J-WAVEの日曜深夜0時からの番組「RADIO SAKAMOTO」。坂本龍一のナビゲートで2カ月に1度お送りしていますが、7月3日のオンエアでは、坂本が音楽を担当した映画「怒り」の制作秘話を紹介しました。
9月公開の映画「怒り」は、吉田修一さん原作の同名小説を、渡辺謙さん主演で映画化した作品です。森山未來さん、松山ケンイチさん、綾野剛さん、宮崎あおいさんなど豪華な俳優陣が顔をそろえます。
監督は「フラガール」や「悪人」で受賞歴もある李相日さんです。今回、坂本が「怒り」の音楽を担当することになったのは、李さんたっての希望だったそうです。
「この仕事を引き受けた理由は、李さんからやってほしいということで、ニューヨークにわざわざ来ていただいてですね。お会いして、志の高い、気骨のある方だなと思って。李さんの映画は、いくつかは過去に観たことがありますし、僕の長い友人の1人である村上龍の『69 sixty nine』という、とてもユーモラスな小説を映画化をした監督でもありますので、親近感は持っていたんですけど。まあ、親近感を持っていたからといって、そう簡単に引き受けるわけではないんですけど(笑)。まあ、なんでしょうね。勘ですかね、この人だったらやっていいかなという」
しかし、この仕事を引き受けるにあたり、坂本には気がかりなことがあったと言います。
「僕が『今度、李さんの音楽をやることになったよ』と親しい関係者に言うとですね、異口同音に『ああ、李さんは難しい』とか『大変ですよ』とか、そういう風に言われたんですよ」
しかし、実際に仕事をしてみると坂本も「とても気骨のある監督」と評するほど仕事に対して真面目な人だったそうです。
「たしかに、まあ、大変は大変。というのも、なかなか満足しないんですよね。『もうちょっとこうなんないか』って何度も注文してくるんですけども、それはね、当たり前ですね。いい作品を作ろうと思っている人ならば。それをしない方がおかしいわけで。そんなに大変だとは僕は思わなくて、むしろ、しつこいくらいで好感を持てました」
そして、番組では、李さんからのメッセージをお届けしました。当時、坂本とは主にメールでやりとりをしていたそうですが、先日見直してみるとその数は50通以上あり「自分でも、相当これはしつこいな」と思ったそうです(笑)。
「文面を見ながら、それに対して坂本さんがほんとにこう…粘り強く受け止めていただいてる様子がですね、赤裸々にメールにありまして(笑)。作業が快調な時は、坂本さんは絵文字も入っていたりするので、今はいいんだな、いい曲ができたんだな、と想像しながら(笑)。やっぱりその文章ですけど、かなりこう、伝えきりたいところは全て伝えきっているし、坂本さんも多分、いろんなことを飲み込んで取捨選択して、返していただいている、その誠実さは非常に強く伝わってきました」(李さん)
坂本にとっては「レヴェナント: 蘇えりし者」(2015年)以来の映画音楽になります。その点について李さんは「レヴェナントよりも、ご自分の中では前進している作品という事をおしゃっていたのが、非常にうれしくもあり、冷汗も出て、印象に残っている」と語りました。
「李さんが題材として一番描きたかったのは、人間の不信と信頼みたいな、そこから愛の形っていうのかな、そういうものは可能なのかというところに重きがあったようで。僕という作曲家は…あんまり上手いとは思えないんですよね。でも僕なりに、試行錯誤しながら作って、ダメ出し2度3度とされたんですけどね(笑)。でね、ひとつのテーマ、モチーフで、たとえば最初それが“不信”として聴こえてきて、後半になるにつれて“信頼”に転じていくとかですね、そのような事を要求されたんです」と坂本。
そして、「俳優さんたちの演技がいいんですよ。渡辺謙さん、宮崎あおいさん、妻夫木くん……なんていうのかな、自分をさらけ出したような演技をしているように、僕は感じますけども。ぜひ、映画館、劇場で観ていただけたらと思います」とも。
これは9月17日(土)からの公開が楽しみですね♪
【関連サイト】
「RADIO SAKAMOTO」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/radiosakamoto/
ダンサー田中泯 坂本龍一と「身体」をテーマに哲学談義(2016年05月02日)
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2016/05/post-1498.html
「レヴェナント」の音楽を担当した坂本龍一 「監督からのリクエストが膨大だった」(2016年04月26日)
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2016/04/post-1459.html
9月公開の映画「怒り」は、吉田修一さん原作の同名小説を、渡辺謙さん主演で映画化した作品です。森山未來さん、松山ケンイチさん、綾野剛さん、宮崎あおいさんなど豪華な俳優陣が顔をそろえます。
監督は「フラガール」や「悪人」で受賞歴もある李相日さんです。今回、坂本が「怒り」の音楽を担当することになったのは、李さんたっての希望だったそうです。
「この仕事を引き受けた理由は、李さんからやってほしいということで、ニューヨークにわざわざ来ていただいてですね。お会いして、志の高い、気骨のある方だなと思って。李さんの映画は、いくつかは過去に観たことがありますし、僕の長い友人の1人である村上龍の『69 sixty nine』という、とてもユーモラスな小説を映画化をした監督でもありますので、親近感は持っていたんですけど。まあ、親近感を持っていたからといって、そう簡単に引き受けるわけではないんですけど(笑)。まあ、なんでしょうね。勘ですかね、この人だったらやっていいかなという」
しかし、この仕事を引き受けるにあたり、坂本には気がかりなことがあったと言います。
「僕が『今度、李さんの音楽をやることになったよ』と親しい関係者に言うとですね、異口同音に『ああ、李さんは難しい』とか『大変ですよ』とか、そういう風に言われたんですよ」
しかし、実際に仕事をしてみると坂本も「とても気骨のある監督」と評するほど仕事に対して真面目な人だったそうです。
「たしかに、まあ、大変は大変。というのも、なかなか満足しないんですよね。『もうちょっとこうなんないか』って何度も注文してくるんですけども、それはね、当たり前ですね。いい作品を作ろうと思っている人ならば。それをしない方がおかしいわけで。そんなに大変だとは僕は思わなくて、むしろ、しつこいくらいで好感を持てました」
そして、番組では、李さんからのメッセージをお届けしました。当時、坂本とは主にメールでやりとりをしていたそうですが、先日見直してみるとその数は50通以上あり「自分でも、相当これはしつこいな」と思ったそうです(笑)。
「文面を見ながら、それに対して坂本さんがほんとにこう…粘り強く受け止めていただいてる様子がですね、赤裸々にメールにありまして(笑)。作業が快調な時は、坂本さんは絵文字も入っていたりするので、今はいいんだな、いい曲ができたんだな、と想像しながら(笑)。やっぱりその文章ですけど、かなりこう、伝えきりたいところは全て伝えきっているし、坂本さんも多分、いろんなことを飲み込んで取捨選択して、返していただいている、その誠実さは非常に強く伝わってきました」(李さん)
坂本にとっては「レヴェナント: 蘇えりし者」(2015年)以来の映画音楽になります。その点について李さんは「レヴェナントよりも、ご自分の中では前進している作品という事をおしゃっていたのが、非常にうれしくもあり、冷汗も出て、印象に残っている」と語りました。
「李さんが題材として一番描きたかったのは、人間の不信と信頼みたいな、そこから愛の形っていうのかな、そういうものは可能なのかというところに重きがあったようで。僕という作曲家は…あんまり上手いとは思えないんですよね。でも僕なりに、試行錯誤しながら作って、ダメ出し2度3度とされたんですけどね(笑)。でね、ひとつのテーマ、モチーフで、たとえば最初それが“不信”として聴こえてきて、後半になるにつれて“信頼”に転じていくとかですね、そのような事を要求されたんです」と坂本。
そして、「俳優さんたちの演技がいいんですよ。渡辺謙さん、宮崎あおいさん、妻夫木くん……なんていうのかな、自分をさらけ出したような演技をしているように、僕は感じますけども。ぜひ、映画館、劇場で観ていただけたらと思います」とも。
これは9月17日(土)からの公開が楽しみですね♪
【関連サイト】
「RADIO SAKAMOTO」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/radiosakamoto/
ダンサー田中泯 坂本龍一と「身体」をテーマに哲学談義(2016年05月02日)
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2016/05/post-1498.html
「レヴェナント」の音楽を担当した坂本龍一 「監督からのリクエストが膨大だった」(2016年04月26日)
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2016/04/post-1459.html