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アメリカで生まれたアコースティック・ミュージック「ブルーグラス」とは?

アメリカで生まれたアコースティック・ミュージック「ブルーグラス」とは?

大学講師兼カントリーミュージシャンの永冨真理とバンド「um-hum」のNishiken!! (Dr.)とろんれのん(Gt.)がブルーグラスの魅力を語り合った。

三人が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。ここでは、「ブルーグラス超入門」をテーマにお届けした、5月18日(火)のオンエア内容をテキストで紹介する。

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ブルーグラス基礎知識を学ぼう!

まず、ブルーグラスの基礎知識を永冨に教えてもらった。

あっこゴリラ:ブルーグラスって、カントリーミュージックのサブジャンル的なことなんですか?
永冨:ブルーグラスは、フォークリバイバルでフォークの流れに入って再び人気になってしまったので、カントリーと違うって思う人もいらっしゃいますね。
あっこゴリラ:もともとはカントリーミュージックから派生したジャンルではある?
永冨:そうですね。ミュージシャンとかソングライターで、カントリーとブルーグラスを架け橋で持ってる人は現地では多いと思います。
あっこゴリラ:まず基本的なことをお聞きしたいんですが、ブルーグラスで使う楽器って何ですか?
永冨:基本的にはバンジョー、フラットマンドリン、フィドル、アコースティックギター、アコースティックベースのバンドです。
あっこゴリラ:ブルーグラスの歌の特徴はどんなところですか?
永冨:ブルーグラスは楽器だけじゃなくて歌がすごく重要なんです。トラディショナルなブルーグラスの歌い方はビブラートがなくて、クリアで高めで鼻にかかった声、「ハイロンサム」と呼ばれるような声ですね。
あっこゴリラ:へえ~! ブルーグラスのどんな部分に注目して聴くのがいいですか?
永冨:やっぱり大事なのはドライブ感、歌、そして表現力だと思います。

【Bill Monroe&His Blue Grass Boys『Blue Moon of Kentucky』を聴く】

あっこゴリラ:カントリーとの違いがあまりわからないんですけど、マンドリンの音色が使われているがブルーグラスの特徴なんでしょうか?
永冨:やっぱり歌い方がビブラートを使わない感じが特徴ですね。当時のカントリーは、マイクにすごく近づけて歌う歌い方だったのを、この人たちはバンドワンマイクでやっていたのとけっこう声量も大きいのでこういう歌い方ができたんだと思います。当時これが新しい若い人のカントリーのスタイルという風に生まれてきたんです。なので、ビル・モンローってすごくイノベーターだったといわれています。
あっこゴリラ:バンド名がそのままジャンル名になっちゃったってことですもんね。
永冨:そうですね。50年代ころからビル・モンローがやっているようなスタイルを、「じゃあブルーグラスって呼んでいこう」という流れになっていったみたいですね。
あっこゴリラ:ブルーグラスのどんなところに注目すると楽しいと思いますか?
永冨:実はこれ、前のめりなドライブ感みたいなものがなかなか出にくく演奏するのがすごく難しいので、演奏する人はそこがおもしろいと思います。聴く方はタイトルとか歌詞とかで歌詞の世界観を読みとって、それと表現力がマッチしてるかなどを聴くのもおもしろいと思います。
あっこゴリラ:ビル・モンロー以外にも、ブルーグラスミュージシャンで注目してほしい人っていますか?
永冨:“ビル・モンロー=白人男性がブルーグラス”って考えている方が多いですが、そうじゃなくて女性のブルーグラスミュージシャンも60年代以降活躍しているので、そこは注目したいなと思います。
あっこゴリラ:なるほど~。つまりブルーグラスもカントリー同様、保守的ではあるけど、どんどん多様になっていったジャンルってことですか?
永冨:はい。多様になってますし、特にフォークリバイバルを経てることで、保守もリベラルもいるジャンルではあります。

【Rhonda Vincent&The Rage『Mule Skinner Blues』を聴く】

現在のブルーグラス

ここからは、現在のブルーグラスについて永冨さんに教えてもらった。

あっこゴリラ:先ほど、「カントリー=白人の音楽」と思われがちだけどいろんな人種の方がやってるって話がありましたけど、ブルーグラスもそうなんでしょうか?
永冨:フォークリバイバルのときに白人のルーツ音楽みたいな読み替えが行われたので、やっぱりブルーグラスのルーツにあるのは白人って思われがちですね。“ブルーグラス=黒人のミュージシャン”ってなかなかいないんですが、その前のオールドタイム音楽とかストリングバンドの音楽ではたくさん黒人のアーティストがいて、その辺の歴史を一人で頑張って掘り起こそうとしてるアーティストはいますね。
あっこゴリラ:革新的な人たちでいうと、現在どんなアーティストがいますか?
永冨:以前紹介させていただいた、黒人女性4人のバンジョーのバンド「Our Native Daughters」もそうですし、リーダーのリアノン・ギデンズさんは積極的にこういう活動をされてます。
あっこゴリラ:歌詞もおもしろいですよね。
永冨:もともとあるオールドタイムの曲を、主人公の奥さんを作ってその視点から歌うという、すごく革新的なことをされてます。

【Carolina Chocolate Drops『Country Girl』を聴く】

あっこゴリラ:この曲、おもしろいですね。HIP POP要素でスクラッチ入ってますもんね。メロディとかコード進行とかR&Bの王道な感じがするけど、使ってる楽器の音色はブルーグラスっていう。
永冨:MVもすごくおもしろくて、HIP HOP的なビートをやってるのが白人で、黒人のCarolina Chocolate Drops(キャロライナ・チョコレート・ドロップス)がストリングバンドを演奏してるっていう反転させたような造りになってます。
あっこゴリラ:おもしろい! それめちゃくちゃいいですね。
ろんれのん:やっぱりボイパが味効いてますよね。からのバンジョーとかアコースティックな楽器の組み合わせがいいっすね。
あっこゴリラ:この異質なものの組み合わせってすごくおもしろいよね。ちなみに、これはどんなことを歌ってるんですか?
永冨:これは「私はカントリーガールなんだよ」っていう曲。当最近音楽ジャンル用語である「アーバン」の使用が禁止になったっていうニュースがあったじゃないですか。
あっこゴリラ:うんうん。
永冨:黒人の今日的なポップ音楽のすべてをアーバンと呼ぶことをやめるってことが、ブラック・ライブズ・マター後あったと思うんですけど、この『Country Girl』が作られたころにはまだアーバンが使われていて、アーバンにいない黒人もたくさんいるってことを彼女は表現したかったんじゃないかなと思います。

白人と黒人によるミクスチャーバンド「Gangstagrass」

引き続き、注目の現代のブルーグラスアーティストを永富さんに紹介してもらった。

あっこゴリラ:他に注目の現代のブルーグラスアーティストっていらっしゃいますか?
永冨:ブルックリンで活躍しているブルーグラスとヒップホップの融合を目指す、Gangstagrass(ギャングスタグラス)という白人と黒人によるミクスチャーバンドで、めちゃくちゃ社会的なメッセージを発信してるんです。
あっこゴリラ:最近の『Old Town Road』もそうですけど、トラップといろんなジャンルが融合していくのはよくあるけど、Boom Bapとブルーグラスが融合してるっていうのはすごいおもしろいですね。これはどんなことを発信してるんですか?
永冨:いま流れている『Long Hard Time Come』はNetflixのテレビ番組で使われていて賞ももらった曲なんですけど、一番新しい曲ではアメリカで不当に黒人が逮捕されていることに対して、抵抗しているようなラップをしていました。
あっこゴリラ:um-humの二人は、こういうミクスチャーな感じはどうですか?
ろんれのん:ある種、極端に対岸な二つのジャンルを融合させちゃいたいっていうのはあるので、めちゃめちゃいいと思いますね。
あっこゴリラ:日本人のブルーグラスミュージシャンもいるんですか?
永冨:素晴らしい方たちがいっぱいいます。フラットマンドリン奏者の井上太郎さんという方で、2021年に出したアルバムにはフィドルのケイシードレッセンさんという本場のめちゃくちゃすごい人と一緒にレコーディングした曲が収録されています。ハンバート ハンバートさんとかと一緒に演奏もされてて、本当にすばらしい日本一のマンドリン奏者だと思います。
あっこゴリラ:今日は時間がない中、ブルーグラスを特集してきましたが、めちゃくちゃ興味出てきた!
永冨:良かったです! 嬉しいです。
Nishiken!! :最初と印象が全然違いました。時代とともに、いろんな文化や楽器、人種などを受け入れて変遷していく感じがすごく印象的でした。

J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。

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