井浦新が演じる、沖縄返還交渉に尽力した外交官・千葉一夫とは

J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。6月21日(木)のオンエアでは、木曜日のニュース・スーパーバイザー、堀 潤が登場。沖縄返還の舞台裏を描いた映画『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』に迫りました。


■沖縄「慰霊の日」

6月23日は沖縄「慰霊の日」でした。1945年、太平洋戦争の末期に地上戦が繰り広げられ、10万人もの民間人が犠牲となった「沖縄戦」が、事実上終結した日ということで、沖縄では犠牲者の霊を慰める日として公休日となっています。『JAM THE WORLD』では、6月に沖縄を取り上げ、掘も沖縄に出向きました。そのため、沖縄の基地問題は「沖縄の問題ではなく、私たち日本全体の問題だと強く伝えたい」と、堀は言います。

終戦後、日本はアメリカ軍を中心とする連合軍に占領されました。それから7年後の1952年、サンフランシスコ講和条約の締結で、日本は主権を回復。しかし、「沖縄」は日本から切り離されアメリカが統治、事実上の植民地状態が続きました。


■映画『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』で描くのは?

そして、1972年にようやく実現した沖縄返還。その交渉の舞台裏を描いた映画が、6月30日(土)公開の『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』です。原案者であるNHK報道局のチーフディレクター・宮川徹志さんに、本作についてお話を伺いました。

この映画は、外務省の役員であった千葉一夫さんが、返還交渉に向けてアメリカとどのように向き合っていたかを描いた作品です。宮川さんが2010年、外務省で沖縄を含む密約問題の調査をしていたときに、沖縄返還に関する外交文書を発見。千葉さんの手書きの文章が多数あり、その文章が普通の官僚と違っていたそう。「一歩はみ出した、独特な感じがした」ということで、印象に残ったと振り返ります。

そして、佐藤栄作さんの秘書が残した文書からも千葉さんの名前が多数出てきたため「どういう人なのだろう」と思い、宮川さんは千葉さんの妻に会うことにしたと言います。そこでさまざまな話を聞き、千葉さんの外交官だった父が、ポツダム宣言の日に母を道連れにして亡くなったこと、広島の原爆を体験していたことなどを知りました。そこから「強烈な戦争体験をした人が沖縄の返還交渉にどう臨んだのか」と、さらに興味を持ったと言います。

映画で千葉さんを演じるのは、井浦 新さんです。映画を観た堀は「こういう官僚がいたのか!」と驚いたと感想を述べます。

:アメリカに対して、返還交渉に強い姿勢で臨む。これは当たり前ですが、実を言うと千葉さんが戦っていたのは日本国内の官僚たち。そして、政治家たちとの沖縄をめぐる戦い。「そんなことを許していいんでしょうか」というふうに向き合う姿。そういう人物がいたことをこれまで僕は知らなかったので、大発見がありました。


■ドキュメンタリーにするには魅力的すぎる人物

映画は、大河ドラマを作ってきたチームと報道チームがタッグを組んで作られています。これには、宮川さんの千葉さんへの思いが込められているそう。

宮川:千葉さんという人は、ドキュメンタリーにするにしては、あまりにも「おもしろすぎる人」と言いますか、人としての魅力が非常にある。ドキュメンタリーだと、そういう部分が削ぎ落とされてしまう。若干フィクションとしてでもいいから、ドラマとして観やすい形で、内面もちゃんと描いてほしいなと思いました。そこは、柳川 強監督が非常にうまく描いてくれたなと思います。
:そうですね。千葉さんが泥酔して家に帰ってきて、奥様とケンカするシーンは、すごく人間味がありましたね(笑)。
宮川:あれは、ほぼ実話なんですよ。奥様が強かったそうで、「千葉家には船長がふたりいる」と言われていたそうです。

最後にリスナーへのメッセージとして、宮川さんは以下のように話しました。

宮川:千葉さんは、あまり知られていない外交官なんですが、正直に言って、日本の外交史の歴史に名を残す人だったと思います。今まであまりにも知られていないので、この機会にご覧いただきたい。特にこの時期ですね。沖縄へ少し思いを馳せる機会にしていただけたらなというふうに思います。

映画『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』は、6月30日(土)公開です。気になる方は、ぜひ劇場へ足を運んでみてください。



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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

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