Nulbarich・JQ、コラボしたVaundyに「プロデューサー気質」を感じた理由

J-WAVE(81.3FM)×「MUSIC FUN !」連動企画である、深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』。“すごい"音楽をつくるクリエイターが“WOW"と思ういい音楽とは? 毎月1人のクリエイターがマンスリープレゼンターとして登場し、ゲストとトークを繰り広げる。

11月のマンスリープレゼンターはNulbarichのJQ。11月6日(金)のオンエアでは、マルチアーティストのVaundyがゲストに登場した。

ここでは、ふたりがコラボした新曲『ASH feat. Vaundy』の制作秘話や、Vaundyが自身のアートワークまで手がける理由や、理想の10年後について語った部分を紹介しよう。

JQ「Vaundyはプロデューサー気質」

NulbarichはVaundyをフィーチャーした初のコラボシングル『ASH feat. Vaundy』を10月にリリースした。



JQ:単純に僕がVaundyと仲良くなりたい、そして知りたいっていうのがきっかけで、僕からアプローチをかけさせてもらいました。Vaundyくん的には僕らは知らない相手でもなかったから「やったろうか!」みたいな。
Vaundy:「やったろうか!」ってならないですよ(笑)。「あのNulbarichから声がかかったんですか!?」って。
JQ:「しゃーないな」って。
Vaundy:あはは(笑)。「しゃーないな」じゃないですよ。

オンラインの打ち合わせを経て、顔を合わせないまま、データのやりとりで曲を作っていったという。

JQ:実は大変だったこととかある?
Vaundy:「実は……」というか、「ムチャぶりすぎるでしょ」って。僕が最初にデータを渡すときが一番大変でしたね(笑)。そのあとは「こういう感じでいくか」って定まった感じがして、JQさんから送られてきたときに「OK、OK」ってそこからスムーズでしたけど、最初はどうしようって。
JQ:最初、Vaundyを知りたいってことが大きかったので、ある程度のラフトラックを僕が作ったうえで、メロディーは何ものせずに、なんの情報もなく、インストで送ったよね。シンプルにVaundyくんに一度メロディーをはめてもらいたいと思って、細かい情報を伝えてなかったからね。
Vaundy:「サビとかも考えちゃっていいよ」みたいな。「やべえ、ザックリだ」「マズい」と思いました(笑)。
JQ:僕が想定していたのは、セカンドバースにメロディーがのっかって「僕だったらこういうサビを作りますね」みたいなものがVaundyくんからくると思っていたら、なんとトラック全取っ換え。サビとBメロが入っていたのかな。でもVaundyくんが歌うところには何も入っていなかった。入れてほしいところに何も入ってなかったから、「これ、やべえ」って(笑)。
Vaundy:こいつ何もやってねえって(笑)。

JQはVaundyがトラックを変えてきたことに「プロデューサー気質なんだな」と感じたという。

JQ:「僕が作品を作るときはサビから」と聞いていたし、「歌いやすいメロディーに対してコードを付けると、僕だとこうなります」というアプローチと、インスピレーションを受けたものからアップデートをする仕方的にも僕は彼の本気を感じて、やってくれたって。
Vaundy:本気ですよ(笑)。
JQ:話しながら曲を作っていたら、たぶんお互いにいろんなことを妥協しあったりしてたと思うから、データでよかったなって。
Vaundy:本当にそう思います。

その後、ミックスダウンの作業でふたりは初対面し、『ASH feat. Vaundy』が完成した。

JQ:僕は人とすぐ仲良くなれるタイプではないので、Vaundyくんと通じ合える、仲良くなれるツールとして音楽があったことを改めて感謝した作品になって。音楽をやっていてよかったと思いました。

「手に持っておきたくなるもの」を意識して作っている

Vaundyは自身の作品で、ミュージックビデオやアートワークなど音楽以外の部分も手がけている。以前、J-WAVE『SAISON CARD TOKIO HOT 100』に出演した際は、「クリエーターさんと一緒にやることが多いですね。自分で監修をしている感じです」と述べていた。「手に持っておきたくなるもの」を意識しているそうだ。

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JQ:アートワークも自分で考えたりするの?
Vaundy:そうですね。いろんなものをみんなで一緒に考えて、手に持っておきたくなるものを意識して作っています。CDでもLPでも僕はグッズだと思っていて。もちろん聴いてもらうことは前提だけど、サブスクで聴いている人たちもいっぱいいるし、それがいいところだとも思うから。わざわざパッケージを開けて(CDを再生機に)入れるっていうのも風情があっていいけど、持っているだけでいいなっていうものを。
JQ:イケてるやつね。
Vaundy:そう思うと見た目って大事なのかなって思うから、ちゃんと目を通しておかないと、と思って一緒に作っています。
JQ:Vaundyくんって、常に受け取る側を考えて全部やっているよね。曲のサビのキャッチーさとか、みんなが何を求めているかをすごく考えているし、アートワークも手に取った人が持っておきたいものをって、優しさがあふれ出てるよね。
Vaundy:僕はお金って大事なものだと思っていて、汚いとか言われていますけど、すごくきれいなものだと思う。正直だし、お金って対価じゃないですか。だから、僕はお金を払ってもらうなら、手に持つもの。音楽はそのときの雰囲気とかを味わうものなので、多少の差異は出てくると思うけど、手に取るものとか残しておくものって「よかったな」って思ってもらえるもののほうがいいし、ずっと持っておきたいっていうふうにしてほしいんですよね。アートワークが付随するCDとかLPは完成されたもので、手に取ったときになるべくみんなが「いいな」と感じられるものを作りたいと思っています。

Vaundyは11月3日にファーストアルバム『strobo』の全11曲に『Tokyo Flash - TEMPLIME Remix』を加えたのアナログ盤『strobo+』をリリースした。

日本語で世界に出たい



最後にJQは、Vaundyに「10年後をどう想像している?」と問いかけた。

Vaundy:今、僕が作っている音楽って、まだ練習段階に近いと思っていて。僕は「研究しながら」っていつも言うんですけど、本当に試行錯誤して、ずっと自分のアイデンティティを探している気分なんですよね。だから、10年後にある程度「これがVaundyだ」って見つかっててほしいなって思います。でも、そんなに甘くないので。ただ、世界にいきたいって思いはあります。
JQ:そう言ってたよね。
Vaundy:しかも日本語で。日本語の奥ゆかしさが好きで、それをちゃんと伝えられたらおもしろいなって。意味を理解しなくても楽しめるのが日本語のおもしろいところだと思っていんです。ある程度は理解したほうがいいけど、雰囲気音楽って言われるものが流行る理由は日本語だからだと思います。もしくは、英語がわからない人が英語の音楽を聴くからっていうのもあるけど。日本語って答えがないじゃないですか。中学とか高校で「この作者の気持ちを答えよ」って授業があったの、覚えています?
JQ:あった、あった。でも、それを答えるのって無理だよね。
Vaundy:無理なんですよね。そのときから意味がわからなくて。そのときに日本語って答えがないんだと感じて、おもしろいと思いました。だから、海外に行くときは確実に日本語を使って。でも、言語の壁って大きいんですよね。日本の譜割りってめちゃくちゃ難しいじゃないですか。10年後にはそこがもっとうまくできていればと思います。
JQ:10年後は世界のVaundyなってるぞ、と。
Vaundy:なっていたいですね。

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