ファンなら必食! 「ホットケーキのコカコーラがけ」

J-WAVE月曜-木曜の11時30分からの番組「BEAT PLANET」(ナビゲーター:サッシャ)のワンコーナー「HILLS AGENCY」。5月25日(水)のオンエアでは、東京・練馬区のちひろ美術館で開催されている企画展「村上春樹とイラストレーター ―佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸―」にフォーカス。ちひろ美術館の原島恵さんにお話をうかがいました。

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原島:国内外に多くのファンを持つ小説家の村上春樹の作品は、これまでもその文章だけではなくて、小説の舞台となっている場所や、作品に出てくる音楽など、小説の世界を構成するさまざまな要素が取り上げられて、その魅力が語られてきました。

今回の展覧会では文章とイラストレーションの関係に焦点をあて、村上春樹と4人のイラストレーター、佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸との共作を約200点ご紹介します。

――村上作品を彩ってきたイラストレーションと文学の相互関係にスポットを当てた企画展ということなのですが、村上さんの作品と4人の方はどういう関係性なのでしょうか。

原島:今回展示をする4人のイラストレーターは、いずれも第一線で活躍をしている日本を代表するイラストレーターたちです。いずれも、村上春樹本人の希望で共作が実現しています。村上春樹は、作品の視覚的な要素や本そのものの“物”としての手触りのようなものも非常に重要視していることが分かります。イラストレーターとの共作は、小説・エッセイ・翻訳・絵本などさまざまなジャンルに及んでいるのですが、その成り立ちを見ていくと文章が先に書かれているもの、また絵が先に描かれていてそこからインスピレーションを得て文章が書かれているもの、別々につくった絵と文章を構成したものとさまざまな経緯から生まれていることに気がつきます。

――村上春樹さんの希望で、コラボが実現しているんですね。続いては4人のイラストレーターの作品の特徴についてうかがいます。

原島:デビュー作『風の歌を聴け』をはじめとする小説の表紙は佐々木マキが、村上春樹の小説を読み込んで、深い洞察のもとに小説の世界観を表現しています。また『村上ラジオ』というエッセイ集は、大橋歩が銅版画のイラストレーションで共作をしているんですけれども、文章も絵もエッセイなので克明に記述や描写をするのではなくて、文章の行間であったり、絵の余白が響き合って読者の想像力を誘っています。

そして和田誠との共作『ポートレイト・イン・ジャズ』などでは音楽をテーマにした作品となっているんですけれども、村上も和田も共に非常にジャズに造詣が深くて、もともとは和田誠が自分の個展でジャズマンの肖像を描いた作品を展示したことがきっかけ。友人でもあった村上がこれらの作品を見て「これなら文章が書ける」と言って実現した作品で、まさにジャズのセッションのようにしてつくられています。

最後に、村上と最も多く共作をしているイラストレーターが安西水丸です。水丸さんは惜しくも2014年に亡くなってしまったんですけれども、1980年代前半から水丸さんが亡くなられるまで「村上朝日堂」と銘打って数々の作品を一緒につくってきました。書籍として1番最初に共作をしたのは『象工場のハッピーエンド』という作品なんですけど、これは村上の短編と、安西のイラストレーションを構成させて画文集ともいえるような作品で、実は文章も絵も別々につくられたものを構成しているんです。ですが、全体として2人の洒脱で、都会的な作品が響き合って、今見てもその新鮮さというのが全く失われていません。

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展示されている『風の歌を聴け』と『1973年のピンボール』の絵は、かつて村上春樹さんが東京の千駄ヶ谷で経営していたジャズバーにも飾られていたことがあるものだそうです。いずれも展覧会では今回が初公開、これは大変貴重な機会ですね!

また、ちひろ美術館のカフェでは期間限定メニューとして『風の歌を聴け』に登場する、主人公「僕」の相棒・鼠の好物の「ホットケーキのコカコーラがけ」を提供しています。村上春樹ファンにとっては“必食”の一品です♪

今回紹介した企画展「村上春樹とイラストレーター、佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸」は8月7日まで、練馬区のちひろ美術館で開催しています。

【関連サイト】
「BEAT PLANET」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/beatplanet/

装丁家 村上春樹の装丁で「変なお腹の痛さ」(2013年10月19日)
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2013/10/post-561.html

水道水を炭酸水に変えるマシンが上陸「これで自家製コーラが作れる」(2011年12月21日) http://pod.j-wave.co.jp/blog/news/2011/12/post-29.html

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