「Made in Japan」ではなく「Made with Japan」とは?

J-WAVEで放送中の「~JK RADIO~TOKYO UNITED」(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」。1月5日(金)のオンエアでは、クリエイティブディレクター戸村亜紀さんが進めるプロジェクト「Made with Japan」に注目しました。

「Made in Japan」ではなく「Made with Japan」。これまで「Made in Japanを世界へ」という課題を預かってきた戸村さんは、ある問題を抱えていたと言います。

「素材から人まで全てMade in Japanとなると、高額になってしまったり、実際は塗りの部分だけ、ネームだけ日本でつけている、というような嘘が出てしまうことがある。そういうものを否定はしないけど、よりよい形がないか探していたんです。その時に、単語を『in』から『with』に変えることで、世界が広がるんじゃないかと思いまして」(戸村さん 以下同)

戸村さんは2016年に訪れたラトビアで、木工や上質なリネンなどの手仕事と出会います。当時、戸村さんは日本で漆をどう売っていくか、職人やメーカーから相談を受けていたそう。「ラトビア木地に漆を塗ってみたらどうか?」と思いたち、ラトビアの木工品を持ち帰ったのだとか。1年間自宅で使い込んでみると、やはり日本の風土だとカビてしまったり、カサカサになってしまったそう。そこで“ラトビアの木工品に日本の漆でコーティングをする”ことで上手くいくのでは?と考えたのだとか。

戸村さんが選んだのは福井県鯖江市の職人さん。木で出来た大きなスプーンの内側を綺麗に漆で塗ったり、ヘラの先の部分を漆で塗ったり…。ラトビアの木工品と鯖江の漆のコラボレーションが始まりました。

実は戸村さんがラトビアの木工と日本の漆をつなぐプロジェクトを始めた背景には、もうひとつ理由がありました。ラトビアでは現在、木の器などはほとんど使われなくなっていますが、確かな木工の技術を持っています。一方の日本の漆も、使う人が減っています。この状況が似た2つを組み合わせることが、大きなポイントでした。

「目指しているのは時間とか労働価値のフェアトレード。これまでは、お金でしか解決できていないんです。Made with Japanのコンセプトの柱は『労働や時間のフェアトレードを国を越えてやってみたい』というところなんです。消費で解決できると思いがちですが、環境問題も人間の世界観の問題だと思うので、まずはそのことを知ること。労働と時間のフェアトレードができれば、もっとゆるやかな未来像が描けるんじゃないでしょうか。」

遠く離れたラトビアの木工品と、福井・鯖江の漆の技。職人の仕事・時間が、木の上で重なり合うことで、未来へのヒントが動きはじめました。

この記事の放送回をradikoで聴く
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:「~JK RADIO~TOKYO UNITED」
放送日時:毎週金曜 6時-11時30分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/

関連記事