アニメ『違国日記』EDテーマは“浮遊感”を言葉でも表現─Bialystocks・甫木元 空が語る制作秘話

Bialystocksの甫木元 空が、新曲制作秘話や、海にまつわるおすすめの映画作品について語った。

甫木元が登場したのは、1月17日(土)放送のJ-WAVE『BLUE IN GREEN』(ナビゲーター:甲斐まりか)のコーナー「SENSE OF ROOM」。音楽、アート、スポーツ、フードといったジャンルを通じて、アーティストの魅力や活動内容、イベント情報、そこから広がるカルチャーを、GREENROOMのセンスを交えて紹介するコーナーだ

グループ初となるアニメエンディング楽曲を制作

Bialystocksでギター/ボーカルを担当する甫木元。多摩美術大学映像演劇学科を卒業しており、映画監督、映像作家としての一面も持つ。

甲斐:甫木元さんが手がけた『BAUS 映画から船出した映画館』が、第39回高崎映画祭で新進監督グランプリを受賞されました。おめでとうございます。

甫木元:ありがとうございます。

映画『BAUS 映画から船出した映画館』予告編

甲斐:映画監督としてこうした賞を受賞されたこと、どんなふうに思われますか?

甫木元:(新進監督グランプリは)新人賞みたいなものなのですが、これまでそうそうたるたる方々が取られた賞です。まだ実感はないですが、新人賞は「これから頑張ってほしい」という未来の伸びしろとしてもらっていると思うので、これからこの賞に恥じないように頑張りたいというのが、率直な気持ちですね。

甲斐:年が始まったばかりのときに、うれしいニュースですね!

甫木元:そうですね、いい1年にしたいと思います。

Bialystocksは、テレビアニメ『違国日記』のエンディングテーマとして書き下ろした新曲『言伝』を1月5日に配信リリース。『違国日記』はヤマシタトモコ原作のマンガ作品で、2024年には新垣結衣主演で実写化もされた。

TVアニメ『違国日記』ノンクレジットエンディング映像| Bialystocks「言伝」

甲斐:『違国日記』は、小説家・高代槙生と、両親を亡くした15歳の姪・田汲 朝が、不器用ながらもともに暮らすことで少しずつ変わっていく日々を静かに映し出すという内容です。エンディングテーマは、どのように作りましたか?

甫木元:我々はアニメのタイアップは初めてなんですけど、ドラマやアニメのように連続するものは、毎回終わり方も違えば、各話で描いていることもまったく変わります。だから、「また気軽に次の回を観たいな」と思える曲になるといいなとは思っています。『違国日記』は、始まりとしては“喪失”みたいなものがあって、「人はみんな違国の住人だし、違う惑星の人たちだけど、衛星のように出会うときもあれば別れるときもある」「生も死も、誰にでも訪れることだよね」という(メッセージがある作品です)。みんなが日常を生きていくなかで凝り固まったイメージから少しだけ目線をずらして、人との距離感を丁寧に淡々と描いているアニメだなと思ったので、「どうにか邪魔にならないように」と(笑)。「どういう言葉を入れるといいのかな」というのは、けっこう悩んだかもしれないですね。

デモ音源の英語の“音”から日本語の歌詞を紡ぐ

甲斐は『言伝』を聴いて「Bialystocksらしい温かさを感じながら、スーっと心に入っていくなとも思いました」と感想を述べた。

甲斐:歌詞がけっこうストレートというか、素直な歌詞が並んでいるように感じましたが、そういうところは意識されたんですか?

甫木元:そうですね。Bialystocksはふたり組なのですが、(メンバーの)菊池(剛)さんがこの曲を持ってきました。菊池さんは、最初に英語で歌っているデモを持ってくるんです。そこに日本語をのせても音として、意味としてのひっかかりがあまりなく、「いい意味でサラっと聴ける曲にするにはどうすればいいんだろう」ということに関して、この曲はかなり細かくやり取りしたほうかもしれないです。

甲斐:なるほど。菊池さんとは、最初からイメージの共有などをされたんですか?

甫木元:毎回、「とりあえずできたものを見せ合ってから話し合う」という感じです。この曲を聴いたときの自分の印象は、“浮遊感”でした。原作でも、人と人との関係性を「違国の住人」と言ったり、星に例えたりしていますが、そういう目線をずらした大きな捉え方というか、「なんてことのない言葉が並んでいるけど、どこか浮遊感がある感じ」をどうやったら出せるのかというのは、マンガを読みながら考えていたことですね。デモの英語の音にはめるために、辞書で調べたら難しい言葉で音がはまるものはありますが、歌を歌っているときには、意味を頭の中で考えるというよりも、音を楽しんで入ってきていると思います。だから、なるべく日常会話で使っている簡単な、自分たちがある程度の速度で話していても意味のキャッチボールができるもので構成したいなというのは、常に思っていることではあります。さらに、最近は「普段、何気なく使い古された言葉を、“組み合わせの妙”だけでどうやったら(いい歌詞が)できるかな」というのも考えてますね。

作品の世界観やメッセージ、エンディングテーマという立ち位置などを考え、完成した『言伝』。甫木元は、「レコーディングが大変でした」と苦労を語る。

甲斐:どんなところが大変でしたか?

甫木元:菊池さんのなかで、歌い方や声のイメージがかなり明確にあって。あまり力を入れずに、あまり口も開けず、座ってだらけながらみたいな感じで軽く歌っているんですけど、そういう設定をしてしまったことで1日で終わらなくて……。

甲斐:そうだったんですか!?

甫木元:そうなんです。それで、2日目は「声が出ません」みたいな(笑)。

甲斐:脱力して歌うことで?

甫木元:そっちのほうが、難しいんですよね。

甲斐:ライブとか(で披露するとなったら)?

甫木元:すごく緊張すると思いますが、頑張ります(笑)。

甲斐:いつか、生で聴けるのを楽しみにしています!

「独特な距離感の海」が描かれた、おすすめ映画

「SENSE OF ROOM」では、海やビーチのライフスタイルやカルチャーに関するトピックも取り上げる。映画監督としての視点も持つ甫木元には、「海の見せ方が素敵」だと感じた映画作品を紹介してもらった。

甫木元:海(の映像)は、作家性がすごく出やすいと思います。怖くも撮れるだろうし、バカンスムービーみたいな楽しい映像も撮れますが、「なんとも言えない感情になる海の撮り方だな」と思ったのは、ロバート・アルトマンという監督が撮った『ロング・グッドバイ』という作品です。探偵もので、いろいろな探偵ものに引用もされた映画で、海に消えて行ってしまう人から事件が始まっていきます。たとえば、観光中に港の海を見るときには、何も考えないじゃないですか。でも地元の人が見たら、荒れている日もあれば穏やかな日もあって、見え方が全然違うと思います。(『ロング・グッドバイ』でも)海をすごく怖く撮ることもできたと思いますが、「海との距離感がすごく独特だな」と感じました。あまり「海映画」という感じではないかもしれませんが、話もシンプルに面白いです。

甲斐:海がけっこう重要なシーンというか、そこから始まると?

甫木元:そうですね。

甲斐:気になったので、観てみたいと思います。

そして、7月15日(水)にはBialystocks初となる日本武道館での単独公演を開催する。

甲斐:初めての武道館公演ですが、どんな1日にしたいですか?

甫木元:来た人もやるほうも「お祭りだったな」と思える1日にできればいいですね。半年後、とにかく7月までは健康に生きたいと思ってます(笑)。

甲斐:7月、楽しみにしております!

Bialystocksの最新情報は公式ホームページまで。

J-WAVE『BLUE IN GREEN』のコーナー「SENSE OF ROOM」では、MUSIC・ART・SPORTS・FOODを通して、アーティストやその活動、イベント、そしてそれらが生み出すカルチャーなどGREENROOMのセンスと重ね合わせたトピックスを紹介する。オンエアは毎週土曜12時55分ごろから。
番組情報
BLUE IN GREEN
毎週土曜
12:00-15:00

関連記事