映画『猿楽町で会いましょう』舞台挨拶

金子大地×石川瑠華は「みずみずしく、自由で美しい」 映画『猿楽町で会いましょう』舞台挨拶をレポート

第32回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門正式出品作に選出された映画『猿楽町で会いましょう』の舞台挨拶が10月30日(水)、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、主演の金子大地と石川瑠華、監督の児山隆が登壇した。



同作は渋谷の街を舞台に、若者の刹那な恋を流麗なカメラワークで切り取る。金子大地が演じるのは、鳴かず飛ばずのフォトグラファー・小山田役。石川瑠華は、読者モデルのユカ役を務めた。ふたりは出会って距離を縮めていくが、ユカが小山田に体を許すことは決してない。そんな中、小山田が撮ったユカの写真によって、運命が大きく変わっていく。


■金子大地×石川瑠華、キャスティングの経緯は

金子は昨年『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)の栗林歌麻呂役で知名度が高まり、今年は『腐女子、うっかりゲイに告る。』でNHKドラマ初主演を務めたほか、現在放映中の『チート』(日本テレビ系)では本田翼とタッグを組み話題を呼んでいる。石川は、大ヒット作『カメラを止めるな!』の制作陣が再集結した映画『イソップの思うツボ』でも主演に抜擢された、注目の若手女優だ。



児山監督の長編デビューとなる同作は、映画の予告編を作って応募するコンペティション「第二回 未完成映画予告編大賞MI-CAN」でグランプリを受賞して制作された。主演女優として石川にオファーをしたのは、インスタグラムで写真を見かけたことがきっかけだったという。

児山:(予告編を制作した2017年当時は)石川さんがまだ女優のお仕事をやっていなかった時期で、「実在感があるな」と思って、DMでオファーしたんです。「僕はあやしい人じゃないです」なんて言いつつ(笑)。予告編がグランプリを受賞し本制作をすることになったときも、僕もスタッフも全員一致で「石川さんにユカ役を演じてもらいたい」と感じていました。





本制作にあたって小山田役を探しているとき、キャスティング担当者が紹介したのが金子だった。

児山:金子さんの映像資料を観させていただいて、「おもしろい人だな」と。実際に会ってみたら、僕が観たどの映像とも違う印象で、そこにグッときたんです。会って30秒か1分で「お願いしたいです」とお伝えしました。




■作品を観て、ふたりの「存在」を感じてほしい

小山田とユカは、内面が複雑なキャラクターだという。石川は「私が演技を始めた感じと、ユカ(の境遇)が似ていたので、少し前の自分になろうと思って演じていました」と振り返る。



金子は、上映前の舞台挨拶ということで言葉に悩みつつ、「今までやったことがない役。でも、自分から出ていることもあるので、そこを観てもらいたいです」と語った。



石川に対しては、こんな思いもあった。

金子:2分間の予告編を観たとき、石川さんの表情が頭の中に残ったんです。長編を撮るということで、「もっと石川さんの表情を引き出したい」と思っていて。撮影中も監督とずっと話し合っていたので、映っていればいいなと思います。



児山監督は最後に、作品への思いを述べた。

児山:この作品の中で、金子大地という俳優と石川瑠華という女優は、みずみずしく、自由で、美しい。このふたりの主演で初めての長編作が撮れたことを、本当に感謝しています。ふたりのお芝居を、ふたりの存在を、存分に感じていただければと思います。





最後のフォトセッションでは、緊張気味な監督に、金子が「笑顔、笑顔!」と声をかけて、三人で笑い合う場面もあった。



『猿楽町で会いましょう』では金子と石川のほか、ユカの元恋人・良平役として栁俊太郎、ユカがタレント養成学校で出会う友人・久子役で小西桜子、雑誌編集長役で前野健太が出演する。2020年、渋谷のシネクイントから全国順次公開。



■『猿楽町で会いましょう』』公式サイト
http://sarugakuchode.com/

(文=西田友紀)

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