J-WAVEでは、2020年8月10日(月・祝)に、いきものがかりがラジオを通して元気とYELLを送る9時間のスペシャルプログラム『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL YELL FROM IKIMONOGAKARI』を放送。水野良樹が音楽クリエイターと「これからの音楽」について対談する「水野良樹の部屋」では、音楽プロデューサー・亀田誠治がリモート出演をしてトークを繰り広げた。
水野:亀田さんといえば、いきものがかりは大変お世話になっています。デビュー当時、もっというとデビュー前から。僕らが学生のころですね。
亀田:みんな初々しかったなあ。
水野:(笑)。亀田さんに「ちゃんと大学だけは卒業しなさいよ」と言われて。
亀田:言ってた!
水野:それからなので、もう15年ぐらいお世話になっていると思います。亀田さんはプロミュージシャンになられてから、どのくらい経たれているんですか?
亀田:25のときからだから、去年で30年。
水野:そんなになるんですね。
亀田:やばいね、30年……どういうことだこれは(笑)。
水野:(笑)。その10年目ぐらいから、僕らは、いちリスナーとして憧れて観ていると思います。ちょうど中高生ぐらいのときに、だんだんと音楽に興味を持つようになっていったときから、亀田さんは第一線におられたので。
亀田:いきものがかりも去年で20周年。
水野:結成からは20周年ですね、1999年ですので。
亀田:亀田誠治も結成から30周年(笑)。一緒に歩んでますね。
水野:すごく光栄です。
亀田:今までの音楽というのは、人と人とが集まって作っていたんですよね。それが今回のコロナの影響で人と人とが一緒に曲を作ったり、近い距離でなにかを演奏したりみたいなことができなくなった。それは自分にとっては本当に大きな転換期。はじめは「まいったな、こりゃ」という感じで、とにかく「おとなしくしておうちで過ごす」ということをやりながら。でも、そうも言ってられないのでリモートを使ったり、とにかく自分からいろいろなことを工夫してやりましたね。半年前の亀田誠治だったら「音楽というのはね、人と人とがフェイス・トゥ・フェイスで作って」って(言っていた)。
水野:特に亀田さんはそういうことを強くおっしゃられています。
亀田:言ってたよね。「みんなで『せーの』で録音しようよ」とか。あとは、「作り上げた曲をライブでお客さんにダイレクトに届けて波動を交換し合うことで音楽は成り立つんじゃないのかな?」と言っていた僕が、この半年間で「ん? オンラインもけっこういけるな」と。
水野:なるほど。
亀田:データ交換でもいいものが作れるな、やっぱり音楽って表現をしたいことがあったり、作り手同士の気持ちの部分がしっかり通じ合えれば、そこさえ見つければ作っていけるんだな、と。この自粛期間中に、リモートでデータを使いながら作るなかで、なんとなく手ごたえを感じています。
水野:共存をしている感じはありますよね。集まって作ることのすばらしさを感じつつ、「リモートの作業と、両方ともあっていいんだな」という感じもしています。
亀田:リアルとリモートのハイブリットな感じがけっこう心地いい。たとえばベースのフレーズとかも、自分のコンピューターに向かって何回も何回もトライして。
水野:周りの視線を感じることなく(笑)。
亀田:そう! スタジオでみんなと一緒にやっていると「亀ちゃんいつまでやってるの?」みたいな空気が漂ってくるんだけど、そういうのも思う存分できたりして、ある意味、深いゾーンに入っていけるよさというのは感じています。
水野:ボーカリストの方が、歌入れを自宅でやるほうがテイクがよかったりするみたいな(笑)。
亀田:あー、人の目を気にしないから。
水野:自分のノリというかグルーヴを追求できるから。個人で掘っていけるという意味ではリモートもすごくいいのかもしれないですよね。
亀田はステイホーム期間中に活発化したリモートセッションについても言及。自身のプレイヤースキルにも自信がついたことを明かした。
亀田:僕もいろいろな方とやって、自分からも発信をしていったんです。動画を撮るのも一発撮りなんで、1曲を弾ききらないといけない。
水野:けっこういいカメラを使っていると伺いました。
亀田:カメラもこの自粛期間中に買ったりとか、Wi-Fiも強くしたりとかしたんです。でもプレイだけは、本当に1曲弾ききられないといけない、1曲弾ききって「やった、これはOKテイクだろ」と思ったら、カメラが回ってなかったり。
水野:(笑)。
亀田:アチャー!みたいな。でもたくさん楽器を触る時間が増えて、もしかたら亀田誠治56歳で30年にして、今いちばんベースプレイの調子がいい(笑)。
水野:何度もきている“旬”がまた新たに亀田さんに……すごいなあ。
亀田:いろいろな制限がかかって、音楽が作りづらかったりライブがしにくかったりするこの時期に、アーティストや僕らがどれだけ希望を持って力を溜めることができるか。いい曲を生み出し、いい演奏ができるようになるかが、とても大事だと思っているんです。13世紀にヨーロッパでペストがはやったときに、そのあとにルネッサンスが14世紀の後半から起こって、そこでダ・ヴィンチ、ラファエロ、ミケランジェロといった芸術と科学が交わるような生き生きとした文化や芸術が花ひらいていった。それを思うと、大変な制限あるのは苦しいけれども、明けない夜はない。コロナが開けた暁には、すばらしい音楽やすばらしい文化、素晴らしい舞台、エンターテインメントの花が咲くんじゃないのかなという希望を持っています。
水野:バラバラになってしまったことによって、むしろミュージシャン同士の絆であったりクリエイター同士の交流がむしろ深まったんじゃないか、みたいなところもあるんじゃないかと思っています。だからこそ亀田さんがおっしゃる通りに、いろいろな作品の種みたいなものが今の時期にすごく、どこかしこにもあるような気が、実感としては持っています。
亀田はZoomを使って、いきものがかりのメンバーと、さまざまな対話を重ねた。一つひとつのコミュニケーションが濃くなったと感じているという。
亀田:今までは「誰かが間に入って」みたいなことを、ダイレクトに話すのをいろいろな人たちがやっていると思うんです。それによってみんなの感性の感度が上がっていくというか、そういうイメージが僕のなかである。あとは仲間のネットワークがどんどん広がって行くんじゃないのかな。今までは出会えなかった仲間とSNSだったりオンラインでつながったりすることによってね。コロナが収束したあと、フェスや音楽番組なんかも、ものすごく色とりどりの景色が広がるんじゃないのか、世界が広がるんじゃないのかな、という気がします。
水野:今はなかなかライブとかコンサートとか、演劇、スポーツも含めて会場に人を集めることが難しい状態ではあります。だけどこれが改善されたときに「会う」ということや、会場に集まるすばらしさ、オンラインでの濃いコミュニケーションも共有された配信ライブであったりとか、楽しみ方がどんどんと増えていく方向になるんじゃないかと、亀田さんと話していて思います。こんなに普段、亀田さんと話してないですもんね(笑)。
亀田:(笑)。
水野:レコーディングスタジオではもちろん話すけど、打ち合わせの密度も……最近はいろいろな制作物があって亀田さんとお話をすると、今Zoomをしていて僕の目の前にパソコンがあるんですけど、この風景もめっちゃ見慣れてる(笑)。
亀田:僕のスタジオのいつもの場所からお送りしています。
水野:すごくポジティブにいけるような気が僕もしていて、共感できると思っています。
亀田:しかもみんなが自分の大切なもの、大切に思っている人の大切なものみたいなのをお互いに認め合えるというか、コロナ以外にも社会ではいろいろな問題があってグルグルと“うず”が起きているなかで、ますます大切なものを見失わないようにしようという気持ちが強くなってきている。人間として僕も50を超えたいいオッサンですけど、なにか人間として研ぎ澄まされていくというか、もうちょっと優しくなれるような試練を与えられているような感じがします。
デビュー前から交流してきた亀田といきものがかり
ふたりは自粛期間中も、何度かオンラインでのやりとりをしていたそうだ。いきものがかりがデビューする前からの付き合いだという。水野:亀田さんといえば、いきものがかりは大変お世話になっています。デビュー当時、もっというとデビュー前から。僕らが学生のころですね。
亀田:みんな初々しかったなあ。
水野:(笑)。亀田さんに「ちゃんと大学だけは卒業しなさいよ」と言われて。
亀田:言ってた!
水野:それからなので、もう15年ぐらいお世話になっていると思います。亀田さんはプロミュージシャンになられてから、どのくらい経たれているんですか?
亀田:25のときからだから、去年で30年。
水野:そんなになるんですね。
亀田:やばいね、30年……どういうことだこれは(笑)。
水野:(笑)。その10年目ぐらいから、僕らは、いちリスナーとして憧れて観ていると思います。ちょうど中高生ぐらいのときに、だんだんと音楽に興味を持つようになっていったときから、亀田さんは第一線におられたので。
亀田:いきものがかりも去年で20周年。
水野:結成からは20周年ですね、1999年ですので。
亀田:亀田誠治も結成から30周年(笑)。一緒に歩んでますね。
水野:すごく光栄です。
リモート制作で感じた、ひとりで「掘っていける」メリット
長きにわたり音楽シーンで活躍してきた亀田。これまでのような形では制作や演奏がしにくくなった今、どのようなことを感じているのか。亀田:今までの音楽というのは、人と人とが集まって作っていたんですよね。それが今回のコロナの影響で人と人とが一緒に曲を作ったり、近い距離でなにかを演奏したりみたいなことができなくなった。それは自分にとっては本当に大きな転換期。はじめは「まいったな、こりゃ」という感じで、とにかく「おとなしくしておうちで過ごす」ということをやりながら。でも、そうも言ってられないのでリモートを使ったり、とにかく自分からいろいろなことを工夫してやりましたね。半年前の亀田誠治だったら「音楽というのはね、人と人とがフェイス・トゥ・フェイスで作って」って(言っていた)。
水野:特に亀田さんはそういうことを強くおっしゃられています。
亀田:言ってたよね。「みんなで『せーの』で録音しようよ」とか。あとは、「作り上げた曲をライブでお客さんにダイレクトに届けて波動を交換し合うことで音楽は成り立つんじゃないのかな?」と言っていた僕が、この半年間で「ん? オンラインもけっこういけるな」と。
水野:なるほど。
亀田:データ交換でもいいものが作れるな、やっぱり音楽って表現をしたいことがあったり、作り手同士の気持ちの部分がしっかり通じ合えれば、そこさえ見つければ作っていけるんだな、と。この自粛期間中に、リモートでデータを使いながら作るなかで、なんとなく手ごたえを感じています。
水野:共存をしている感じはありますよね。集まって作ることのすばらしさを感じつつ、「リモートの作業と、両方ともあっていいんだな」という感じもしています。
亀田:リアルとリモートのハイブリットな感じがけっこう心地いい。たとえばベースのフレーズとかも、自分のコンピューターに向かって何回も何回もトライして。
水野:周りの視線を感じることなく(笑)。
亀田:そう! スタジオでみんなと一緒にやっていると「亀ちゃんいつまでやってるの?」みたいな空気が漂ってくるんだけど、そういうのも思う存分できたりして、ある意味、深いゾーンに入っていけるよさというのは感じています。
水野:ボーカリストの方が、歌入れを自宅でやるほうがテイクがよかったりするみたいな(笑)。
亀田:あー、人の目を気にしないから。
水野:自分のノリというかグルーヴを追求できるから。個人で掘っていけるという意味ではリモートもすごくいいのかもしれないですよね。
亀田はステイホーム期間中に活発化したリモートセッションについても言及。自身のプレイヤースキルにも自信がついたことを明かした。
亀田:僕もいろいろな方とやって、自分からも発信をしていったんです。動画を撮るのも一発撮りなんで、1曲を弾ききらないといけない。
水野:けっこういいカメラを使っていると伺いました。
亀田:カメラもこの自粛期間中に買ったりとか、Wi-Fiも強くしたりとかしたんです。でもプレイだけは、本当に1曲弾ききられないといけない、1曲弾ききって「やった、これはOKテイクだろ」と思ったら、カメラが回ってなかったり。
水野:(笑)。
亀田:アチャー!みたいな。でもたくさん楽器を触る時間が増えて、もしかたら亀田誠治56歳で30年にして、今いちばんベースプレイの調子がいい(笑)。
水野:何度もきている“旬”がまた新たに亀田さんに……すごいなあ。
亀田が今後に託す希望「明けない夜はない」
水野は「この先の音楽、これからチャレンジしていきたいこと」について質問。亀田は現在の状況を過去の感染症の流行を重ね合わせ、今後の音楽業界について語った。亀田:いろいろな制限がかかって、音楽が作りづらかったりライブがしにくかったりするこの時期に、アーティストや僕らがどれだけ希望を持って力を溜めることができるか。いい曲を生み出し、いい演奏ができるようになるかが、とても大事だと思っているんです。13世紀にヨーロッパでペストがはやったときに、そのあとにルネッサンスが14世紀の後半から起こって、そこでダ・ヴィンチ、ラファエロ、ミケランジェロといった芸術と科学が交わるような生き生きとした文化や芸術が花ひらいていった。それを思うと、大変な制限あるのは苦しいけれども、明けない夜はない。コロナが開けた暁には、すばらしい音楽やすばらしい文化、素晴らしい舞台、エンターテインメントの花が咲くんじゃないのかなという希望を持っています。
水野:バラバラになってしまったことによって、むしろミュージシャン同士の絆であったりクリエイター同士の交流がむしろ深まったんじゃないか、みたいなところもあるんじゃないかと思っています。だからこそ亀田さんがおっしゃる通りに、いろいろな作品の種みたいなものが今の時期にすごく、どこかしこにもあるような気が、実感としては持っています。
亀田はZoomを使って、いきものがかりのメンバーと、さまざまな対話を重ねた。一つひとつのコミュニケーションが濃くなったと感じているという。
亀田:今までは「誰かが間に入って」みたいなことを、ダイレクトに話すのをいろいろな人たちがやっていると思うんです。それによってみんなの感性の感度が上がっていくというか、そういうイメージが僕のなかである。あとは仲間のネットワークがどんどん広がって行くんじゃないのかな。今までは出会えなかった仲間とSNSだったりオンラインでつながったりすることによってね。コロナが収束したあと、フェスや音楽番組なんかも、ものすごく色とりどりの景色が広がるんじゃないのか、世界が広がるんじゃないのかな、という気がします。
水野:今はなかなかライブとかコンサートとか、演劇、スポーツも含めて会場に人を集めることが難しい状態ではあります。だけどこれが改善されたときに「会う」ということや、会場に集まるすばらしさ、オンラインでの濃いコミュニケーションも共有された配信ライブであったりとか、楽しみ方がどんどんと増えていく方向になるんじゃないかと、亀田さんと話していて思います。こんなに普段、亀田さんと話してないですもんね(笑)。
亀田:(笑)。
水野:レコーディングスタジオではもちろん話すけど、打ち合わせの密度も……最近はいろいろな制作物があって亀田さんとお話をすると、今Zoomをしていて僕の目の前にパソコンがあるんですけど、この風景もめっちゃ見慣れてる(笑)。
亀田:僕のスタジオのいつもの場所からお送りしています。
水野:すごくポジティブにいけるような気が僕もしていて、共感できると思っています。
亀田:しかもみんなが自分の大切なもの、大切に思っている人の大切なものみたいなのをお互いに認め合えるというか、コロナ以外にも社会ではいろいろな問題があってグルグルと“うず”が起きているなかで、ますます大切なものを見失わないようにしようという気持ちが強くなってきている。人間として僕も50を超えたいいオッサンですけど、なにか人間として研ぎ澄まされていくというか、もうちょっと優しくなれるような試練を与えられているような感じがします。
番組情報
- J-WAVE HOLIDAY SPECIAL YELL FROM IKIMONOGAKARI
-
8月10日(月・祝)9:00-17:55