画像素材:PIXTA

新聞もテレビも雑誌もWEBも…メディアが存続するためには「狭い業界内で競争している暇はない」

昨今、急激に広がるデジタルメディアにはどのような課題があるのでしょうか。J-WAVE『JAM THE WORLD』のナビゲーター・グローバーと、「BuzzFeed Japan」シニアフェローの古田大輔さんが、「デジタル時代のメディアのあり方」をテーマに考えました。

【6月24日(月)のオンエア:『JAM THE WORLD』の「UP CLOSE」(ナビゲーター:グローバー/月曜担当ニュースアドバイザー:津田大介。この日は代演で古田大輔)】
http://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20190624202157


■インターネットメディアは「拡散」が勝負だった

古田さんは朝日新聞の記者から、2015年にBuzzFeed Japanに入り、2016年1月に創刊編集長に就任。現在は独立し、シニアフェローをつとめています。

BuzzFeed Japanの創設時から、インターネットメディアはどんな形で成長してきたのでしょうか。

古田:当時は、Facebookがすさまじく大きい影響をメディアに与えていました。「Facebookからどれだけ流入があるかが勝負」と言われていたんです。
グローバー:何をもって「勝負」なのですか?
古田:どれだけ多くのユーザーにコンテンツを届けられるかが、インターネットメディアの勝負です。Facebookが始まる前は、Google検索の上位に出てくるコンテンツを作らないといけないと言われていました。その後はFacebookやTwitterが伸びてきた。特にFacebookでユーザーがシェア・拡散していくことが、インターネットメディアのコンテンツにとって非常に大きな意味があると語られていました。

ソーシャルメディアのコンテンツの拡散は、「それぞれのアルゴリズムによって操作ができてしまう」という危険性を秘めています。

古田:FacebookやTwitterの運営側が「こういうコンテンツをより多くの人に届けよう」と、さじ加減でコントロールし、メディアコンテンツの拡散の仕方を変えることも可能です。2015年くらいは、そういった流れがこれから拡大するかと予想していましたが、意外と広がらなかった。その中で大きな変化といえば、動画の浸透が早かったことです。


■全てのメディアが「インターネットメディア」になる

そんななか、今後は「デジタルの時代においては、全てのメディアがインターネットメディア化していく」と古田さんは今後を見据えます。

古田:例えば新聞社でもテレビ局でも雑誌社でも、今ウェブサイトを持っていないメディアってなかなかないですよね。だから、デジタル発信しないということはほとんどなくなっている。なので今後は「ウェブメディアとは?」と考えるのではなく、「デジタル時代におけるメディアとは?」と考えなくてはいけないと思います。そのため、この先のメディア業界における人材育成も、「ウェブメディアの人材」ではなく、「デジタル時代におけるメディア人材」という考え方が必要になってきます。


■メディアの課題は信頼性と収益性

現在、世界的に、メディアにおいて2つの課題があります。

古田:ひとつはフェイクニュースの問題もあるので「信頼性」です。フェイクニュースは間違った情報が流れるだけではなく、その情報が流れることによって、「これもフェイクじゃないか」「あれもフェイクじゃないか」と全体の情報に対する信頼性が落ち、全ての情報に対して疑いを持たれてしまう。その中で、「私たちは信頼に足るものだ」と伝えるべきなので、それをどうするかという議論が大きくなっています。

もうひとつの課題は「収益性」です。

グローバー:ウェブメディアの収益性は上がっていると思っていました。
古田:日本の場合、まだ圧倒的に紙媒体やテレビの方が儲けています。例えば、全国紙の新聞社の年間収入は4000億円くらいあります。一方で、日本のインターネットメディアは非常に目立っているところでも、収益は数十億円のレベルです。全国紙の新聞社は日本に数社しかなく、その中で戦っていますが、インターネットメディアは広告を載せるようなきちんとしたメディアだけでも1000とか2000くらいあるんですね。
グローバー:そんなにあるんですね!
古田:名もないメディアをあわせると何万にも及びます。そこで収益のパイを奪い合っている。そう考えると、そう簡単にインターネットメディアは儲からないんですよね。でも、収益が上がらないと人も採用できないし、投資もできない、大きなこともできないなか、どうやって収益性を上げて、信頼性を持った情報を届けられるかを世界中のメディアの人たちが真剣に議論しています。

■重要なのは業界でコラボし協力していくこと

デジタル時代にメディアが適切に情報発信を続けるためには「生態系を作る必要がある」と古田さんは提言します。

古田:そうするために、3つのポイントがあると考えています。ひとつは、インターネットメディアがものすごく頑張り、もっと大きく成長していく。ふたつめは、新聞やテレビやラジオ、雑誌の人たちも頑張って、いま落ちているところを踏みとどまる。最後に、政府や官公庁や企業などがもっと積極的にデジタルな情報発信を進めていく。これらをやっていかなくてはいけないと考えます。そこで一番重要なのは、業界の中でコラボし、協力していくことです。業界内の狭い範囲での競争などやっている暇はありません。

実際にアメリカでは、地域の新聞社とテレビ局とウェブメディアが手を組み、調査報道を行い、特ダネを分け合うなどの取り組みが始まっているそうで、「そういったことが日本でも進まないと、メディアはどんどん厳しいことになる」と見解を示しました。

この記事の放送回をradikoで聴く
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

関連記事