ハリー杉山が初めて翻訳を手掛けたピーター・ガッツァーディの1冊『人生を変えるオズの魔法 ―『オズの魔法使い』が教えてくれる幸福への道』(中央公論新社)が3月に上梓された。同著は「友情やチームワークの大切さ」、「自分が主役となって人生という旅に向き合う勇気」、「最高の自分でいるために大事なこととは」など、世界的名作『オズの魔法使い』に散りばめられた人生の知恵を紹介している。
4月20日(月)~23日(木)にオンエアされたJ-WAVEの番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「CASE FILE」では、ハリー杉山が『オズの魔法使い』との出会いを振り返りながら、同著からのおすすめの言葉を紹介した。
■観るたび、新しいヒントに出会える作品
杉山は幼少期を過ごしたイギリスで、ジュディ・ガーランド主演の名作映画『オズの魔法使い』と出会った。
杉山:クリスマスとか休みの日に、どこかしらのテレビのチャンネルで『オズの魔法使い』をやってるんですよ。小さい頃、初めて観たとき「昔の映画だしつまんなそうだな」「チャンネルを変えようかな」と思った瞬間、ジュディ・ガーランド演じるドロシーが『虹の彼方に(Over the Rainbow)』を歌い始めて、「なんでこんなにグッとくるの?」と。そこから引き込まれたんです。
『オズの魔法使い』に魅了された杉山は、同作を何度も観返したという。そして、「観れば観るほど、いろいろなヒントが隠されていることに気づいた」と明かした。
杉山は『人生を変えるオズの魔法 ―『オズの魔法使い』が教えてくれる幸福への道』から、世の中の見方が変わるような知恵や気付きを紹介した。
■日常に対して初心の気持ち、そしてありがたみを持ってほしい
まず紹介した言葉は「世の中を初めて見るかのように見てみよう」。
杉山:特に大人たちは、歳を重ねるほどいろんなことに慣れてしまうけど、その慣れってすごく怖いことだと思うんです。たとえば、友だちと会うときや家族とバイバイするとき、大切な人が作るご飯を食べるときなど、それが保障されている日常のように感じてしまう。慣れに心を奪われてしまっている自分もいます。
そして、「慣れは子どものときに持っていた純粋な思いや、何かを人にどうしても伝えたいという気持ちを殺してしまうことがあると思う」と続ける。
杉山は約1年前、ロンドン大学時代からの親友と突然の別れを経験した。その際に、慣れの怖さを思い知ったという。
杉山:親友が亡くなる半年くらい前に「ちょっと話したいことがあるんだよね」と言われたんです。もともと精神にダメージを受けやすい人だったんだけど、僕は「どうせ大丈夫でしょ」と思ってしまった。電話もせず話も聞かないまま彼が亡くなったと聞いて、俺は何をやってんだって。このときにビギナーズマインド(初心)とか日常に対してありがたみを持っていたら、彼が話したいことにもう少し耳を傾けられていたかもしれません。
彼と過ごして楽しかった気持ちに慣れることなく、ちゃんとアプローチしていたら、今でも彼が生きているかもしれない、と杉山は悔やみ、「みなさんも日常に対して初心の気持ち、そしてありがたみを持ってほしい」と語った。
■恐怖は生活から切り離しても何回も生まれ変わってくる
次に紹介した言葉は「恐怖を怖がるともっと怖くなる。代わりに恐怖と友だちになろう」。
杉山:みなさん、怖がっていることはありますか? 新型コロナウイルスとの戦いの中、仕事がちゃんとできる日は来るのか、父親がいる介護施設にウイルスの感染者が出たらどうしようなど、僕は毎日何かに怖がり不安だらけです。でも、恐怖が自分の友だちになったら最強になるんですよね。
杉山はギリシア神話に登場する9頭の怪物「ヒュドラ」を例に、恐怖との付き合い方についてこう話す。
杉山:「ヒュドラ」ってめちゃめちゃしぶとくて、剣で首を飛ばしたとしても結局またその首が生えてきちゃうんですよ。恐怖もそんなもので、僕たちの生活から切り離しても何回も生まれ変わってくるんです。それくらい恐怖は人間と強い絆があります。
恐怖と向き合う場合、人は「立ち向かう」もしくは「逃げる」と2つの反応に分かれる。杉山は「自分たちの人生を恐怖に支配されてはいけない」と語気を強める。そして、恐怖を受け入れ、恐怖と友だちになるための「スクエア呼吸法」を教えた。
その方法は「1、2、3、4」と4秒間息を吸い込こみ、4秒間息を止め、そして4秒間息をはく。これを3〜4回ほどおこなうと交感神経と副交感神経のバランスが取れるようになり、少し落ち着くことができると説明する。
杉山:恐怖に襲われているときって周りが見えなくなっちゃうけど、そんなときこそ周りをちゃんと感じて冷静になることが重要なんです。今の気温や匂い、音を感じて、「本当に恐怖を感じてるのか?」ってチェックしてほしい。そうして自問自答して「恐怖さんは僕のことを守ろうとしてくれているんだよね。ありがとね。感謝するよ。でも、僕は今の状況をチェックすることができたからもう大丈夫。もう心配することはないから、君の仕事は完了だよ。オッケー」って言って、そのあと何回か深呼吸すると、心拍数が落ち着いていくのがわかるんですよね。恐怖をあなたの相棒にすることを意識してみてはいかがでしょうか。
■恐怖心を押さえ込むより認めることが大事
最後に紹介した言葉は「姿を現しただけで勝ったも同然」。
杉山:僕は11歳でイギリスに行ったとき、学校にアジア人が1人もいなかったし、みんなはフランス語やラテン語を6年学んでいたから、僕は超ビハインドだと感じて、もしかしたらクラスでいじめられるかもしれないって恐怖心がありました。外国人に対しての偏見があるから学校に行きたくなかった時期もありました。でも、そこで母親がいろいろ説明してくれたり、優しい言葉を投げかけてくれました。「今が辛抱する時期」だって。
何かを始めるときにはさまざまな恐怖が生まれる。しかし、その恐怖心を押さえ込むより認めることが大事だと杉山。
杉山:怖いけど、その現場に行くことによって生まれる奇跡っていろいろあるんですよ。反対にその場に姿を現さないともう結果は見えている。なんも変わらない。
杉山は大学受験に失敗したエピソードから、現場に行くことの重要性を学んだという。
杉山:当時、父親に「受験に失敗してごめんなさい」って言えなかったんです。その後、父親がパーキンソン病を患い、この先どうなるのかと不安もあったから、話が通じるうちに聞いてしまえと思い、「あのとき、俺は家族代々受かっている大学に落ちちゃったよね。正直どう思っているの?」と訊いたら、「君は上に向かって失敗しただけだよ」って言ってくれました。
それを聞いた杉山は「もし大学に落ちなかったら今の自分のキャリアもなかったかもしれないし、今出会えている人にも出会えなかったかもしれない」と実感したという。
杉山:失敗は新たな出会いや恵み、成功に繋がるかもしれないから、みなさんも上に向かって失敗してほしいんです。でも、上に向かって失敗することは姿を現さない限り絶対にできないこと。だから、何かにチャレンジするときは、その現場に行くことの重要性を理解してほしいです。
杉山は最後に、『人生を変えるオズの魔法 ―『オズの魔法使い』が教えてくれる幸福への道』について、こう締めくくった。
杉山:今、新型コロナウイルスと世界中が戦っている中、もしかしたら日常で一番大切なものを忘れてしまったり、ちょっと切羽詰まっているから、いつも以上に大切な人に厳しい言葉を投げかけてしまったりすることなどがたくさんあると思います。そんなときは、ぜひ、この本を読んでほしい。そうすると日常がまた違うふうに見えてきます。そして、こういう厳しいときだからこそ立ち向かって自分のものとなるような言葉を宝にしてほしいです。『オズの魔法使い』が教えてくれる優しい魔法にかかってほしいなと思います。
人生の大切な知恵や気付きが散りばめられた『人生を変えるオズの魔法 ―『オズの魔法使い』が教えてくれる幸福への道』をぜひ手にとってほしい。
『JAM THE WORLD』のワンコーナー「CASE FILE」では、時代を映すニュースなキーワードを、リスナーの記憶にファイリングする。放送は月曜~木曜の19時25分頃から。
【4月20日(月)の放送回をradikoで聴く】(2020年4月27日28時59分まで)
【4月21日(火)の放送回をradikoで聴く】(2020年4月28日28時59分まで)
【4月22日(水)の放送回をradikoで聴く】(2020年4月29日28時59分まで)
【4月23日(木)の放送回をradikoで聴く】(2020年4月30日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/
4月20日(月)~23日(木)にオンエアされたJ-WAVEの番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「CASE FILE」では、ハリー杉山が『オズの魔法使い』との出会いを振り返りながら、同著からのおすすめの言葉を紹介した。
■観るたび、新しいヒントに出会える作品
杉山は幼少期を過ごしたイギリスで、ジュディ・ガーランド主演の名作映画『オズの魔法使い』と出会った。
杉山:クリスマスとか休みの日に、どこかしらのテレビのチャンネルで『オズの魔法使い』をやってるんですよ。小さい頃、初めて観たとき「昔の映画だしつまんなそうだな」「チャンネルを変えようかな」と思った瞬間、ジュディ・ガーランド演じるドロシーが『虹の彼方に(Over the Rainbow)』を歌い始めて、「なんでこんなにグッとくるの?」と。そこから引き込まれたんです。
『オズの魔法使い』に魅了された杉山は、同作を何度も観返したという。そして、「観れば観るほど、いろいろなヒントが隠されていることに気づいた」と明かした。
杉山は『人生を変えるオズの魔法 ―『オズの魔法使い』が教えてくれる幸福への道』から、世の中の見方が変わるような知恵や気付きを紹介した。
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■日常に対して初心の気持ち、そしてありがたみを持ってほしい
まず紹介した言葉は「世の中を初めて見るかのように見てみよう」。
杉山:特に大人たちは、歳を重ねるほどいろんなことに慣れてしまうけど、その慣れってすごく怖いことだと思うんです。たとえば、友だちと会うときや家族とバイバイするとき、大切な人が作るご飯を食べるときなど、それが保障されている日常のように感じてしまう。慣れに心を奪われてしまっている自分もいます。
そして、「慣れは子どものときに持っていた純粋な思いや、何かを人にどうしても伝えたいという気持ちを殺してしまうことがあると思う」と続ける。
杉山は約1年前、ロンドン大学時代からの親友と突然の別れを経験した。その際に、慣れの怖さを思い知ったという。
杉山:親友が亡くなる半年くらい前に「ちょっと話したいことがあるんだよね」と言われたんです。もともと精神にダメージを受けやすい人だったんだけど、僕は「どうせ大丈夫でしょ」と思ってしまった。電話もせず話も聞かないまま彼が亡くなったと聞いて、俺は何をやってんだって。このときにビギナーズマインド(初心)とか日常に対してありがたみを持っていたら、彼が話したいことにもう少し耳を傾けられていたかもしれません。
彼と過ごして楽しかった気持ちに慣れることなく、ちゃんとアプローチしていたら、今でも彼が生きているかもしれない、と杉山は悔やみ、「みなさんも日常に対して初心の気持ち、そしてありがたみを持ってほしい」と語った。
■恐怖は生活から切り離しても何回も生まれ変わってくる
次に紹介した言葉は「恐怖を怖がるともっと怖くなる。代わりに恐怖と友だちになろう」。
杉山:みなさん、怖がっていることはありますか? 新型コロナウイルスとの戦いの中、仕事がちゃんとできる日は来るのか、父親がいる介護施設にウイルスの感染者が出たらどうしようなど、僕は毎日何かに怖がり不安だらけです。でも、恐怖が自分の友だちになったら最強になるんですよね。
杉山はギリシア神話に登場する9頭の怪物「ヒュドラ」を例に、恐怖との付き合い方についてこう話す。
杉山:「ヒュドラ」ってめちゃめちゃしぶとくて、剣で首を飛ばしたとしても結局またその首が生えてきちゃうんですよ。恐怖もそんなもので、僕たちの生活から切り離しても何回も生まれ変わってくるんです。それくらい恐怖は人間と強い絆があります。
恐怖と向き合う場合、人は「立ち向かう」もしくは「逃げる」と2つの反応に分かれる。杉山は「自分たちの人生を恐怖に支配されてはいけない」と語気を強める。そして、恐怖を受け入れ、恐怖と友だちになるための「スクエア呼吸法」を教えた。
その方法は「1、2、3、4」と4秒間息を吸い込こみ、4秒間息を止め、そして4秒間息をはく。これを3〜4回ほどおこなうと交感神経と副交感神経のバランスが取れるようになり、少し落ち着くことができると説明する。
杉山:恐怖に襲われているときって周りが見えなくなっちゃうけど、そんなときこそ周りをちゃんと感じて冷静になることが重要なんです。今の気温や匂い、音を感じて、「本当に恐怖を感じてるのか?」ってチェックしてほしい。そうして自問自答して「恐怖さんは僕のことを守ろうとしてくれているんだよね。ありがとね。感謝するよ。でも、僕は今の状況をチェックすることができたからもう大丈夫。もう心配することはないから、君の仕事は完了だよ。オッケー」って言って、そのあと何回か深呼吸すると、心拍数が落ち着いていくのがわかるんですよね。恐怖をあなたの相棒にすることを意識してみてはいかがでしょうか。
■恐怖心を押さえ込むより認めることが大事
最後に紹介した言葉は「姿を現しただけで勝ったも同然」。
杉山:僕は11歳でイギリスに行ったとき、学校にアジア人が1人もいなかったし、みんなはフランス語やラテン語を6年学んでいたから、僕は超ビハインドだと感じて、もしかしたらクラスでいじめられるかもしれないって恐怖心がありました。外国人に対しての偏見があるから学校に行きたくなかった時期もありました。でも、そこで母親がいろいろ説明してくれたり、優しい言葉を投げかけてくれました。「今が辛抱する時期」だって。
何かを始めるときにはさまざまな恐怖が生まれる。しかし、その恐怖心を押さえ込むより認めることが大事だと杉山。
杉山:怖いけど、その現場に行くことによって生まれる奇跡っていろいろあるんですよ。反対にその場に姿を現さないともう結果は見えている。なんも変わらない。
杉山は大学受験に失敗したエピソードから、現場に行くことの重要性を学んだという。
杉山:当時、父親に「受験に失敗してごめんなさい」って言えなかったんです。その後、父親がパーキンソン病を患い、この先どうなるのかと不安もあったから、話が通じるうちに聞いてしまえと思い、「あのとき、俺は家族代々受かっている大学に落ちちゃったよね。正直どう思っているの?」と訊いたら、「君は上に向かって失敗しただけだよ」って言ってくれました。
それを聞いた杉山は「もし大学に落ちなかったら今の自分のキャリアもなかったかもしれないし、今出会えている人にも出会えなかったかもしれない」と実感したという。
杉山:失敗は新たな出会いや恵み、成功に繋がるかもしれないから、みなさんも上に向かって失敗してほしいんです。でも、上に向かって失敗することは姿を現さない限り絶対にできないこと。だから、何かにチャレンジするときは、その現場に行くことの重要性を理解してほしいです。
杉山は最後に、『人生を変えるオズの魔法 ―『オズの魔法使い』が教えてくれる幸福への道』について、こう締めくくった。
杉山:今、新型コロナウイルスと世界中が戦っている中、もしかしたら日常で一番大切なものを忘れてしまったり、ちょっと切羽詰まっているから、いつも以上に大切な人に厳しい言葉を投げかけてしまったりすることなどがたくさんあると思います。そんなときは、ぜひ、この本を読んでほしい。そうすると日常がまた違うふうに見えてきます。そして、こういう厳しいときだからこそ立ち向かって自分のものとなるような言葉を宝にしてほしいです。『オズの魔法使い』が教えてくれる優しい魔法にかかってほしいなと思います。
人生の大切な知恵や気付きが散りばめられた『人生を変えるオズの魔法 ―『オズの魔法使い』が教えてくれる幸福への道』をぜひ手にとってほしい。
『JAM THE WORLD』のワンコーナー「CASE FILE」では、時代を映すニュースなキーワードを、リスナーの記憶にファイリングする。放送は月曜~木曜の19時25分頃から。
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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/