女性同士の競技ダンスを描く映画『レディ・トゥ・レディ』が公開中だ。J-WAVEでオンエア中の番組『ALL GOOD FRIDAY』でLiLiCoも称賛。同作が持つ、ありのままに生きることを肯定する魅力とは。ライター・石井隼人が、公開記念舞台挨拶のトークを交えて紹介する。(J-WAVE NEWS編集部)
生活に疲れたさえない主婦・真子(大塚)と同級生の売れない女優・一華(内田)が、前代未聞の女性同士ペアで競技ダンスに挑む。しかし二人の前には「男女ペアでなければ認められない」というルールが立ちはだかる。
内田と女性同士のペアを組んで競技ダンスに挑んだ大塚は「こんなにも体力と筋肉が必要なのかと驚いた。約2ヶ月の練習では朝から2時間くらい“全集中”で踊っていたので、ダンスの稽古だけで4キロ以上体重が落ちた」と競技ダンスの知られざるハードさに苦戦。それに内田も「大会シーンはプロのダンサーの方々が大勢いる中で、色々なダンスが同時進行する。何テイクも撮影できないので、ダンスシーンは“全集中”で臨みました。まさに“阿吽の呼吸、ダンスの型”」と大ヒットアニメ『鬼滅の刃』に引っ掛けて舞台裏を明かした。
そのダンス大会のシーンについて大塚は「大勢のダンサーの方が参加してくれて、私たちも煌びやかに着飾らせてもらいました。撮影ではダンス練習期間の想いが溢れてきて、一回目のワルツで感情が溢れて涙が……。二人で目を合わせながら“泣ける~!”となって、藤澤監督から『泣くのは早い!』とNGになりました」と照れ笑い。内田とは偶然にも誕生日が一緒で、大塚は「一ヶ月以上頑張った二人の気持ちを通い合わせながら踊ることができました」と絆を口にした。
「女性同士ペア」と聞くと「女性の連帯」のメタファーなのかと思いきや、結果的に導き出されるのは、「自分らしく生きる」という性別を問わない普遍的な答え。ルールという権威やしがらみに対して「好きなことは自分が好きだからやっているだけ。それでいいじゃない!」と高らかに宣言する彼女たちの決断には、心の底からスカッとする。ありのままに生きることを肯定する、大塚と内田の吹っ切れた晴れやかな表情は必見。そして内田の泣かせる演技はハンカチ必至。ほんとこの人上手い。主演女優賞!
脚本も手掛けた藤澤監督は、矢口史靖、武正晴、ミシェル・ゴンドリーらのもとで助監督経験を積んだというが、それにしても画作りが熟達レベルで、セリフ回しも唸らせるものばかり。真子や一華はもちろんのこと、サブキャラクターに至るまで個性が際立った作りになっており、誰一人かぶりのないキャラクター造形も見事だ。
藤澤監督は競技ダンスを題材にしたことに「テーマは役割からの解放。その中で競技ダンスのリード&フォローの概念を知りました。そしてお互いがお互いを支えるのがダンスだと理解。女性同士でお互いを支えるという設定に辿りつきました。令和版『Shall we ダンス?』になれば嬉しい」と説明する。
SNSでは絶賛の声が多数上がっている。しかし残念ながら現在、東京での上映はたった一館。しかも一日一回といういささか厳しい上映状況にある。内田は「映画の認知はまだまだこれからですが、たくさんの方々に観てほしい」と息の長いヒットを願い「価値観が大きく変わる世の中で、なかなか今までのようには上手くいかず、どうやったら希望を持てるのかわからない時代。真子と一華は前例のないことに突破して、やりたいからやる!と言い切ります。そこには希望がある。夢を語るのはタダです! この映画がみなさんのエネルギーに繋がれば」と力強くアピールしている。
(文・撮影=石井隼人)
女性ペアでダンス!4キロ減のハードな稽古を越えて
映画コメンテーターのLiLiCoや俳優の鶴見辰吾も賞賛の声を寄せる、本年度No.1映画『レディ・トゥ・レディ』が公開中! 12月13日(日)には公開記念舞台挨拶がヒューマントラストシネマ渋谷で行われ、W主演を務めた大塚千弘、内田 慈、これが商業映画監督デビューとなる藤澤浩和監督が登壇。断言&保証します、この映画は2020年の相当なる拾いものです。生活に疲れたさえない主婦・真子(大塚)と同級生の売れない女優・一華(内田)が、前代未聞の女性同士ペアで競技ダンスに挑む。しかし二人の前には「男女ペアでなければ認められない」というルールが立ちはだかる。
映画『レディ・トゥ・レディ』場面写真
映画『レディ・トゥ・レディ』場面写真
大塚千弘
ありのままに生きることを肯定する
ストーリー自体は至ってシンプル。そこに「セクハラ」「パワハラ」「忖度」など現代を反映させたテーマが散りばめられる。けれどもそれらを一方的に押しつけるのではなく、あくまでもエンターテインメントの枠組みの中に自然と織り込むスタイルが素晴らしい。「女性同士ペア」と聞くと「女性の連帯」のメタファーなのかと思いきや、結果的に導き出されるのは、「自分らしく生きる」という性別を問わない普遍的な答え。ルールという権威やしがらみに対して「好きなことは自分が好きだからやっているだけ。それでいいじゃない!」と高らかに宣言する彼女たちの決断には、心の底からスカッとする。ありのままに生きることを肯定する、大塚と内田の吹っ切れた晴れやかな表情は必見。そして内田の泣かせる演技はハンカチ必至。ほんとこの人上手い。主演女優賞!
脚本も手掛けた藤澤監督は、矢口史靖、武正晴、ミシェル・ゴンドリーらのもとで助監督経験を積んだというが、それにしても画作りが熟達レベルで、セリフ回しも唸らせるものばかり。真子や一華はもちろんのこと、サブキャラクターに至るまで個性が際立った作りになっており、誰一人かぶりのないキャラクター造形も見事だ。
藤澤監督は競技ダンスを題材にしたことに「テーマは役割からの解放。その中で競技ダンスのリード&フォローの概念を知りました。そしてお互いがお互いを支えるのがダンスだと理解。女性同士でお互いを支えるという設定に辿りつきました。令和版『Shall we ダンス?』になれば嬉しい」と説明する。
内田 慈
(文・撮影=石井隼人)