小さな胸を「シンデレラバスト」と名づけた、若き女性起業家・ハヤカワ五味の思い

新時代を切り開く注目の企業として、Aカップ以下の小さな胸に合うブラジャーのブランド「feast」など、課題解決型のアパレルブランドを運営する株式会社ウツワが注目されています。この会社の代表取締役社長、ハヤカワ五味さんを迎え、これからの時代を生き抜くうえでのヒントに津田大介が迫りました。

【4月15日(月)のオンエア:『JAM THE WORLD』の「UP CLOSE」(ナビゲーター:グローバー/月曜担当ニュースアドバイザー:津田大介)
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■課題が解決する瞬間に立ち会いたい

ハヤカワさんは1995年生まれの23歳。高校1年生からアクセサリー類の制作を開始し、多摩美術大学に入学し、その直後にワンピースのブランド「GOMI HAYAKAWA」を、2015年にはランジェリーブランド「feast」を立ち上げました。

「feast」はAカップ以下の小さな胸を「シンデレラバスト」と呼ぶことで、若い女性から圧倒的な支持を受けています。

ハヤカワ:男性でも靴のサイズが23センチとか足が小さい人もいますよね。でもそのサイズの靴があまりないので、大きいサイズの靴にパットや中敷きを入れて履く場合も少なくありません。それと同じことが下着でも起きています。正直な話、市場のブラジャーは、ほぼAカップはなくて、Bカップからしか売っていません。
津田:Aカップを探そうとしても、そもそも少ないと。
ハヤカワ:Aカップ以下の人はBカップのブラジャーに中敷きみたいなものを入れて着てくださいと言われることが当たり前でした。そこに対して、Aカップ以下の人でも自分のサイズに合うブラジャーを作ったら、多くの人が話題にしてくれました。



課題解決型のアパレルブランドとも言われる「feast」。もともとハヤカワさんは課題解決という意図を持っていたのでしょうか?

ハヤカワ:もともとは漠然と服を作ることに憧れていました。とはいえ、自分自身が服を通して性格が変わったり、自分のことをより表現できるようになったりしたので、なんとなく服を作るより、服がきっかけで問題や課題を解決する瞬間に立ち会いたいと思いました。そこからは課題解決にフォーカスして活動を続けています。

最近はエシカルブランドも登場し、消費行動をいかによりよくするかという話題も多いなか、「私たちは行動をもって価値観を変えていきたい」とハヤカワさん。「服が行動を制限したり広げたりするので、それを通して価値観を変えていきたいというのがベースにある」とその思いを語りました。


■小さな胸を「シンデレラバスト」と呼ぶことでポジティブに

小さな胸に合うブラジャーを開発するきっかけは、ハヤカワさんのコンプレックスに由来します。

ハヤカワ:私自身、体形やビジュアルに強いコンプレックスがありました。そのなかでも気になっていたのが、中学、高校では胸が小さいことをイジっていいような雰囲気があったことです。実際に私もそれを言われたときに、最初は自分でネタにしていてもけっこう傷ついて、自信がなくなっていく。それをなんとかできたらいいなという思いがベースにありました。その後に、いろいろなお店に行くと、本当にAカップ以下のブラジャーが少ないとか、限られたメーカーしか作っていないとかが見えてきて、それだったら、試しにそれらを解決できる商品を作ってみようと思いました。その商品が最終的に大手メーカーにマネされたとしても、大手メーカーからAカップのブラジャーが発売されたら、それで万々歳だと思っていました。

小さな胸を「シンデレラバスト」と呼んだきっかけについても伺いました。

ハヤカワ:私はもともと、言葉とそれによる文化形成に興味を持っていました。たとえば、日本語だから日本人らしくなっていくこともきっとあると思っていて。それと一緒で、低身長や高身長って状況だけを伝えるだけで、その言葉自体はネガティブやポジティブな意味はないけど、貧乳とか巨乳って小さい・大きい以上に何か意思を感じます。また、それを口に出すことでネガティブな気持ちになるんじゃないかと思い、そこに対してポジティブな言葉を作ってみようと考え「シンデレラバスト」とつけました。この言葉は靴のサイズが小さいことを「シンデレラサイズ」と呼ぶので、それをヒントにしました。

最近ではこの言葉が意外と浸透しているとハヤカワさんは感じているそうです。

ハヤカワ:最近はタレントやアイドルが「私、シンデレラバストなんで」と言ってくれたりするので、単語として「貧乳」という言葉はあまり見なくなったかなと感じています。
津田:ネガティブな言葉を他の言葉に言い換えることで意識を変えていますよね。そうなると、ネガティブな言葉を使って揶揄する人が、その言葉を使いにくくなる効果もあると思います。


■大切にしているのは、主語の大きさと論理的な発言

若い女性起業家として活躍するハヤカワさん。特にどんなことを意識して活動しているのでしょうか。

ハヤカワ:いちばん意識しているのは、主語の大きさと論理的に話すことです。さまざまな女性関連の文献を読んでいくと、女性とヒステリックってつなげられやすいんです。だからこそ、少しでも感情的な感じになると、「また出たよ」みたいになるから、あえて普段の自分よりキツめで論理的な話し方をするようにしているかもしれません。
津田:それは起業家としてメディアなどで注目されているからこそ意識する部分でもありますか?
ハヤカワ:そうですね。しっかり私は理論立てて話している、そういう部分を見せることによって、同じ議論の壇上にあがることは意識しています。それに合わせ、議論のなかで気をつけていることは主語の大きさです。「男性は」とか「若い人は」とか、主語が大きくなるのではなく、それは自分の意見なのか、誰の意見なのか、とか主語をしっかりさせるようにしています。自分の発言の責任をしっかり背負いながらやっていこうと思っています。

最後に、女性起業家であるハヤカワさんは女性のさらなる活躍に向けて、こうメッセージを送りました。

ハヤカワ:日本の男女差別や男女のギャップは、他国にある黒人と白人の話などさまざまな差別や偏見と似た構図だと、さまざまな本を読んで感じました。自分の国をもっと知るために、自分が置かれている状況を知るために、もっと他の国で起きている偏見や差別を学ぶことによって、自分はこう動こう、と決められると思います。知ることが武器になると私は痛感しているので、何か知ってみたいというきっかけに自分がなれたらいいなと思っています。

この言葉を受けて、津田は「海外の事例を日本なりにうまくアレンジして問題解決をすることが重要」と感想を述べました。

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