漫画家・岩浪れんじによるオルタナティブなコミックを実写映画化した『コーポ・ア・コーポ』(11月17日公開)。大阪にある古びたコーポに住む、訳ありの住人たちの人間模様を描いた本作で、フリーターの辰巳ユリを金髪&スカジャン姿で演じたのが、馬場ふみかだ。家族のしがらみから逃れるように町の片隅で生きるユリという一人の女性の諦観をナチュラルに表出し、煌びやかなモデル業界出身とは思えぬ引き出しを自らこじ開けた。実は素に近いというユリへの共感や街馴染みがいいという意外なプライベートの姿まで、馬場が多くを語ってくれた。
普段の私は力の抜けたけだるい雰囲気の人間でもあるので、今回演じたユリちゃんはお仕事モード時の私とはまた違った日常的な私に近いと思います。ユリちゃんが自宅にいるときのダラダラゴロゴロしている姿は自宅での私そのもののような気もします(笑)。自分の話をするよりも聞き役に徹する性格も似ていて、私も人と一対一だと話すことはできますが、人数が増えれば増えるほど喋るのが苦手になるタイプ。大勢の人がいる場では「そうだね~」と聞いていることが多いです。
──馬場さんにはコミュニケーション能力が高いイメージがあるので意外です!
『仮面ライダードライブ』に出演していた18歳の頃は会話が苦手でした。取材の場でもあまり言葉を発せず、共演者である年上のお兄さんたちのお話を「うん、うん」と聞いている感じでした。
──信じられません!
その「うん、うん」モードが少し変わってきたのは二十歳を過ぎてからです。大人になると共演者やスタッフの方々とお酒を飲みながら他愛のない話をするようになるし、お仕事以外でも社会的にも色々な人と関わるタイミングが二十歳を過ぎると多くなったからです。『仮面ライダードライブ』時代は年齢も低かったので喋らずともその場はつくろえましたが、違う現場に行ったら当然自分で喋らないといけないわけで。「自分から喋らないどうにもならないぞ!」と意識を改めたところもあります。プライベートではいまだに人と仲良くなるのに時間がかかるので、交友関係も限られています。いまではこれはこれでいいと自分に言い聞かせて、お仕事のときに色々な人とコミュニケーションが取れればOKと割り切っています(笑)。
仕事とプライベートのオンオフは結構激しいと思います。普段はユリのようなダラダラした歩き方をしますし、外を歩いていても顔バレすることは少ないです。オフ度が高いのかあまりにもボーッと歩いているからなのか、恵比寿や渋谷など人の多い場所でも普通に買い物をしています。街馴染みがいいというのか、その場の風景に溶け込むのがうまいのかもしれません(笑)。
──その溶け込み力の高さは、自転車でユラユラと走る劇中の姿からもわかります!
自転車でユラユラと走る冒頭シーンは、早朝の撮影で季節的にも涼しい風が吹いてきて気持ちが良かったです。最近は乗りませんが、学生時代はバイトに行くときによく自転車に乗っていました。ちなみに私は友だちから「自転車に乗れなさそう」と言われることが多いので、この映画によって「私、自転車に乗れるけど?」とアピールしたいです(笑)。
──自転車のシーンの撮影は大変そうに見えましたが……。
私の前を走るカメラマンさんの自転車が電動だったので、スピードが速くて困りました。急いで走らせないと置いていかれてしまうけれど、必死に漕ぎすぎたらそれはユリのキャラクター性とはかけ離れてしまう。けだるい感じで自転車を漕ぎつつもカメラマンさんから置いていかれないようにする調整が難しかったです。
私も横着な人間ではありますが、寝転がって冷蔵庫のドアを足で開けるということはありません。でも気持ち的にはすごくわかります(笑)。その願望が出たのか、足で冷蔵庫のドアを開けえる動作はアドリブでした。ユリちゃんは横着するところのある子なので、寝転んだ先に冷蔵庫があったら、きっと足で開けるだろうと思ってやってみました。
──馬場さんの金髪姿も新鮮です!
仁同正明監督が大切にされていたのは原作のビジュアルの再現度で、衣装合わせではユリちゃんが劇中で着ていそうな洋服が沢山用意されていました。当然、髪型も原作に合わせる必要があったので、人生初の金髪に挑戦しました。大変だったのは、あえて髪の毛を傷めるという逆ヘアーケアです。あの風貌であのようなアパートに住んでいるのに、髪の毛だけは手が行き届いているようなサラサラではおかしいので、スプレーを使ってあえてガッシガシの髪質にしました。撮影期間は頭皮を痛めつける期間でもありましたが、物語や登場人物にリアリティを与えるためには必要不可欠な作業でした。
──スカジャンにジャージというオフな衣装はこれまでで一番楽だったのではないですか?
衣装もさっと着られるものだけでしたし、メイクもほとんどしていなかったので、準備の時間は最高に楽でした。「毎日これがいい!」と思ったりして(笑)。メイク時間が少ないとその分家で眠れる時間も増えるし、準備が早いと現場に行って共演者の方たちとコミュニケーションを取る時間も増える。カメラが回っていないところでも、劇中の登場人物たちのように皆さんとコーポの廊下や玄関で喋っていたので、その空気感がいい形で映像に切り取られている気がします。
一人暮らしを始めたのは22歳の頃。毎日が楽しくて最高だと思いました。食事も自分の好きなものを食べて、しかも誰からも干渉されないという(笑)。一人暮らしという世界は素晴らしいと感動したのを覚えています。その感動はいまも続いていて、一人暮らしライフはつくづく最高だと思う日々を送っています(笑)。
──J-WAVE NEWSは音楽に力を入れるラジオ局のJ-WAVEが運営しています。そこでお聞きします。馬場さんお気に入りの一曲とは?
いま私が推しているのはグローバルグループのXGです。最新曲『ニューダンス』が大好きで毎朝聴いて、仕事前のテンションとモチベーションを高めています。
デビュー当時からずっと応援していて、歌もラップもダンスもすべてが素晴らしいグループ。定期的にUPされるドキュメンタリー動画も毎回号泣しながら見ています。いまの私の力の源はXG! 一生懸命頑張ってキラキラと輝いている子たちを見ていると、自分も頑張れるような気がする。私にとって、XGはもはや推し活の領域です!
(文=石井隼人、撮影=村松巨規)
作品概要
タイトル:『コーポ・ア・コーポ』
公開日:11月17日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国順次公開
配給:ギグリーボックス
コピーライト:©ジーオーティ/岩浪れんじ
【最新予告】映画『コーポ・ア・コーポ』≪2023年11月17日劇場公開≫
大人になって変化したコミュニケーション能力
──辰巳ユリのダラダラしている感じが妙にリアルでした!普段の私は力の抜けたけだるい雰囲気の人間でもあるので、今回演じたユリちゃんはお仕事モード時の私とはまた違った日常的な私に近いと思います。ユリちゃんが自宅にいるときのダラダラゴロゴロしている姿は自宅での私そのもののような気もします(笑)。自分の話をするよりも聞き役に徹する性格も似ていて、私も人と一対一だと話すことはできますが、人数が増えれば増えるほど喋るのが苦手になるタイプ。大勢の人がいる場では「そうだね~」と聞いていることが多いです。
──馬場さんにはコミュニケーション能力が高いイメージがあるので意外です!
『仮面ライダードライブ』に出演していた18歳の頃は会話が苦手でした。取材の場でもあまり言葉を発せず、共演者である年上のお兄さんたちのお話を「うん、うん」と聞いている感じでした。
──信じられません!
その「うん、うん」モードが少し変わってきたのは二十歳を過ぎてからです。大人になると共演者やスタッフの方々とお酒を飲みながら他愛のない話をするようになるし、お仕事以外でも社会的にも色々な人と関わるタイミングが二十歳を過ぎると多くなったからです。『仮面ライダードライブ』時代は年齢も低かったので喋らずともその場はつくろえましたが、違う現場に行ったら当然自分で喋らないといけないわけで。「自分から喋らないどうにもならないぞ!」と意識を改めたところもあります。プライベートではいまだに人と仲良くなるのに時間がかかるので、交友関係も限られています。いまではこれはこれでいいと自分に言い聞かせて、お仕事のときに色々な人とコミュニケーションが取れればOKと割り切っています(笑)。
©ジーオーティ/岩浪れんじ
気だるげに自転車を漕ぐシーンの裏話
──仕事とプライベートの雰囲気は違う、というタイプですね!仕事とプライベートのオンオフは結構激しいと思います。普段はユリのようなダラダラした歩き方をしますし、外を歩いていても顔バレすることは少ないです。オフ度が高いのかあまりにもボーッと歩いているからなのか、恵比寿や渋谷など人の多い場所でも普通に買い物をしています。街馴染みがいいというのか、その場の風景に溶け込むのがうまいのかもしれません(笑)。
──その溶け込み力の高さは、自転車でユラユラと走る劇中の姿からもわかります!
自転車でユラユラと走る冒頭シーンは、早朝の撮影で季節的にも涼しい風が吹いてきて気持ちが良かったです。最近は乗りませんが、学生時代はバイトに行くときによく自転車に乗っていました。ちなみに私は友だちから「自転車に乗れなさそう」と言われることが多いので、この映画によって「私、自転車に乗れるけど?」とアピールしたいです(笑)。
──自転車のシーンの撮影は大変そうに見えましたが……。
私の前を走るカメラマンさんの自転車が電動だったので、スピードが速くて困りました。急いで走らせないと置いていかれてしまうけれど、必死に漕ぎすぎたらそれはユリのキャラクター性とはかけ離れてしまう。けだるい感じで自転車を漕ぎつつもカメラマンさんから置いていかれないようにする調整が難しかったです。
「あえて髪を傷める」役作り
──冷蔵庫を足で開けるという場面もユリの性格を象徴していて印象的でした!私も横着な人間ではありますが、寝転がって冷蔵庫のドアを足で開けるということはありません。でも気持ち的にはすごくわかります(笑)。その願望が出たのか、足で冷蔵庫のドアを開けえる動作はアドリブでした。ユリちゃんは横着するところのある子なので、寝転んだ先に冷蔵庫があったら、きっと足で開けるだろうと思ってやってみました。
──馬場さんの金髪姿も新鮮です!
仁同正明監督が大切にされていたのは原作のビジュアルの再現度で、衣装合わせではユリちゃんが劇中で着ていそうな洋服が沢山用意されていました。当然、髪型も原作に合わせる必要があったので、人生初の金髪に挑戦しました。大変だったのは、あえて髪の毛を傷めるという逆ヘアーケアです。あの風貌であのようなアパートに住んでいるのに、髪の毛だけは手が行き届いているようなサラサラではおかしいので、スプレーを使ってあえてガッシガシの髪質にしました。撮影期間は頭皮を痛めつける期間でもありましたが、物語や登場人物にリアリティを与えるためには必要不可欠な作業でした。
──スカジャンにジャージというオフな衣装はこれまでで一番楽だったのではないですか?
衣装もさっと着られるものだけでしたし、メイクもほとんどしていなかったので、準備の時間は最高に楽でした。「毎日これがいい!」と思ったりして(笑)。メイク時間が少ないとその分家で眠れる時間も増えるし、準備が早いと現場に行って共演者の方たちとコミュニケーションを取る時間も増える。カメラが回っていないところでも、劇中の登場人物たちのように皆さんとコーポの廊下や玄関で喋っていたので、その空気感がいい形で映像に切り取られている気がします。
<©ジーオーティ/岩浪れんじ>
一生懸命なグローバルグループ・XGが元気の源
──作品の内容にちなんで、馬場さんの一人暮らしを始めたときの思い出を教えてください!一人暮らしを始めたのは22歳の頃。毎日が楽しくて最高だと思いました。食事も自分の好きなものを食べて、しかも誰からも干渉されないという(笑)。一人暮らしという世界は素晴らしいと感動したのを覚えています。その感動はいまも続いていて、一人暮らしライフはつくづく最高だと思う日々を送っています(笑)。
──J-WAVE NEWSは音楽に力を入れるラジオ局のJ-WAVEが運営しています。そこでお聞きします。馬場さんお気に入りの一曲とは?
いま私が推しているのはグローバルグループのXGです。最新曲『ニューダンス』が大好きで毎朝聴いて、仕事前のテンションとモチベーションを高めています。
XG - NEW DANCE (Official Music Video)
作品概要
タイトル:『コーポ・ア・コーポ』
公開日:11月17日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国順次公開
配給:ギグリーボックス
コピーライト:©ジーオーティ/岩浪れんじ
©ジーオーティ/岩浪れんじ
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