J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー『ZOJIRUSHI MORNING INSIGHT』。4月17日(火)のオンエアでは、進化する未来の医療に注目しました。
ゲストに登場したのは、ICT(Information and Communications Technology)医療を牽引する東京慈恵会医科大学 先端医療情報技術研究講座 准教授の高尾洋之さん。同講座は、「最先端の技術を医療にどのように使うか研究している部署で、ICT、ビッグデータ、AI、ロボットの活用などが挙げられます」とのこと。高尾さんは、脳神経外科が専門です。
慈恵医大は、医療従事者向けにスマートフォンを3600台導入し、院内のフリーWi-Fiも完備して、院内の医師同士のコミュニケーションを円滑にする試みをしています。ICTを使った医療については、日本でも4月から大きな変化がありました。
高尾:遠隔診療・オンライン診療が解禁され、医師が患者さんを、PCやスマホを通して診ることが可能になりました。ただ、初診は駄目だったり、定期的に病院に行かなければならなかったりと、制度はあります。また、患者さんを診ないで処方や診療してはいけないという法律があるので、そこが少しグレーなゾーンなのですけど、ガイドラインを作って棲み分けをして、4月1日からできるようになりました。日本はこれからますます高齢社会なので、患者さんが病院に行くのも大変です。歩くのが難しい患者さんが、病院に来なくてもPCやスマホで診療できるという世界観はものすごく便利なものになると思います。
ソフトウエアやアプリも、保険対象となる動きも進んでいます。単体のソフトウエアで初めて保険適用となったのが、高尾さんたちが開発した医療関係者向けのアプリ「Join」です。
高尾:医師と医師をつなぐソフトで、言ってみれば、決まった人しか使えないクローズなLINEです。見た目はLINEとほとんど一緒で、違うところはCTの画像も全てのスライスを見れたり、手術室と繋がったり、モニターが見えたり、医師が知りたいけどセキュリティを高くしなければならない情報がリアルタイムでみれます。どの病院にも専門医がいるとは限らないので、専門の医師同士が訊きたいことがリアルタイムで訊けるようになったのが大きいです。たとえば脳梗塞などは時間が勝負で、できるだけ早く治療することが重要です。専門の医師が早く診断して早い段階で治療方法を決め、治療にとりかかることが必要になります。
すでに「Join」を利用した医療関係者からも様々な声が寄せられているそうです。
高尾:「24時間365日働かせるのか」と医師には怒られますけど(笑)、ただ一回入ってしまうと医師たちも安心感があったり便利なのは事実なので、コミュニケーションツールとして手放せなくなっています。
高尾さんは昨年『鉄腕アトムのような医師 AIとスマホが変える日本の医療』という本を出版しました。未来にAI医師は存在・実現するのでしょうか。
高尾:AI医師は存在していくと思います。ただ現状は、あくまで健康な人と病気の人の違いを見つけて、病気をより早くみつけるところがAI医師がやれることで、最終的な診断は生身の人間がすると。遠い未来なら全ての診断をしてくれるAI医師が出てくるかもしれませんね。医者といっても人間なので、間違いもするし見過ごしたりもしますが、AI医師によって軽減されるのではないかと期待されています。
その他にもPHR(Personal Health Record)という、患者さんのスマホなどにCTや採血などの医療情報を返す試みも注目です。患者自身が医療情報を持ち歩くことで、出張中や出先で他の病院にかかった場合でも情報を提供することが可能です。またPHRなどによって蓄積された健康な人の情報をたくさん持つことで、病気の人との違いをAIが理解し、病気を予測することも可能になるかもしれません。
高尾さんは著書で「未来の医療をよくするのはあなたです」と言っています。「患者さんひとりひとりが、ICTで健康をよくしたり維持したり、病気の人が病気をよくする意識が高まらないと、ソフトも広まりません。最終的にはひとりひとりが『健康になりたい』という気持ちでソフトを使うことが大事です」と話していました。
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【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/tmr/
ゲストに登場したのは、ICT(Information and Communications Technology)医療を牽引する東京慈恵会医科大学 先端医療情報技術研究講座 准教授の高尾洋之さん。同講座は、「最先端の技術を医療にどのように使うか研究している部署で、ICT、ビッグデータ、AI、ロボットの活用などが挙げられます」とのこと。高尾さんは、脳神経外科が専門です。
慈恵医大は、医療従事者向けにスマートフォンを3600台導入し、院内のフリーWi-Fiも完備して、院内の医師同士のコミュニケーションを円滑にする試みをしています。ICTを使った医療については、日本でも4月から大きな変化がありました。
高尾:遠隔診療・オンライン診療が解禁され、医師が患者さんを、PCやスマホを通して診ることが可能になりました。ただ、初診は駄目だったり、定期的に病院に行かなければならなかったりと、制度はあります。また、患者さんを診ないで処方や診療してはいけないという法律があるので、そこが少しグレーなゾーンなのですけど、ガイドラインを作って棲み分けをして、4月1日からできるようになりました。日本はこれからますます高齢社会なので、患者さんが病院に行くのも大変です。歩くのが難しい患者さんが、病院に来なくてもPCやスマホで診療できるという世界観はものすごく便利なものになると思います。
ソフトウエアやアプリも、保険対象となる動きも進んでいます。単体のソフトウエアで初めて保険適用となったのが、高尾さんたちが開発した医療関係者向けのアプリ「Join」です。
高尾:医師と医師をつなぐソフトで、言ってみれば、決まった人しか使えないクローズなLINEです。見た目はLINEとほとんど一緒で、違うところはCTの画像も全てのスライスを見れたり、手術室と繋がったり、モニターが見えたり、医師が知りたいけどセキュリティを高くしなければならない情報がリアルタイムでみれます。どの病院にも専門医がいるとは限らないので、専門の医師同士が訊きたいことがリアルタイムで訊けるようになったのが大きいです。たとえば脳梗塞などは時間が勝負で、できるだけ早く治療することが重要です。専門の医師が早く診断して早い段階で治療方法を決め、治療にとりかかることが必要になります。
すでに「Join」を利用した医療関係者からも様々な声が寄せられているそうです。
高尾:「24時間365日働かせるのか」と医師には怒られますけど(笑)、ただ一回入ってしまうと医師たちも安心感があったり便利なのは事実なので、コミュニケーションツールとして手放せなくなっています。
高尾さんは昨年『鉄腕アトムのような医師 AIとスマホが変える日本の医療』という本を出版しました。未来にAI医師は存在・実現するのでしょうか。
高尾:AI医師は存在していくと思います。ただ現状は、あくまで健康な人と病気の人の違いを見つけて、病気をより早くみつけるところがAI医師がやれることで、最終的な診断は生身の人間がすると。遠い未来なら全ての診断をしてくれるAI医師が出てくるかもしれませんね。医者といっても人間なので、間違いもするし見過ごしたりもしますが、AI医師によって軽減されるのではないかと期待されています。
その他にもPHR(Personal Health Record)という、患者さんのスマホなどにCTや採血などの医療情報を返す試みも注目です。患者自身が医療情報を持ち歩くことで、出張中や出先で他の病院にかかった場合でも情報を提供することが可能です。またPHRなどによって蓄積された健康な人の情報をたくさん持つことで、病気の人との違いをAIが理解し、病気を予測することも可能になるかもしれません。
高尾さんは著書で「未来の医療をよくするのはあなたです」と言っています。「患者さんひとりひとりが、ICTで健康をよくしたり維持したり、病気の人が病気をよくする意識が高まらないと、ソフトも広まりません。最終的にはひとりひとりが『健康になりたい』という気持ちでソフトを使うことが大事です」と話していました。
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番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/tmr/