「謎の一言」から生まれた本屋大賞『羊と鋼の森』

J-WAVE金曜夕方の番組「GOLD RUSH」(ナビゲーター:渡部建)のワンコーナー「TSUTAYA ENTER-MINUTES」。4月15日のオンエアでは「2016年 本屋大賞」を受賞した『羊と鋼の森』(宮下奈都•著)の担当編集者、文藝春秋の篠原一朗さんに話を伺いました。

「2016年 本屋大賞」は今月12日に発表されたばかり。『羊と鋼の森』は昨年9月に初版6,500部で発売され、小説としては少ない方ではないのですが、「本屋大賞」にノミネートされたことで10万部になり、「本屋大賞」を受賞したことがきっかけで50万部を超えました。

渡部:まずは、あらすじの紹介をお願いします。

篠原:ピアノの調律に魅せられた一人の青年が、調律師としてさまざまな同僚やお客さんとの出会いを通して、人として成長する姿を描いた長編小説です。

渡部:ピアノの調律師を主人公に選ばれた理由は何だったのでしょう?

篠原:宮下先生ご自身が音楽・ピアノが好きで、毎年来ていた調律師の人が「宮下家のピアノには良い羊がいる」とおっしゃったらしいんです。で、「羊って何だろう?」と思ったら、ピアノについているハンマーがフェルトで作られていて、それのことだったそうなんです。それを聞いた宮下さんが「面白い」と思ったらしく、ピアノの内部に森が広がっている感覚になったらしくて。鋼は弦のフェルトで叩く部分のことなんですけど、その森の中を歩く人になりたいと思われたそうです。

渡部:すごいインスピレーションですね! 『羊と鋼の森』というタイトルがとても印象的ですが、最初から決まってたんでしょうか?

篠原:タイトルありきで始まりました。最初は「このタイトルは何?」と思ったんですけど、漢字が3文字あって字面としても非常に良いと思いました。

渡部:そもそも、作品が支持されている理由はどこにあると思いますか?

篠原:作品が素晴らしいのはもちろんなんですが、先生の人柄も素晴らしくて、書店員さんの皆さんに人気なんです。「本屋大賞」の授賞式の会場では、宮下先生が受賞されて、泣いている方もたくさんいたくらいです。先生は実直でコツコツと真面目に小説を書かれていて、それでいて可愛らしくて華もあるタイプです。

さらに篠原さんは「フレッシャーズや、真面目に働いている方々にも読んでもらえれば」とのことでした。ちなみに、大賞に決まったとの知らせを聞いて、宮下先生は「とにかくこの物語を書き上げられたことが嬉しかった」とのこと。まさに、先生の実直さが現れている感想で、ますますファンが増えそうです。

【関連サイト】
「GOLD RUSH」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/goldrush/

関連記事