「鎮魂ではなく希望を」 被災地でのアートフェス

J-WAVEがいま注目するさまざまなトピックをお届けする日曜夜の番組「J-WAVE SELECTION」。毎月第3日曜は、東日本大震災の被災地を訪れ、復興の現状をお伝えする「Hitachi Systems HEART TO HEART」(ナビゲーター:姜尚中)をお届けしています。

10月15日(日)のオンエアでは、2017年夏、石巻市を中心に行われた「Reborn-Art Festival 2017」で、アートのキュレーションを担当されたワタリウム美術館CEOの和多利浩一さんをお迎えしました。

和多利さんは2ヵ月近くの長期にわたって開催されたこのイベントを振り返り、「『よく開催できたな』というのが正直な感想です。多くのアート作品を外に展示したんですけど、この夏は雨が続いたり台風も来たりと天候がひどかったので、作品をいかにキープできるかという課題や、来ていただく方への安全に気を配るという課題がありました。どちらもクリアできてホッとしています」と振り返りました。

現在、町おこしのために全国各地で芸術祭が行われていますが、その成功例として和多利さんは「瀬戸内国際芸術祭」を挙げました。

「瀬戸内国際芸術祭によって、過疎化が進んでいた場所の人口や、来場者は爆発的に増えました。また、アートの質の高さにおいても非常に素晴らしいんですよね。やっぱり文化は質が重要なので、いい作品を提供することで、作品に触れた人の目が肥えたり、思想や考えが深くなったりすると思うんです」(和多利さん、以下同)

瀬戸内国際芸術祭を成功例に、和多利さんは「Reborn-Art Festival 2017」を開催する上で、いろいろなジャンルの“質の高いもの”を提供したいと考えたそうです。そして、アートのテーマについての話になりました。

「開催地の石巻市には復興という痛みがすごくありますが、僕はアーティストが被災地において鎮魂をメインのテーマにすることを封印しました。鎮魂もいいけど、その先に希望がないものはNGとしたんです。今の石巻に必要なのは希望なので、希望や楽しさがある作品制作をアーティストにはお願いしました」

「Reborn-Art Festival」はすでに、2年後の2019年に2回目の開催が決まっているそうです。今回のフェスを終えて、和多利さんに次回開催の課題について伺いました。

「フェスを開催するにあたって、僕たちは渾身の1球を投げたので、これから次回に向けて、石巻の住民や市役所の方と何度か意見の交流会を行いたいと思います。例えば、『ああいうフェスだったら、次回はこんなのをやりたいんだけどどうかな?』といった意見があれば、『それだったら、こういうアーティストがいて』と具体的な話が生まれるので、まずはお互い意見のキャッチボールをやっていきたいですね」

希望や楽しさをテーマにアート作品を展開した「Reborn-Art Festival 2017」。次回の開催も今から楽しみですね。

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【番組情報】
番組名:「Hitachi Systems HEART TO HEART」
放送日時:毎月第3日曜日22時-22時54分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/special/hearttoheart/

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