新潮文庫nex編集長・高橋裕介が「さすが世界一のNetflixだな」と称賛したドラマとは?

J-WAVEの番組『TAKRAM RADIO』(ナビゲーター:渡邉康太郎)。東京とロンドンを拠点に、人工衛星から和菓子まで幅広くものづくりに取り組むデザインファームTakramの渡邉康太郎が、未来を切り開くインスピレーションを伝える番組。9月5日(木)のオンエアでは、新潮文庫nex編集長・高橋裕介が登場。「Amazon/Netflix時代の物語の意味」をテーマに語った。


■Netflixの新たな試み

高橋は1985年生まれ。『週刊新潮』編集部を経て、2012年に「新潮文庫」編集部へ移動。「新潮文庫nex」を立ち上げ、2016年3月より編集長に就任した。主な文庫作品は、伊坂幸太郎『ジャイロスコープ』、宮部みゆき『ソロモンの偽証』、河野 裕『いなくなれ、群青』などがある。

「新潮文庫nex」は、2014年に創刊100年を迎えた「新潮文庫」が「若い人に小説を読んでもらいたい」との思いから作ったサブレーベルだ。高橋は、カバーにイラストを使ってデザイン性を高めつつも、あくまで中身の小説で勝負していると解説した。

まず、テーマ「Amazon/Netflix時代」を象徴するドラマ作品として、インタラクティブな要素が話題のNetflixで配信中の『ブラック・ミラー: バンダースナッチ』について語った。

Netflixでシーズン5まで配信されている『ブラック・ミラー』は、急速に進化を遂げたテクノロジーがもたらす社会の歪みや人間の暗部をダークな皮肉を込めて描く、オムニバスSFシリーズだ。『バンダースナッチ』(2018)は、同シリーズのインタラクティブ映画だ。


渡邉:CYOA(Choose Your Own Adventure)という、要所で選択肢が現れてシナリオが分岐して、エンディングが複数存在するドラマですよね。
高橋:初めて観たときは衝撃的で悔しくて。単純な選択型じゃなくて、映像がいちいち綺麗だし、演出もそうです。音楽も選択したもので流れる曲が変わる。視覚的にも音楽的にも、エンターテインメントとして常にドキドキしていられる。自分が選んだものがダイレクトに映像になってくるので「すごいのきちゃったな。さすが世界一のNetflixだな」と思いました。
渡邉:単にシナリオやプロットを選択するインタラクションというだけではなくて、企業の広報活動やマーケティング、データ収集にも使われているという話があります。シリアルブランドのAとBを選ぶことがプロットに繋がっていますが、それによって「この作品の視聴者はAのシリアルのほうが好き」みたいなデータが取得できて、それを売買するのもNetflixのビジネスのひとつになっていると、どこかの記事で読みました。製作者や視聴者がいるだけではなく、そこに企業という第三者も入ってくるなかで、大きなエコシステムを形成している。だから資金源があって継続的に作品を作れるという構造です。これは他のジャンルだとなかなか出来ないのかなと思います。


■出版業界は読者のデータ不足?

高橋は、Netflixのデータ収集に基づいたコンテンツ戦略は、同じく物語を扱う出版業界の環境とは大きく異なると話す。

高橋:「Amazon/Netflix時代」というテーマで大きく違うなと思うのは、紙の本の流通でいうと読者のことはほとんどわからないんです。いま日本に書店は1万2000店くらいあります。書店に来るお客さんを見ているのは、デジタル媒体を介してではなく、書店員という生身の人です。その人の視覚判断で、見た目の年齢や性別がわかるにしても、どんな趣味を持っているかというデータは一切取れません。書店や取次を介して出版社にきて、作家に届くまでに仲介者も多いので、データが取れない。だから次の作品を作家が作るというときに、データからの還元で物語を作っていくというアプローチは、出版界には基本的にないんです。NetflixやAmazonは個々の選択とかで「この番組を観た人はこれが多い」ということが全部わかるわけですよね。これは作る物語に対してすごい影響を与えていて、この点は「時代が変わってきているな」と思います。

トーク後半では、「Amazon/Netflix時代」の出版業界の取り組みについて高橋が語った。「新潮文庫nex」が参加しているアプリ「LINEノベル」は、出版社が提供する作品と、小説家になりたい投稿者の作品の両方を楽しめるサービスだ。詳しくはradikoでチェックしてみてほしい。

9月12日(木)の『TAKRAM RADIO』も、引き続き渡邉と高橋のトークをお送りする。お楽しみに!

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【番組情報】
番組名:『TAKRAM RADIO』
放送日時:毎週木曜 26時30分-27時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/takram/

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