映画監督石井裕也、最新作は詩集がもとに?

J-WAVEで放送中の番組「RADIO DONUTS」(ナビゲーター:渡辺祐・山田玲奈)のワンコーナー「TOKYO GAS LIFE IS A GIFT」。5月13日(土)のオンエアでは、最新作「夜空はいつでも最高密度の青色だ」が公開された映画監督の石井裕也さんにお話を伺いました。

まずは、現在33歳の石井さんが「映画を撮るうえで常に大切にしていること」について語ってもらいました。

「世代なのかわからないですけど『人生はキツイ』というか『生きづらい』『いいことなんて起こるはずがない』という気分をずっと抱えてるんですよ、幼少期から。そういう気分を映画にしてもしょうがないので、それを大前提にしたうえで、希望というと嘘くさいんですけど…光明とか、兆しのようなものを、少しでも見せる。ないならないで拵える。ちょっとでも前向きなものにしなければという気持ちはあって、せっかく映画監督なのでやらなければと常々思ってます」(石井さん、以下同)

こう話す石井さんは、自主制作映画で数々の賞を取り、2010年に商業映画デビューしますが、さらに2013年の「舟を編む」で第37回日本アカデミー賞最優秀作品賞や最優秀監督賞を獲得し、現在、国内外で注目されています。最新作「夜空はいつでも最高密度の青色だ」は、詩集をもとに映像化した作品です。東京を舞台に、都会に生きる若者のむなしさや孤独、恋愛について描いています。そんな新作に対する思いを再び監督にお聞きました。

「詩集なので、ストーリーもなければ登場人物もいない中で、詩を読んで僕の心がくすぐられる部分があって。詩は人のよって受け取り方や解釈も違うしそうあるべきなので、なぜ僕が心をくすぐられたのか? 感激したのか? の由来を探って、自分の感性や感覚を掘り下げていくことで、おのずと感性が試された映画でしたね。論理的に読解するという方法もあったんでしょうけど、詩の面白さからはかけ離れていく気がしたので、なるべく考えないように、無邪気に、一筆書で脚本を書きました」と詩集を映像化する過程を明かしました。

最後に、映画の舞台にもなった東京の街についてもお聞きしました。「人混みの中で感じる息苦しさや不安、むなしさを表現するために、新宿東口や渋谷センター街などで敢えて撮影しました。人に対して優しくない街であることは間違いなくあって、でもたまに優しいフリをする。好きなんですよね、素敵だなと思ってるから嫌いというか愛憎を感じますよね」と石井さん。「東京という街はテーマがなくて。すごく人でなしな表情をしている街で、僕は嫌いになれない、嫌いですけどね…」と複雑な思いを語っていました。

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【番組情報】
番組名:「RADIO DONUTS」
放送日時:毎週土曜 8時-12時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/radiodonuts/

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