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「こういう音楽の形があるのか」と感動した出会いは…春野が“歌い始めたきっかけ”を明かす

「こういう音楽の形があるのか」と感動した出会いは…春野が“歌い始めたきっかけ”を明かす

シンガーソングライターでトラックメイカーの春野が、自身の音楽のルーツや、楽曲『Like A Seraph』に込めた想いを明かした。

春野が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』内のコーナー「RECRUIT OPPORTUNITY FOR MUSIC」。オンエアは5月10日(水)、11日(木)。同コーナーでは、アーティストたちの自身の楽曲に込めた想いと、彼らのアーティスト人生に大きく影響を与えた楽曲との出会いの話を通じて、音楽との「まだ、ここにない、出会い。」をお届けする。

「社会の中で自分がどうありたいか」見つめながら作った作品

2017年よりボカロPとしてオリジナル楽曲を投稿し話題となり、その後シンガーソングライターとしての活動を始めた春野。作詞・作曲はもちろん、トラックメイキング・ミックス・マスタリングまで自身で行っている。

2020年にはEP『IS SHE ANYBODY?』をリリースし、iTunesおよびApple MusicのR&Bチャートで1位を獲得。これまで楽曲『Angels』が「J-WAVE SONAR TRAX」に選出されている。そんな春野が5月10日に1stフルアルバム『The Lover』を配信リリースした。今回は同作収録曲『Like A Seraph』で表現した自分らしさについて語ってもらった。

春野:『The Lover』は全12曲収録となっていまして、今の自分の思想だったり、立場だったり、社会の中で自分がどうありたいかを見つめながら作った作品になっています。皆さんにとっても、そういうことを考えるきっかけになればと思いますので、ぜひぜひチェックしてもらえたらうれしいです。

2曲目に収録されている『Like A Seraph』は、このアルバムの中で、最後のほうに作った曲です。3曲目に収録されている『Venus Flytrap feat. 佐藤千亜妃』という楽曲を作ってから、踊れる音楽をすごく作りたくなって。でも自分の伝えたいコンセプトはシュールというか、すごく真面目なことなので、そこと上手いことがっちゃんこできたらと思っていました。踊れる曲ではあるんですけど、みなさんの確信になれるようなものを目指して作った、そんな楽曲です。

『Like A Seraph』で表現した僕らしさについてですけど、ルーツはファンクにあります。僕はベースが弾けないので打ち込みで作っているんですけど、すごくファンクを意識して打ち込んでいます。『Like A Seraph』を気に入ってくださった方は、3曲目の『Venus Flytrap feat. 佐藤千亜妃』、4曲目の『I’m In Love』も、ファンクの要素が混じっているベースだったりドラムだったりなので、そういった曲も楽しんでもらえると思います。

歌詞は一見すると、すごくわかりにくい感じになっていて。というのも<あなたはこうだよ><こうしてほしい>と言葉で言うのは簡単で無責任なことのように思えるんです。なので、聴いてくださったみなさんによって、ちょっとでも違った角度から受け取ってもらえるようにというのは、アルバム全体を通して目指していたことです。置かれている状況はさまざまだと思います。そんな中でこの作品が皆さんの生活と密接できたら、音楽家としてこの上なく幸せです。

『The Lover』はメッセージ性の強いアルバムになっているので、頭から尻尾まで聴くと密度の濃さにクラクラしちゃうのかなと思いますけど、みなさんにとって心地よい聴き方で楽しんでもらえれば。7月に東京と大阪でワンマンライブを開催します。そちらに遊びに来てくれたら絶対楽しませるので、お会いできたらうれしいです。

自分で歌う選択肢が生まれた音楽との出会い

ボカロP出身の春野。そんな彼のルーツとなる1曲は?

春野:ルーツの1曲に選んだのはアメリカ出身のシンガソングライター・Keshi(ケシ)が2017年に発表した『Magnolia』という楽曲です。彼は元々、SoundCloudで作品を発表していて、すごいバズっていたんですよ。というのも2016〜2017年あたりはローファイHIP HOPがけっこう流行っていたというか、黎明期だった頃で。それに対してボーカルを入れて、ローファイHIP HOPという形で歌物をリリースしているアーティストはそんなにはいなくて。

【関連記事】音が悪いのが逆に魅力! 急成長するジャンル「ローファイHIP HOP」とは?

僕もローファイHIP HOPに例に漏れずハマっていたので、SoundCloudでディグっていたんですけど、その頃に見つけたアーティストがケシでした。彼はすごくファルセットが綺麗なんです。

自分の声は低いため、歌うことがコンプレックスだったので、当時は自分で歌うという選択肢はありませんでした。それこそ、カラオケに行っても歌う曲がないみたいな感じだったんですけど、そういったモヤモヤをズバッと突き破ってくれる、きれいなファルセットをケシは持ってました。一方でケシの地声はそんなに高くなくて、そのアプローチに胸打たれたんです。「こういう音楽の形があるのか」と感動しました。

当時の僕はインストのアルバムを作ったり、ボーカロイドをやってたりしたんですけど、ケシと出会って、自分で歌うという選択肢が頭の片隅にポッと出てきました。そこから1年くらい経って、『Terminal Center』という楽曲で僕はシンガーソングライターとして活動を始めたんですけど、そこに至るまでの大きな影響として『Magnolia』という楽曲があります。

SoundCloudでアカウントを創設し、作品をアップロードするうちにじわじわと人気を集めたケシ。繊細なファルセットとローファイHIP HOPのビートが混ざった楽曲は、海を超えて、春野の琴線に触れたようだ。



アーティストの話を通じて音楽との「まだ、ここにない、出会い。」をお届けするコーナー「RECRUIT OPPORTUNITY FOR MUSIC」は、J-WAVE『SONAR MUSIC』内で月曜~木曜の22時41分ごろからオンエア。Podcastでも配信しており、過去のオンエアがアーカイブされている。

【春野 出演回のトークを聞く】

・Apple Podcastで聞く
前編後編

・Spotifyで聞く
前編後編

・公式ページ
https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/opportunity/

(構成=中山洋平)

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番組情報
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月・火・水・木曜
22:00-24:00

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