J-WAVEで放送中の番組『RADIO DONUTS』(ナビゲーター:渡辺 祐・山田玲奈)のワンコーナー「TOKYO GAS LIFE IS A GIFT」。3月28日(土)のオンエアでは、ASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文が後藤が発起人を務めた、新進気鋭ミュージシャンの作品賞「APPLE VINEGAR -Music Award-」について語った。
■日本のポップミュージックの歴史を、上手に残していくために
「APPLE VINEGAR -Music Award-」は2018年にスタートし、今年で3回目の開催となる。デビューアルバムに限らず、ミュージシャンがキャリア初期に発表した作品を評価する仕組みで、芥川賞を参考にしたそうだ。今後の作品制作をサポートできるようにと、賞金を贈呈するスタイルだ。
後藤は、ライブハウスやコンサートホールでの活動をメインにしているミュージシャンについて、「アルバムなどを評価する賞が、あまり存在しないと感じていた」と、発足の経緯を明かす。
後藤:新人賞的なものは、いろいろなところであるにはあるんですが、それはわりと“人”にフォーカスが当たっていて、あまり作品を褒めてもらえる場所がないなと思ったんです。「APPLE VINEGAR -Music Award-」発足のきっかけは、夢に見たこと。夢のなかで「APPLE VINEGAR賞」って言っていて、目が覚めたときに鮮明に名前が残っていたんです。今となっては正夢というか、「とんでもないことをしちゃったな」みたいな、自分で賞金を出すとか言っちゃったりね(笑)。これはもうちゃんとした賞を作ってみんなで称えていくような流れを作っていかないと、日本のポップミュージックの歴史って上手に残っていかないんじゃないかなと思って始めたことではありますね。
■音楽シーンで広がる「DIY」
今年ノミネートされたのは、以下のミュージシャンの作品。
『Agate』(Black Boboi)
『Andless』(Daichi Yamamoto)
『BODY』(AAAMYYY)
『Brown』(Sweet William)
『Dos City』(Dos Monos)
『Down the Valley』(NOT WONK)
『Q曲』(東郷清丸)
『エアにに』(長谷川白紙)
『けものたちの名前』(ROTH BART BARON)
『毎日来日』(なみちえ)
大賞や特別賞を受賞した作品は公式サイトをチェック。今回のノミネート作品に、後藤はどんなことを感じたのか。
後藤:たとえば、Black Boboiはツアーでしか買えないとか、ライブ会場限定とか。なみちえさんは、最初は自分でDMを送ってお金を振り込むと届けられるみたいな、DIYで売っていたもので、配信すらありませんでした。そういう感じで、特にレーベルで出さずに、自分たちだけでやっている人が増えてきている感じはしますよね。東郷清丸もわりとDIY。彼のCDも通販で買ったけど、たぶん本人がパッケージに詰めて送ってくる。NOT WONKはレーベルがついてますけど、自分たちでイベントを組んだり。過去にはGEZANもDIYだった。若い人たちは独立心が旺盛なのか、自分たちでやらざるを得ないのかはわからないですけど、自分たちの手でやっている人が増えているというのは、すごくかっこいいですよね。
■賞金を贈ることの意義
後藤は「APPLE VINEGAR -Music Award-」を立ち上げた当初から、「トロフィーなどではなく賞金を贈る」ということを大切にしている
後藤:坂本龍一さんとか亀田誠治さんとかが出してくださって、僕も毎年、自分で賞金を出しています。賞金がどうして大事かというと、ちゃんと新しいものを作るにはお金がいるからです。制作費の足しにしてもらう。名誉だけ贈るみたいなのは、賞を贈る側のただの権威付けの道具になってしまう。「僕らが選んであげたんだから賞を取りに来いよ」みたいな感じになるのは違うなと思っているんです。20万円でも、新しい機材が買えますし、スタジオを1日借り切れる。曲でいったら、頑張れば5、6曲とか、ドラムやベースが録れたりするし、そういうお金でミュージシャンたちは何歩も作品のクオリティを上げることができる。目録とかじゃなくてお金を持っていくので、もらうとみなさん感激というか、人の想いが乗っているお金だから重みがありますよね。
過去に「APPLE VINEGAR -Music Award-」で賞を獲った中村佳穂は、Moogのシンセサイザーを買ったそうだ。また、後藤は「KID FRESINOは自転車を買うとか言っていたから、そういうところもFRESINOはかっこいいなと思いました」と嬉しそうに話す。
そして最後に「聴く人たちがいて作る人たちがいる」「みんなが聴いて新しい音楽に『あなたはすばらしいですよ』と言ってあげるのは大事なこと」と語った。
後藤は、J-WAVEで4月5日(日)からスタートする新番組『INNOVATION WORLD ERA』(毎週日曜 23:00-23:54)にて、第2週目にナビゲーターを務める。ゲストを迎えて対談し、「新しい時代」を築く“イノベーションの種”を探していく番組だ。オンエアだけでなく、Podcastでも聴くことができる。ナビゲーターは週替りで、ライゾマティクスの真鍋大度(第1週)、後藤(第2週)、のん(第3週)、小橋賢児(第4週)。番組最初のゲストは坂本龍一(4/5オンエア)。後藤の初回オンエアは12日(日)となる。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年4月4日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『RADIO DONUTS』
放送日時:毎週土曜 8時-12時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/radiodonuts
■日本のポップミュージックの歴史を、上手に残していくために
「APPLE VINEGAR -Music Award-」は2018年にスタートし、今年で3回目の開催となる。デビューアルバムに限らず、ミュージシャンがキャリア初期に発表した作品を評価する仕組みで、芥川賞を参考にしたそうだ。今後の作品制作をサポートできるようにと、賞金を贈呈するスタイルだ。
後藤は、ライブハウスやコンサートホールでの活動をメインにしているミュージシャンについて、「アルバムなどを評価する賞が、あまり存在しないと感じていた」と、発足の経緯を明かす。
後藤:新人賞的なものは、いろいろなところであるにはあるんですが、それはわりと“人”にフォーカスが当たっていて、あまり作品を褒めてもらえる場所がないなと思ったんです。「APPLE VINEGAR -Music Award-」発足のきっかけは、夢に見たこと。夢のなかで「APPLE VINEGAR賞」って言っていて、目が覚めたときに鮮明に名前が残っていたんです。今となっては正夢というか、「とんでもないことをしちゃったな」みたいな、自分で賞金を出すとか言っちゃったりね(笑)。これはもうちゃんとした賞を作ってみんなで称えていくような流れを作っていかないと、日本のポップミュージックの歴史って上手に残っていかないんじゃないかなと思って始めたことではありますね。
■音楽シーンで広がる「DIY」
今年ノミネートされたのは、以下のミュージシャンの作品。
『Agate』(Black Boboi)
『Andless』(Daichi Yamamoto)
『BODY』(AAAMYYY)
『Brown』(Sweet William)
『Dos City』(Dos Monos)
『Down the Valley』(NOT WONK)
『Q曲』(東郷清丸)
『エアにに』(長谷川白紙)
『けものたちの名前』(ROTH BART BARON)
『毎日来日』(なみちえ)
大賞や特別賞を受賞した作品は公式サイトをチェック。今回のノミネート作品に、後藤はどんなことを感じたのか。
後藤:たとえば、Black Boboiはツアーでしか買えないとか、ライブ会場限定とか。なみちえさんは、最初は自分でDMを送ってお金を振り込むと届けられるみたいな、DIYで売っていたもので、配信すらありませんでした。そういう感じで、特にレーベルで出さずに、自分たちだけでやっている人が増えてきている感じはしますよね。東郷清丸もわりとDIY。彼のCDも通販で買ったけど、たぶん本人がパッケージに詰めて送ってくる。NOT WONKはレーベルがついてますけど、自分たちでイベントを組んだり。過去にはGEZANもDIYだった。若い人たちは独立心が旺盛なのか、自分たちでやらざるを得ないのかはわからないですけど、自分たちの手でやっている人が増えているというのは、すごくかっこいいですよね。
■賞金を贈ることの意義
後藤は「APPLE VINEGAR -Music Award-」を立ち上げた当初から、「トロフィーなどではなく賞金を贈る」ということを大切にしている
後藤:坂本龍一さんとか亀田誠治さんとかが出してくださって、僕も毎年、自分で賞金を出しています。賞金がどうして大事かというと、ちゃんと新しいものを作るにはお金がいるからです。制作費の足しにしてもらう。名誉だけ贈るみたいなのは、賞を贈る側のただの権威付けの道具になってしまう。「僕らが選んであげたんだから賞を取りに来いよ」みたいな感じになるのは違うなと思っているんです。20万円でも、新しい機材が買えますし、スタジオを1日借り切れる。曲でいったら、頑張れば5、6曲とか、ドラムやベースが録れたりするし、そういうお金でミュージシャンたちは何歩も作品のクオリティを上げることができる。目録とかじゃなくてお金を持っていくので、もらうとみなさん感激というか、人の想いが乗っているお金だから重みがありますよね。
過去に「APPLE VINEGAR -Music Award-」で賞を獲った中村佳穂は、Moogのシンセサイザーを買ったそうだ。また、後藤は「KID FRESINOは自転車を買うとか言っていたから、そういうところもFRESINOはかっこいいなと思いました」と嬉しそうに話す。
そして最後に「聴く人たちがいて作る人たちがいる」「みんなが聴いて新しい音楽に『あなたはすばらしいですよ』と言ってあげるのは大事なこと」と語った。
後藤は、J-WAVEで4月5日(日)からスタートする新番組『INNOVATION WORLD ERA』(毎週日曜 23:00-23:54)にて、第2週目にナビゲーターを務める。ゲストを迎えて対談し、「新しい時代」を築く“イノベーションの種”を探していく番組だ。オンエアだけでなく、Podcastでも聴くことができる。ナビゲーターは週替りで、ライゾマティクスの真鍋大度(第1週)、後藤(第2週)、のん(第3週)、小橋賢児(第4週)。番組最初のゲストは坂本龍一(4/5オンエア)。後藤の初回オンエアは12日(日)となる。
J-WAVE新番組『INNOVATION WORLD ERA』(毎週日曜23時~)が4月スタート!#真鍋大度 @daitomanabe #後藤正文 @gotch_akg #のん @non_staffnews #小橋賢児 @KENJI_KOHASHI
— INNOVATION WORLD ERA (@iwera813) April 3, 2020
4人が週替わりでお届け。
ラジオに加えて、Podcastでも配信。初回4/5(日)をお楽しみに。https://t.co/0byj9pmNv9 pic.twitter.com/pHrlsRyOfG
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【番組情報】
番組名:『RADIO DONUTS』
放送日時:毎週土曜 8時-12時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/radiodonuts