「嬉しい状態」を人工的に作り出せる!? 脳波の研究を専門家が語る

難病・ALS(筋萎縮性側索硬化症)と闘いながら、脳力とテクノロジーを使ってメッセージを発信する武藤将胤がナビゲーターを務める番組『WITH』。5月25日(金)のオンエアでは、慶應義塾大学理工学部准教授で、脳波の解析や応用技術を専門として研究している満倉靖恵さんがゲストに登場。武藤らとともに進めている「脳波をコントローラーにして意思伝達するプロジェクト」などについて話しました。


■音声技術の発達で…

武藤:今、音声合成が発達していますよね。脳で思い浮かんだこと、たとえば「飲み物が飲みたい」というのを、音声合成で自分の声で言語化できる未来もきそうです。
満倉:できると思っています。「飲み物が飲みたい」とか、一個ずつ考えてそれを脳波で出せるのではなくて、たとえばそれを音楽に置き換えて、その音楽が脳波で検知されたときに、音声合成された「飲み物が飲みたい」を出すというようなプログラムにすれば、できますよね。
武藤:そうすると、病気の進行で声を失った方、意思伝達に困っている方が、十分に意思伝達をする手段になりえますよね。
満倉:なると思っています。
武藤:必ずこの「WITH ALS」と、満倉先生たちとご一緒しているプロジェクトで、脳波をコントローラーにするというところまで、なんとか実現させていきましょうね。
満倉:絶対にさせたいと思ってますので、楽しみです。

満倉さんは他にも、これまでは大きな装置に入らないと検知できなかったものを、簡易な脳波計を着けるだけでわかるようにするアルツハイマーの検証実験や、寝ている間の心拍を測り続けて、呼吸が止まったときにブザーを鳴らすといった研究、医者によって診断の程度がバラバラでわかりづらい鬱病の診断を定量化して、「鬱病レベル」がわかる装置の研究などを行っています。


■心を入れ替える方法

満倉さんは、「心は変えることができる」という研究も行っています。

満倉:今は、脳波を取り出すだけで「心がストレス状態です」「興味を持っていますね、持っていないですね」といったことがわかりますが、近い将来にそれを変えることができます。「こういう脳波だと、このようなストレス状態」ということがわかると、そのストレス状態を下げるために「この脳波になればいい」とわかります。「嬉しい状態は、このような脳波にすればいい」とわかると、ストレス状態の脳波に対して、ある電気を入れます。すると、嬉しい状態の脳波に変わる。そうすると、心は嬉しくなるんですよ。車がガソリンスタンドに行くように、感情を入れに「感情スタンド」というのが、私はできると……いや、私が作ると思っています。
武藤:脳波を注入して別の心の変化を作ることが可能ということですよね。
満倉:そういう風に考えています。
武藤:どうしょうもなく落ち込んでいる時期に、そういったアプローチが可能になれば、心が落ち込んでいる状態からポジティブな状態に、脳波を経由して切り替えることができるということですよね。ものすごい世界ですね! そこまで脳波で可能になりうるんですね。今の心理的なカウンセリングを、脳波を通じてできれば、みなさん非常に救われますよね。
満倉:鬱病で落ち込んだ人たちが何をするかというと、薬をたくさん使うじゃないですか。近い将来、心の病気は薬がなくても治るところまでいくと思います。
武藤:コントローラーでできる未来を想像していたけど、それを超えて心を変化させることが外的にできる。ものすごい希望と可能性ですね。この番組は「No Limit」というコンセプトでやってきてますが、満倉先生はまさに、研究にNo Limitな姿勢でやられているなと感じるんです。ご自身の研究の中でも「これは不可能」と思わないようにしているんですか?
満倉:全く思っていないですね。絶対できると思ってやっているので、武藤さんのコントローラーも絶対にできると思ってやっているので、できないと思ったことがないですよ。

満倉さんが思い描く未来が実現するのは、それほど遠くないかもしれません。これからの活躍にも注目です。

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【番組情報】
番組名:『WITH』
放送日時:金曜 26時30分-27時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/dc4/

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