『ハリー・ポッター』最終巻の19年後を描いた舞台に感動! 中井智彦「没入感がハンパない」

J-WAVEの番組『STAGE PIA WE/LIVE/MUSICAL』(ナビゲーター:中井智彦)。3月27日(金)のオンエアでは、中井智彦によるロンドンレポートをお届け。印象に残ったミュージカルを紹介した。


■感動あり、笑いあり、怒濤のようにストーリーが流れる作品

中井は2月末にロンドンに滞在し、『ウェイトレス』『メリー・ポピンズ』『ディア・エヴァン・ハンセン』など8作品のミュージカルを観劇した。ロンドン滞在中に中井が一番心を踊らせた作品は『カム・フロム・アウェイ』だった。

この作品は、9.11アメリカ同時多発テロ事件でアメリカに着陸禁止された飛行機がカナダにあるニューファンドランド島にたどり着き、7000人もの旅客難民ができてしまった実話をもとにしたミュージカル。

中井:ニューファンドランド島にある、人口6000人の小さな町・ガンダーにこの7000人が来ちゃったんですよ。大変なことですよね。この作品は「誰しもが難民になる可能性がある」というメッセージを発信していて、そのなかで人間の温かさをすごく感じることのできる舞台です。

深刻な内容かと思いきや、コメディとして楽しめる仕上がりになっているところが、この作品のすごいところだと中井は絶賛する。

中井:この作品は主役がいないんです。みんながそれぞれそこに生きているからこそ、この世界が動いていて、ガンダーでこれだけ感動的な物語が生まれた。みんなが主役ということをこれだけ表してくれる作品にワクワク、ドキドキしました。

演出は舞台上の椅子と机のみ。それを出演者全員が素早く動かすことによって場面転換を行うという。

中井:90分一幕の作品なのですが、息をつく暇もない。一瞬にして違う服を着ただけで違う役になることのできる役者がそろっています。1人が何役もこなせる演者がそろっているだけではなく、全員が芝居、歌、踊りがとてもうまい。踊りをきれいにみせるとか歌をうまく聴かせるという次元ではなく、そこに生きている、みんな実在しているという演技のリアリティがあるからこそ、一斉に踊り出す説得力があるし、一斉に歌い出す説得力がある。なんともシビれた舞台でした。

中井は「90分で何のストレスもなく怒濤のようにストーリーが流れ、感動あり、笑いありと、この舞台は素晴らしかった」と、そのときの様子をしみじみと振り返った。


■魔法の使い方が面白くてしょうがなかった

中井は、日本での上演が決まっている舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』も観劇した。

この作品はイギリスの作家J.K.ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズの最終巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』(静山社)の19年後を描いた物語。上演は2部構成で合計5時間15分の大作となる。

中井:開場して客席に着くと、舞台上にはキングス・クロス駅と思われるようなものが照明できれいに作られていて没入感がハンパないんです。

<あらすじ>
魔法界の英雄ハリー・ポッターも、今や3人の子を持つ父親になり、魔法省の役人として働き詰めの生活を送っている。ハリーが今もなお自分の過去の呪縛と日々格闘する一方で、次男のアルバスは、“ハリー・ポッターの息子”であることの重圧に押しつぶされそうになっている。現在と過去の時制が不気味に交錯するなか、暗黒の世界はいまだ存在するという受け入れがたい事実を、父と子は知ることとなる……。
『ハリー・ポッターと呪いの子』公式ホームページより



中井:この作品はハリー・ポッターの子どもたちが大活躍するんです。『ハリー・ポッター』を舞台にするということで、どれだけ大スペクタクルなのか、どれだけ最新技術を使って魔法を表現するのか、という興味を持ち観に行ったんですが、いい意味で演劇的手法をたくさん取り入れた見応えのある舞台でした。「確かに魔法に見える」「さっきそこにいたのに!?」みたいなことを、演劇的手法で魔法が成立していることに感動しました。

そして、中井は「こういう続編の出し方もあるんだな」と感心したという。

中井:小説としてあれだけ完結した作品が、次は舞台で新たな続編になって出てくる。それってすごい取り組みだなと思いました。観終わって一番感じたのは、お客さまの熱い反応です。あのキャラクターが出てきたときの喜びとか驚きとか、ドキドキのストーリー展開。まったく妥協することなく、スペクタクルで見せるのではなく脚本の面白さで見せている。1部、2部と1日がかりで観る作品だけど、脚本で飽きるところが一切ない。その中で、演劇的手法で表現した魔法の使い方が面白くてしょうがなかったですね。続編を楽しみにしていた人たちで溢れた観客席は、1部が終わって「どうなっちゃうの!?」とどよめきました。『ハリー・ポッター』ファンにはたまらない作品です。

「小説や映画の続編として、ここまで完成された舞台があるのかと思うくらい感動した」と中井は興奮冷めやらぬ様子だった。

日本語版の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は2022年夏に東京・TBS赤坂ACTシアターを専用劇場に改修して、無制限のロングラン形式で上演される予定だ。

他にも番組では、中井がロンドンで観劇した『ウェイトレス』や『ディア・エヴァン・ハンセン』を語る場面もあった。

『STAGE PIA WE/LIVE/MUSICAL』では、ミュージカル俳優の中井がゲストを迎えて、ミュージカルの話や作品の解説など、さまざまな形でミュージカルの魅力をお届けする。放送は毎週金曜の22時30分から。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年4月3日28時59分まで)
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【番組情報】
番組名:『STAGE PIA WE/LIVE/MUSICAL』
放送日時:毎週金曜 22時30分-23時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/musical/

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