映像作家の山田健人がナビゲートする特別番組『J-WAVE SELECTION IN FOCUS』が5月31日(日)にオンエアされた。『J-WAVE SELECTION』は、J-WAVEがいま注目するさまざまなトピックをお届けする日曜夜の番組だ。
山田はSuchmos、米津玄師、菅田将暉、宇多田ヒカル、BiSHなど、 さまざまなアーティストのミュージックビデオ(MV)、ライブ映像、企業CMを手がけている。また、バンド・yahyelではVJとギターを担当。1992年、東京生まれのクリエイターだ。
この番組では、ゲスの極み乙女。やindigo la End、ジェニーハイ、ichikoroなど幅広く活躍するミュージシャンの川谷絵音をゲストに、それぞれの視点から見たクリエイティブへの考え方、これからの映像表現についてフォーカスした。ふたりの交流は、山田がゲスの極み乙女。『オンナは変わる』や、ジェニーハイ『不便な可愛げ feat. アイナ・ジ・エンド(BiSH)』のミュージックビデオを手がけたことでスタートしたそうだ。
■MVは、監督に委ねたほうがいいものができる
数々のミュージックビデオを作っている山田だが、実は「アーティストが作詞作曲した時点で表現が完結している曲に、監督が映像をつける必要性はあるのか」という考えも持っているという。しかし川谷は、「今はミュージックビデオがあって初めて曲が完成する気がする」と返答。MVを楽しみに待つファンや、それをきっかけに曲を好きになったという声を聞くからだ。
川谷:もともとは、自分の曲が斜めに伝わってほしくないから、監督と考えが違うと「いえ、こうなんですよ」と反論してた。でも(野田)洋次郎さんと飲んでいるときに「おまえ、すごく口出ししてるらしいな。映像は映像なんだから、(監督に)任せなよ」と言われてから、曲と映像は切り離すようになったかな。打ち合わせはするけど、監督の考えていることを最優先させたほうが、いいものができる。
山田:RADWIMPSと一度お仕事しましたけど、自分なりの考えを出したら「あとは頼む」みたいな感じでした。
川谷:やっぱり分業制がいいんだろうね。
山田:化学反応というか、変な化け方をすることもありますもんね。でも僕、絵音さんにも(あれこれ)言われたことないですね。
川谷:そのときは「頼みたいと思った人に関してはお任せで」っていう考えになってたから。「すごくいいものができてよかった」と思うことしかなかったな。
山田:それはすごくうれしいです。
■ワンカットの刹那感がある『オンナは変わる』MV
山田が監督したゲスの極み乙女。『オンナは変わる』のミュージックビデオは、川谷を含むバンドのメンバー4人が砂で作ったお城を囲んで演奏しているワンカットの作品。砂のお城をダンサーが崩していく演出となっている。メンバーからも評判がいいそうだ。
川谷:あの砂の城は、俺らも「もう1回(撮影を)するとなると、どうするんだろう」と思った。ワンカットの刹那感がすごい。でも、スタッフさんが「最後にカメラマンの影が映った?」「もう1回撮ったほうがいいんじゃないか」と言っていたけど、ダッチくん(山田)が「はい、終わり! これでOK!」って(笑)。それがすごく記憶に残ってる。
山田:マジの一発OKでしたもんね(笑)。ああいう決断って現場でけっこうあるんですよ。でも、もう一度時間をかけて2テイク目を撮っても他のところが気になってくる。それなら、「一発でやったね!」とみんなが信じられるほうが美しいと思っています。
川谷:結果としてすごくよかったよね。やり直しても、たぶんあの感じにはならなかったと思う。カメラマンさんが砂を踏まないように汗をかきながら撮影してた裏側を放送したいくらい(笑)。
川谷は、山田の作る映像について「ダッチくんの色がある」と評する。
川谷:前に米津が「もう映像はダッチが間違いない」と言っていて(笑)。そこで俺も改めて観たら「すごく冷たい世界観を持っている人だな」と思ったんだよね。もっとキャッチーな(映像を作る)人のほうが多くて、作品によって染まっちゃって「これ撮った監督とこれ撮った監督って同じだったんだ!」と驚くことがけっこうある。でもダッチくんはダッチくん色があって、それがすごくいい。前に「僕の映像はすごく暗くなるんですよ」と言っていたけど、一貫したものがあるんだよね。米津もそういう部分を言っていたんだろうな。
山田:ありがとうございます。めちゃくちゃうれしいですね(笑)。
■川谷が衝撃を受けた、満塁ホームラン型のMVとは?
衝撃を受けた国内外のアーティストのミュージックビデオについて訊かれると、川谷はイギリスの女性アーティスト・Bat For Lashes『Laura』を挙げた。
川谷:ダッチくんの冷たい世界観と共通するものがあると思う。俺は最初からバキバキに展開するより、たら~っといくけど最後にものすごく引き込まれるものが好き。これはミュージックビデオを観てさらに曲が好きになったな。
山田:僕は満塁にしてからホームラン打つような作品が好きなんですよ。最初から飛ばすのではなく、じんわりじんわりいって、みんなが出塁した状態で最後に大きな展開みたいな。さっき観たんですけど、前半はゆったりしていて最後にちょっとひどいシーンが出てくる。すごく好きなトーンでしたね。
川谷:満塁にして打つってすごくわかる(笑)。そういうところ、あるよね。
山田:確実に出塁して「これならホームラン出るだろう」という状況でドカンと行きますね。
川谷:それができるのがすごい。今、ストリーミング配信で聴き飛ばされないように音楽もどんどん短くなっている。歌始まりでBメロなしですぐにサビみたいな流れ。だから映像も最初にパンチラインが出てくるものが多いけど、満塁にしてからホームランを打つ映像で、これだけ再生されている監督ってなかなかいないと思うよ。
■部屋がどんどん小さくなる! 引き込まれるMV
一方の山田は、イギリスのミュージシャン・Bonobo『No Reason』を紹介した。同じ部屋をどんどん奥に進んでいくワンカット映像だが、同じ部屋が繰り返されているはずなのに、部屋の中にいる人がどんどん大きくなっていく不思議な作品だ。Radioheadの『Lift』のミュージックビデオも手掛けた、イギリスで活動するオスカー・ハドソンが監督している。
山田:ワンカット、ワンギミック、ワンカメラワーク。部屋がどんどん小さくなっていくから相対的に人間が大きく見えるという簡単な仕掛けを、リアルにやっているからビックリしました。メイキングも公開されていて、本当に小さな部屋を作っているんですよね。
川谷:俺もメイキングを観て衝撃を受けたよ。『戦ってしまうよ』のミュージックビデオを撮るときに、監督に「こういう部屋を作りたい」って言ったくらいかなりインスパイアされたな。
山田:『戦ってしまうよ』を観て、「インスパイアされてるかも」って思いました(笑)。海外のミュージックビデオって予算をすごく使ってド派手に演出するものが多いんですけど、これは上品な予算の使い方をしている感じなんですよね。美術にお金をかけてカメラはそんなにハイスペックじゃないみたいな。僕が一番好きな満塁ホームランタイプです(笑)。
川谷:最初は淡々と進んでいって最後に「え?」ってなる。しかも追いかけられて怖いしね。
山田:怖いですよね。曲調ともめちゃくちゃ合っててすごく好きなんですよ。
山田も川谷は「ミュージックビデオは大変な思いをして作ったほうが絶対にいい作品になる」と意見が合致していた。
■アフターコロナの音楽・映像業界は、本当に独自性のある人だけが残っていく
「将来的には映画やドラマなどの監督もやりたい」と語る山田。ドラマの主題歌や激伴を手掛けたことのある川谷と、ゼロベースから物を作るときとの違いを語り合った。
川谷:すでにある映像に音楽にあてるのはテーマが絞られているから逆にやりやすいよ。普段の曲はなんでもいいから。「なんでもいい」と言われると急に正解が見えてこなくなる。でも、テーマがあるとすごく楽しいかな。
山田:まさに今、僕が感じていることです。ミュージックビデオは楽曲というテーマに寄り添うことを大前提に作るんですけど、シナリオはなんでもいいのですごく大変。自分が満足できなくてまったく着地できません(笑)。僕は5分くらいの映像の構成をずっとやっているので、15分や30分のオチのある話のアイデアはポンポン出てくるんですよ。でもそれが1時間半だと、それを3倍に膨らませるにはあと1、2個くらい伏線や設定が必要になる。急に満足できなくなっちゃいますね。
新型コロナウイルスの影響で大きな影響を受けているエンタメ業界。今後の音楽業界について、川谷は「もともとくる予定だった未来が早回しになるだけ」と冷静に見据える。
川谷:今は配信も多いけど、生のライブに代わるものは存在しないと思う。
山田:間違いないと思います。
川谷:いくら手の込んだことをやっても生には敵わない。配信も飽きがくるだろうから、俺は待つしかないと思ってる(笑)。(エンタメ業界に)ろ過機みたいな機能が働いて、芯がブレない人だけが残っていくんだろうなと。
山田:ふるいにかけられていきますよね。映像業界もここ5年くらいでインスタグラムなどの普及もあって、映像が撮れる人の母数はすごく増えました。でも今後その人たち全員の仕事はないだろうし、本当に独自性があって必要とされる人しか生き残れないと自分に言い聞かせて努力するしかないです。
外出ができない状況のなか、ミュージックビデオをリモートで撮影するアーティストも 増えてきた。しかし川谷は「もう限界を迎えている気がする」と語る。
川谷:唯一、twenty one pilots『Level of Concern』が面白かったけど、それも「全部やられたな」という感じだった。さっき雑談中にダッチくんが言っていたの、なんだっけ?
山田:The Strokesのメンバー5人がただビデオ会議アプリ「Zoom」で喋っている動画ですね。
山田:合間に映像が入ったりよく見る4分割の画面ではなくてちゃんと背景が動いたりして、色使いもバンドの音楽を象徴するような作品になっていてすごくこだわりを感じます。でも、もうそこまでやらないと観る側の目が肥え始めているので、ただのZoom映像では「はい、はい」みたいな感じになっちゃいますよね。
川谷:もう、テレビもすでに「はい、はい」って感じだよね。
新たな手法も増えていくが、視聴者はすぐそれに慣れてしまう。そうした追いかけっこを繰り返し、MVはさらに進化していくのかもしれない。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年6月7日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『J-WAVE SELECTION IN FOCUS』
放送日時:日曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/jwaveplus/
山田はSuchmos、米津玄師、菅田将暉、宇多田ヒカル、BiSHなど、 さまざまなアーティストのミュージックビデオ(MV)、ライブ映像、企業CMを手がけている。また、バンド・yahyelではVJとギターを担当。1992年、東京生まれのクリエイターだ。
この番組では、ゲスの極み乙女。やindigo la End、ジェニーハイ、ichikoroなど幅広く活躍するミュージシャンの川谷絵音をゲストに、それぞれの視点から見たクリエイティブへの考え方、これからの映像表現についてフォーカスした。ふたりの交流は、山田がゲスの極み乙女。『オンナは変わる』や、ジェニーハイ『不便な可愛げ feat. アイナ・ジ・エンド(BiSH)』のミュージックビデオを手がけたことでスタートしたそうだ。
■MVは、監督に委ねたほうがいいものができる
数々のミュージックビデオを作っている山田だが、実は「アーティストが作詞作曲した時点で表現が完結している曲に、監督が映像をつける必要性はあるのか」という考えも持っているという。しかし川谷は、「今はミュージックビデオがあって初めて曲が完成する気がする」と返答。MVを楽しみに待つファンや、それをきっかけに曲を好きになったという声を聞くからだ。
川谷:もともとは、自分の曲が斜めに伝わってほしくないから、監督と考えが違うと「いえ、こうなんですよ」と反論してた。でも(野田)洋次郎さんと飲んでいるときに「おまえ、すごく口出ししてるらしいな。映像は映像なんだから、(監督に)任せなよ」と言われてから、曲と映像は切り離すようになったかな。打ち合わせはするけど、監督の考えていることを最優先させたほうが、いいものができる。
山田:RADWIMPSと一度お仕事しましたけど、自分なりの考えを出したら「あとは頼む」みたいな感じでした。
川谷:やっぱり分業制がいいんだろうね。
山田:化学反応というか、変な化け方をすることもありますもんね。でも僕、絵音さんにも(あれこれ)言われたことないですね。
川谷:そのときは「頼みたいと思った人に関してはお任せで」っていう考えになってたから。「すごくいいものができてよかった」と思うことしかなかったな。
山田:それはすごくうれしいです。
■ワンカットの刹那感がある『オンナは変わる』MV
山田が監督したゲスの極み乙女。『オンナは変わる』のミュージックビデオは、川谷を含むバンドのメンバー4人が砂で作ったお城を囲んで演奏しているワンカットの作品。砂のお城をダンサーが崩していく演出となっている。メンバーからも評判がいいそうだ。
川谷:あの砂の城は、俺らも「もう1回(撮影を)するとなると、どうするんだろう」と思った。ワンカットの刹那感がすごい。でも、スタッフさんが「最後にカメラマンの影が映った?」「もう1回撮ったほうがいいんじゃないか」と言っていたけど、ダッチくん(山田)が「はい、終わり! これでOK!」って(笑)。それがすごく記憶に残ってる。
山田:マジの一発OKでしたもんね(笑)。ああいう決断って現場でけっこうあるんですよ。でも、もう一度時間をかけて2テイク目を撮っても他のところが気になってくる。それなら、「一発でやったね!」とみんなが信じられるほうが美しいと思っています。
川谷:結果としてすごくよかったよね。やり直しても、たぶんあの感じにはならなかったと思う。カメラマンさんが砂を踏まないように汗をかきながら撮影してた裏側を放送したいくらい(笑)。
川谷は、山田の作る映像について「ダッチくんの色がある」と評する。
川谷:前に米津が「もう映像はダッチが間違いない」と言っていて(笑)。そこで俺も改めて観たら「すごく冷たい世界観を持っている人だな」と思ったんだよね。もっとキャッチーな(映像を作る)人のほうが多くて、作品によって染まっちゃって「これ撮った監督とこれ撮った監督って同じだったんだ!」と驚くことがけっこうある。でもダッチくんはダッチくん色があって、それがすごくいい。前に「僕の映像はすごく暗くなるんですよ」と言っていたけど、一貫したものがあるんだよね。米津もそういう部分を言っていたんだろうな。
山田:ありがとうございます。めちゃくちゃうれしいですね(笑)。
■川谷が衝撃を受けた、満塁ホームラン型のMVとは?
衝撃を受けた国内外のアーティストのミュージックビデオについて訊かれると、川谷はイギリスの女性アーティスト・Bat For Lashes『Laura』を挙げた。
川谷:ダッチくんの冷たい世界観と共通するものがあると思う。俺は最初からバキバキに展開するより、たら~っといくけど最後にものすごく引き込まれるものが好き。これはミュージックビデオを観てさらに曲が好きになったな。
山田:僕は満塁にしてからホームラン打つような作品が好きなんですよ。最初から飛ばすのではなく、じんわりじんわりいって、みんなが出塁した状態で最後に大きな展開みたいな。さっき観たんですけど、前半はゆったりしていて最後にちょっとひどいシーンが出てくる。すごく好きなトーンでしたね。
川谷:満塁にして打つってすごくわかる(笑)。そういうところ、あるよね。
山田:確実に出塁して「これならホームラン出るだろう」という状況でドカンと行きますね。
川谷:それができるのがすごい。今、ストリーミング配信で聴き飛ばされないように音楽もどんどん短くなっている。歌始まりでBメロなしですぐにサビみたいな流れ。だから映像も最初にパンチラインが出てくるものが多いけど、満塁にしてからホームランを打つ映像で、これだけ再生されている監督ってなかなかいないと思うよ。
■部屋がどんどん小さくなる! 引き込まれるMV
一方の山田は、イギリスのミュージシャン・Bonobo『No Reason』を紹介した。同じ部屋をどんどん奥に進んでいくワンカット映像だが、同じ部屋が繰り返されているはずなのに、部屋の中にいる人がどんどん大きくなっていく不思議な作品だ。Radioheadの『Lift』のミュージックビデオも手掛けた、イギリスで活動するオスカー・ハドソンが監督している。
山田:ワンカット、ワンギミック、ワンカメラワーク。部屋がどんどん小さくなっていくから相対的に人間が大きく見えるという簡単な仕掛けを、リアルにやっているからビックリしました。メイキングも公開されていて、本当に小さな部屋を作っているんですよね。
川谷:俺もメイキングを観て衝撃を受けたよ。『戦ってしまうよ』のミュージックビデオを撮るときに、監督に「こういう部屋を作りたい」って言ったくらいかなりインスパイアされたな。
山田:『戦ってしまうよ』を観て、「インスパイアされてるかも」って思いました(笑)。海外のミュージックビデオって予算をすごく使ってド派手に演出するものが多いんですけど、これは上品な予算の使い方をしている感じなんですよね。美術にお金をかけてカメラはそんなにハイスペックじゃないみたいな。僕が一番好きな満塁ホームランタイプです(笑)。
川谷:最初は淡々と進んでいって最後に「え?」ってなる。しかも追いかけられて怖いしね。
山田:怖いですよね。曲調ともめちゃくちゃ合っててすごく好きなんですよ。
山田も川谷は「ミュージックビデオは大変な思いをして作ったほうが絶対にいい作品になる」と意見が合致していた。
■アフターコロナの音楽・映像業界は、本当に独自性のある人だけが残っていく
「将来的には映画やドラマなどの監督もやりたい」と語る山田。ドラマの主題歌や激伴を手掛けたことのある川谷と、ゼロベースから物を作るときとの違いを語り合った。
川谷:すでにある映像に音楽にあてるのはテーマが絞られているから逆にやりやすいよ。普段の曲はなんでもいいから。「なんでもいい」と言われると急に正解が見えてこなくなる。でも、テーマがあるとすごく楽しいかな。
山田:まさに今、僕が感じていることです。ミュージックビデオは楽曲というテーマに寄り添うことを大前提に作るんですけど、シナリオはなんでもいいのですごく大変。自分が満足できなくてまったく着地できません(笑)。僕は5分くらいの映像の構成をずっとやっているので、15分や30分のオチのある話のアイデアはポンポン出てくるんですよ。でもそれが1時間半だと、それを3倍に膨らませるにはあと1、2個くらい伏線や設定が必要になる。急に満足できなくなっちゃいますね。
新型コロナウイルスの影響で大きな影響を受けているエンタメ業界。今後の音楽業界について、川谷は「もともとくる予定だった未来が早回しになるだけ」と冷静に見据える。
川谷:今は配信も多いけど、生のライブに代わるものは存在しないと思う。
山田:間違いないと思います。
川谷:いくら手の込んだことをやっても生には敵わない。配信も飽きがくるだろうから、俺は待つしかないと思ってる(笑)。(エンタメ業界に)ろ過機みたいな機能が働いて、芯がブレない人だけが残っていくんだろうなと。
山田:ふるいにかけられていきますよね。映像業界もここ5年くらいでインスタグラムなどの普及もあって、映像が撮れる人の母数はすごく増えました。でも今後その人たち全員の仕事はないだろうし、本当に独自性があって必要とされる人しか生き残れないと自分に言い聞かせて努力するしかないです。
外出ができない状況のなか、ミュージックビデオをリモートで撮影するアーティストも 増えてきた。しかし川谷は「もう限界を迎えている気がする」と語る。
川谷:唯一、twenty one pilots『Level of Concern』が面白かったけど、それも「全部やられたな」という感じだった。さっき雑談中にダッチくんが言っていたの、なんだっけ?
山田:The Strokesのメンバー5人がただビデオ会議アプリ「Zoom」で喋っている動画ですね。
山田:合間に映像が入ったりよく見る4分割の画面ではなくてちゃんと背景が動いたりして、色使いもバンドの音楽を象徴するような作品になっていてすごくこだわりを感じます。でも、もうそこまでやらないと観る側の目が肥え始めているので、ただのZoom映像では「はい、はい」みたいな感じになっちゃいますよね。
川谷:もう、テレビもすでに「はい、はい」って感じだよね。
新たな手法も増えていくが、視聴者はすぐそれに慣れてしまう。そうした追いかけっこを繰り返し、MVはさらに進化していくのかもしれない。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年6月7日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『J-WAVE SELECTION IN FOCUS』
放送日時:日曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/jwaveplus/
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