世界の演出家がスロベニアで受けたカルチャーショック

J-WAVEで放送中の番組「ANA WORLD AIR CURRENT」(ナビゲーター:葉加瀬太郎)。6月24日(土)のオンエアでは、演出家・劇作家のウォーリー木下さんをゲストにお迎えし、演劇の国際共同制作のために訪れた、スロベニアについて語ってくれました。

木下さんは、神戸大学在学中に「劇団☆世界一団」を結成。のちに劇団名を「sunday」と改名し、全作品の作・演出を担当することになります。また、映像や音楽を取り入れ、セリフを一切使わないノンバーバルパフォーマンス集団「ORIGINAL TEMPO」の演出・プロデュースで海外でも高い評価を獲得、演劇祭やフェスティバルディレクターのほか、2.5次元ミュージカル「ハイキュー!!」シリーズの演出・共同脚本を務めるなど、活躍の幅を広げています。

世界を舞台に活動する木下さん。彼が深く印象に残ったと言う国は、スロベニア。現地の人たちと2年間にわたり、共同で演劇を制作していたのですが、日本人とは違う彼らの演劇観に強いカルチャーショックを受けたそう。

木下さんいわく、「一旦全部やれるだけやって、出すだけ出そう。クオリティなんてどうでもいいから、考えられるアイデアを全部出そう!」というのが彼らの演劇の作り方なのだとか。最初のうちは共に和気あいあいと演劇制作に臨んでいたようですが、「積み重ね」という概念が薄く、毎日違ったことをやり続ける彼らに対して、次第に日本人役者の目が冷たくなり、木下さんも「一体、いつ完成するんだろう…?」と途方に暮れていたそうです。喧嘩が絶えなかった当時を木下さんは、「いやー、喧嘩ばかりすると英語って上手くなりますね(笑)」と振り返っていました。

とはいえ、スロベニアの人たちから演劇に対する熱い思いも強く感じたという木下さん。時と共に彼らとの溝も埋まり、完成した舞台も現地で大好評だったようです。木下さんはこの国際交流を通して「一つの反省として、僕らは自分たちの『でき上がり』をすごく気にしている。彼らは作る過程の方が大事。『過程を楽しまないでどうするんだよ!』という精神で、僕にもそれはすごく分かるし、今でもずっと感覚として残っている」と明かしてくれました。

そんなスロベニアの中で、木下さんは、「リビアナ」をお気に入りの場所として挙げ、その町並みを「中世のヨーロッパの古い町並みで、川が流れてて、そこを散歩しているのが一番楽しかったです」と解説してくれました。特に印象に残ったのはマルシェに置かれていた「牛乳の自動販売機」だそう。ビンを先に買ってそこに牛乳が注がれる仕組みなのですが、木下さんは最初使い方がわからず、現地の親切な人に教えてもらったとか。去り際に「この牛乳は新鮮なんだよ! 何故なら中に牛が一頭入っているからね(笑)」と陽気なジョークを飛ばすその親切な人について、とても愉快そうに話す木下さんでした。

このほかにも、木下さんが演劇をはじめたきっかけや、公演を間近に控えた「手塚治虫生誕90周年記念 Amazing Performance W3」のお話など、今回も盛りだくさんの1時間となりました!

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【番組情報】
番組名:「ANA WORLD AIR CURRENT」
放送日時:毎週土曜 19時-19時54分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/worldaircurrent/

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