J-WAVE30周年×ゴジゲン10周年を記念した舞台『みみばしる』が、2月6日(水)から下北沢・本多劇場にてスタートします。同舞台は、松居大悟がナビゲーターを務める『JUMP OVER』(日曜:23時-23時54分)と連動。台本もなく、出演者も決まっていないところからリスナーと一緒に創り上げてきた、舞台×ラジオ×音楽の境界線を越えたプロジェクトです。
物語の主人公は、30歳になった途端に会社をクビになった妙子(本仮屋ユイカ)。なんとなく劇団の手伝いを始めたものの、叱られてばかりの毎日。自分は誰にも必要とされていないのではないかと悩むなか、妹の影響でラジオを聴き始めます。リスナーから送られてくる愚痴や悲しみを全力で励ましてくれるラジオにのめりこみ、妙子もメッセージを投稿するように。ラジオリスナーの思いが交差して、物語は大きく動いていきます。
主演は本仮屋ユイカさん。オーディションで選ばれたのはプロの役者だけではなく、ミュージシャン、モデル、大学生、高校生、保育士、楽器屋店員など、さまざまな立場の人たちです。稽古は、どんな雰囲気で進んでいるのでしょうか。「J-WAVE NEWS」編集部が稽古場にお邪魔しました。
◯作・演出
松居大悟
◯音楽監督
石崎ひゅーい
◯出演者
本仮屋ユイカ
(以下、五十音順)
市川しんぺー(俳優/劇団「猫のホテル」)
祷キララ(俳優・大学生)
工藤真唯(保育士)
小松有彩(会社員)
鈴木翔太郎(大学生)
鈴政ゲン(俳優)
タカハシマイ(ミュージシャン/Czecho No Republic)
玉置玲央(俳優/劇団「柿喰う客」)
仲山 賢(高校生)
奈良原大泰(アルバイト)
日高ボブ美(俳優/劇団「ロ字ック」)
藤井克彦(楽器屋店員・ブロック塀研究家)
前田航基(俳優・大学生)
三浦俊輔(俳優・大工)
宮平安春(庭師)
村上航(俳優/劇団「猫のホテル」)
目次立樹(俳優/劇団「ゴジゲン」)
本折最強さとし(俳優/劇団「ゴジゲン」)
ゆうたろう(モデル・俳優・ショップ店員)
■演技力が鍛えられるゲームからスタート!
稽古は、ゲームからスタートしました。人狼ゲームのようなルールです。全員がカードを引き、キング、クイーンをひとりずつと、ジャックをふたり決めます。役者たちはセットのあちこちに散らばり、目を閉じます。そして、選ばれた4人だけ目を開けて、言葉を発さずジェスチャーのみで、自分の立場を伝えます。キングはジャックに、「誰を殺すか」を指示。ジャックが体に触れれば、その人は殺されたことになります。クイーンは人を殺せませんが、動くことは可能です。ジャックは全員が目を閉じている状態で動くことになるので、物音で自分の正体がバレてしまいます。それを防ぐため、クイーンが動いて物音を立てて、撹乱することができる、というわけです。ジャックのふたりは、同時に体に触れて“殺人”を行います。そこから10秒間で元いた場所まで戻り、その後全員が目を開けて、「キング、クイーン、ジャックは誰なのか」をみんなで話し合います。最後は殺されたふたりが探偵となり、話し合いの内容をもとにキング、クイーン、ジャックを推理します。
稽古場に準備された本番さながらのセットをいっぱいに使いながら、ゲームは4回戦まで行われました。最初は雰囲気が少しかたく、やりとりがぎこちなかったものの、ゲームの回数を重ねるたびに場が盛り上がっていきます。本仮屋さんをジャックに仕立て上げるため、誰かが「あそこから音がしたよ」と嘘をつく場面も。本仮屋さんは否定しますが、必死になればなるほど、「あやしいね」というムードに……。答え合わせの際に、本仮屋さんがジャックではないと発表されると、「だから言ったじゃん!」と悔しそうな本仮屋さん。最後は「自分もやりたい!」と松居さんも参加するほど盛り上がっていました。ウォーミングアップのためのゲームですが、“大人の本気遊び”にも見えるほど楽しそうにしているのが印象的でした。
ちなみにゲームの最中、キングは一歩も動きません。しかし、動かないことで逆に推理しやすいとキャストの玉置玲央さん。そのため、話し合いの際は、推理を撹乱させるために「自分の背後で音がした」「こちら側には誰も来なかった」など、嘘をついてもOK。お芝居でどう嘘をつくのか、演技力による情報操作がキーとなります。また、ジャックとクイーンは、殺人を実行するときに、音を立てずに移動したと思えば、わざと物音を立てる場面も。セット全体を使いながら、役者としての立ち振舞いなど、演技力だけでなく身体能力も試されるゲームでした。
■役者の熱量に圧倒!
ゲームでウォームアップしたあとは、作品中盤の、10ページほどの場面の稽古が行われました。稽古が始まると、役者の表情は一変。目つきや声色からも、スイッチが入ったことがわかります。演出の松居さんは、キャストの動きをじっくりと目で追いながら、台本に何やら書き込みをしています。役者が一通り演じ終えると、松居さんからキャスト一人ひとりに対し的確な指示が与えられます。
また、役者から「ここはどうすればいいですか?」といった疑問が生じると、演技がストップ。松居さんが指示を出すこともあれば、役者同士で話し合いながら方向性を決めることも。何度も何度も同じ場面を繰り返し、ブラッシュアップ。意見がまとまったところで、また頭から演じる、という流れを繰り返し、一連の動きを身体に染み込ませながら、ひとつのシーンを築き上げていました。
1月20日オンエアの『JUMP OVER』で、市川しんぺーさん、村上航さん、三浦俊輔さんは、オーディションで選ばれたリスナーキャスト、鈴木翔太郎さんについて、声が小さいのに大事なセリフが通ることに感心。「演劇のルールは守っていないのに、グッとくるときがある」「やっぱり“伝えたさ”なのではないか」と話しました。たしかに、『みみばしる』で初めて舞台に挑戦するキャストたちの演技は、なにか心に訴えかけるものが感じられました。
この日、見学したのは十分に満たないシーンでしたが、ふと時計を見ると、稽古がスタートしてから1時間が経過していました。ミュージシャン、モデル、学生、保育士、楽器屋店員など、プロの役者ではない人も多いキャストの面々。しかし、先輩たちが先導しながらも、全員が同じ熱量を持って作品と向き合っている稽古場でした。
『みみばしる』は、東京公演は2月6日(水)〜2月17日(日)に下北沢・本多劇場での公演のほかに、福岡公演は、2月23日(土)、24日(日)に福岡・久留米シティプラザ久留米座。大阪公演は3月1日(金)〜3日(日)に近鉄アート館で行われます。完成形がどうなるのか、ぜひ劇場でご覧ください。
チケット詳細は『みみばしる』公式サイトをご覧ください。
物語の主人公は、30歳になった途端に会社をクビになった妙子(本仮屋ユイカ)。なんとなく劇団の手伝いを始めたものの、叱られてばかりの毎日。自分は誰にも必要とされていないのではないかと悩むなか、妹の影響でラジオを聴き始めます。リスナーから送られてくる愚痴や悲しみを全力で励ましてくれるラジオにのめりこみ、妙子もメッセージを投稿するように。ラジオリスナーの思いが交差して、物語は大きく動いていきます。
主演は本仮屋ユイカさん。オーディションで選ばれたのはプロの役者だけではなく、ミュージシャン、モデル、大学生、高校生、保育士、楽器屋店員など、さまざまな立場の人たちです。稽古は、どんな雰囲気で進んでいるのでしょうか。「J-WAVE NEWS」編集部が稽古場にお邪魔しました。
◯作・演出
松居大悟
◯音楽監督
石崎ひゅーい
◯出演者
本仮屋ユイカ
(以下、五十音順)
市川しんぺー(俳優/劇団「猫のホテル」)
祷キララ(俳優・大学生)
工藤真唯(保育士)
小松有彩(会社員)
鈴木翔太郎(大学生)
鈴政ゲン(俳優)
タカハシマイ(ミュージシャン/Czecho No Republic)
玉置玲央(俳優/劇団「柿喰う客」)
仲山 賢(高校生)
奈良原大泰(アルバイト)
日高ボブ美(俳優/劇団「ロ字ック」)
藤井克彦(楽器屋店員・ブロック塀研究家)
前田航基(俳優・大学生)
三浦俊輔(俳優・大工)
宮平安春(庭師)
村上航(俳優/劇団「猫のホテル」)
目次立樹(俳優/劇団「ゴジゲン」)
本折最強さとし(俳優/劇団「ゴジゲン」)
ゆうたろう(モデル・俳優・ショップ店員)
■演技力が鍛えられるゲームからスタート!
稽古は、ゲームからスタートしました。人狼ゲームのようなルールです。全員がカードを引き、キング、クイーンをひとりずつと、ジャックをふたり決めます。役者たちはセットのあちこちに散らばり、目を閉じます。そして、選ばれた4人だけ目を開けて、言葉を発さずジェスチャーのみで、自分の立場を伝えます。キングはジャックに、「誰を殺すか」を指示。ジャックが体に触れれば、その人は殺されたことになります。クイーンは人を殺せませんが、動くことは可能です。ジャックは全員が目を閉じている状態で動くことになるので、物音で自分の正体がバレてしまいます。それを防ぐため、クイーンが動いて物音を立てて、撹乱することができる、というわけです。ジャックのふたりは、同時に体に触れて“殺人”を行います。そこから10秒間で元いた場所まで戻り、その後全員が目を開けて、「キング、クイーン、ジャックは誰なのか」をみんなで話し合います。最後は殺されたふたりが探偵となり、話し合いの内容をもとにキング、クイーン、ジャックを推理します。
稽古場に準備された本番さながらのセットをいっぱいに使いながら、ゲームは4回戦まで行われました。最初は雰囲気が少しかたく、やりとりがぎこちなかったものの、ゲームの回数を重ねるたびに場が盛り上がっていきます。本仮屋さんをジャックに仕立て上げるため、誰かが「あそこから音がしたよ」と嘘をつく場面も。本仮屋さんは否定しますが、必死になればなるほど、「あやしいね」というムードに……。答え合わせの際に、本仮屋さんがジャックではないと発表されると、「だから言ったじゃん!」と悔しそうな本仮屋さん。最後は「自分もやりたい!」と松居さんも参加するほど盛り上がっていました。ウォーミングアップのためのゲームですが、“大人の本気遊び”にも見えるほど楽しそうにしているのが印象的でした。
ちなみにゲームの最中、キングは一歩も動きません。しかし、動かないことで逆に推理しやすいとキャストの玉置玲央さん。そのため、話し合いの際は、推理を撹乱させるために「自分の背後で音がした」「こちら側には誰も来なかった」など、嘘をついてもOK。お芝居でどう嘘をつくのか、演技力による情報操作がキーとなります。また、ジャックとクイーンは、殺人を実行するときに、音を立てずに移動したと思えば、わざと物音を立てる場面も。セット全体を使いながら、役者としての立ち振舞いなど、演技力だけでなく身体能力も試されるゲームでした。
■役者の熱量に圧倒!
ゲームでウォームアップしたあとは、作品中盤の、10ページほどの場面の稽古が行われました。稽古が始まると、役者の表情は一変。目つきや声色からも、スイッチが入ったことがわかります。演出の松居さんは、キャストの動きをじっくりと目で追いながら、台本に何やら書き込みをしています。役者が一通り演じ終えると、松居さんからキャスト一人ひとりに対し的確な指示が与えられます。
また、役者から「ここはどうすればいいですか?」といった疑問が生じると、演技がストップ。松居さんが指示を出すこともあれば、役者同士で話し合いながら方向性を決めることも。何度も何度も同じ場面を繰り返し、ブラッシュアップ。意見がまとまったところで、また頭から演じる、という流れを繰り返し、一連の動きを身体に染み込ませながら、ひとつのシーンを築き上げていました。
1月20日オンエアの『JUMP OVER』で、市川しんぺーさん、村上航さん、三浦俊輔さんは、オーディションで選ばれたリスナーキャスト、鈴木翔太郎さんについて、声が小さいのに大事なセリフが通ることに感心。「演劇のルールは守っていないのに、グッとくるときがある」「やっぱり“伝えたさ”なのではないか」と話しました。たしかに、『みみばしる』で初めて舞台に挑戦するキャストたちの演技は、なにか心に訴えかけるものが感じられました。
この日、見学したのは十分に満たないシーンでしたが、ふと時計を見ると、稽古がスタートしてから1時間が経過していました。ミュージシャン、モデル、学生、保育士、楽器屋店員など、プロの役者ではない人も多いキャストの面々。しかし、先輩たちが先導しながらも、全員が同じ熱量を持って作品と向き合っている稽古場でした。
『みみばしる』は、東京公演は2月6日(水)〜2月17日(日)に下北沢・本多劇場での公演のほかに、福岡公演は、2月23日(土)、24日(日)に福岡・久留米シティプラザ久留米座。大阪公演は3月1日(金)〜3日(日)に近鉄アート館で行われます。完成形がどうなるのか、ぜひ劇場でご覧ください。
チケット詳細は『みみばしる』公式サイトをご覧ください。