の声明に反発しているほか、懲戒請求のテンプレートも配っていました。

こうしたなか、被害を受けた弁護士たちは懲戒請求者を相手取り慰謝料を求める訴訟を起こすと発表。弁護士への組織的な懲戒請求は一体どんな人たちがやっているのでしょうか?

懲戒請求がマスメディアで注目を集めたのは、橋下 徹さんが1999年に起きた光市母子殺害事件の弁護を務めた弁護団に対して懲戒請求をメディアで呼びかけたことで、さまざまな人たちが「そんな制度があるのか」と知ると共に、大量の懲戒請求が申し立てられるきっかけになったといいます。

津田:本来、弁護士に対する懲戒請求は弁護士法や弁護士会のルールに違反した弁護士に対しておこなわれるもので、弁護士会のある種のローカルルールのようなものですよね。
嶋﨑:その通りです。弁護士の場合は役所が監督しているわけではないので、弁護士会内部で弁護士の資格を奪えるくらい大きな処分をする権限を持っています。

懲戒制度は弁護士同士だけではなく、一般の国民であれば誰でも懲戒請求をすることができるとのこと。

津田:嶋﨑さんには何がきっかけで、どのくらいの懲戒請求がどのくらい届いたのでしょうか?
嶋﨑:いま私が把握している限りで591件です。ただ、機械的に組織的にやられているので、他の同じ被害者をみると960件まで伸びています。私もすでに謝罪の申し入れをしているのに請求に名前のない方がいるから、もうちょっといるんだろうなと思います。
津田:つまり、弁護士会のなかでもそれだけ懲戒請求が大量にきていると、それを1件ずつ事務的に手続きしなくちゃいけないから時間がかかるので、もっと増える可能性があるとうことですね。
嶋﨑:そうですね。こういう本来の趣旨に反したものを普通に処理すると弁護士会もものすごいコストがかかるので、これを軽減したりする運用をそれぞれの弁護士会で変えています。

一体、どのような理由から嶋﨑さんに591件にもおよぶ懲戒請求が届いたのでしょうか?

元々は、嶋﨑さんも個人的に親しい弁護士の佐々木 亮さんが所属する東京弁護士会が出した朝鮮学校の補助金関連の声明を理由に、佐々木さんが懲戒請求をされました。しかし、その声明と佐々木さんが直接的に関係があったわけではなかったので、嶋﨑さんが「なぜ佐々木さんが懲戒請求をされているのかわからない。ひどい話だ」とツイートしたことで自分に懲戒請求が飛び火したのではないか、と嶋﨑さんは推測します。

大量の懲戒請求については、各弁護士会で対応が協議されています。嶋﨑さんの弁護士会は、事件は受け付け名簿もきちんと把握しつつ、明白に理由がないので、一律に懲戒にしないという結論を出したそうです。

嶋﨑:弁護士業務の被害に遭われている方が実際にいるし、そこをちゃんと機能しようにも、こんなわけのわからない懲戒請求がたくさん届くと弁護士会の本来の業務ができなくなります。本来の懲戒制度を利用したい方にとっても有害なので、これをなんとかしなきゃと内部でいろいろと議論されています。

最後に、問題の発端になった匿名ブログ「余命三年時事日記」に対して、嶋﨑さんはどのような対応を考えているかを伺いました。

嶋﨑:匿名のブログなので名前が分からないので、段階を追って外堀を埋めることが必要だと思っています。ただ、このブログであおられた方も責任を取ってもらうけれど、あおった方への法的責任をしっかり取るということが最終目的です。

弁護士に対する身に覚えのない懲戒請求、今後の動向にも注目です。

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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

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