J-WAVEで放送中の番組『GROWING REED』(ナビゲーター:岡田准一)。4月22日(日)のオンエアでは、“建築界のノーベル賞”ともいわれる「プリツカー建築賞」も受賞している建築家・伊東豊雄さんをゲストにお迎えしました。
■建築に11年かかったオペラハウス
伊東さんが番組にゲスト出演するのはちょうど5年ぶり。その間に「プリツカー建築賞」の受賞や、10年以上の歳月をかけた台湾のオペラハウスの完成など、建築家としての輝かしい功績を残されています。そんな伊東さんが今、目を向けているのが、愛媛の最北端に浮かぶ、今治市大三島の活性化プロジェクト。今回は日本を代表する建築家が目指す、人生の第2章についてたっぷりとお聞きしました。
そもそも伊東さんが大三島に関わるきっかけになったのは、島内にある美術館「ところミュージアム大三島」を作った元実業家の所敦夫さんから、別館を作りたいという設計依頼だったそう。
伊東:所さんといろんな話をしているときに、所さんに「僕はこれから若い人のために何かやりたい」と話をしたら、「それじゃあここでやればいいじゃないか」って言われて。場所を貸してくれるのかなと思ってたんですが、そうじゃなくて、「俺のミュージアムでなくて、おまえのでいいんだよ」って言われて、ビックリしちゃったんですけども。
今治市もその話に賛同し、2011年に「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」をオープンすることに。実はそれまで伊東さんは大三島に行ったことがなかったといいます。そこから伊東さんは、若手の人たちと大三島に通うようになり、ワイナリーを作るなど、島の活性化に携わっています。
一方、その間にも、台湾・台中市のオペラハウス「台中メトロポリタンオペラハウス」の設計を手がけていた伊東さん。コンペが2005年に始まり、完成したのが2016年と実に11年もの歳月がかかっています。
岡田:あれもすごいですよね。すごい建築というか、なんか外観は洞窟っぽい……。
伊東:そうですね。外側は洞窟のような形をしてるんですが、中も入ると洞窟の中。どこへ行っても洞窟みたいな空間で。どこを歩いているのか自分でも、現場のときはわからなくなるくらいでしたね。
岡田:そういう10年以上歳月をかけてやるものもあれば、それこそ大三島ってちょっと違うじゃないですか。
伊東:そうですね。
「台中メトロポリタンオペラハウス」は完成に至るまでの中で、「これはもうできない。ダメだな」と思うことが何度かあったという伊東さん。施工が難しくてやってくれる建設会社が見つからなかったのだそう。
伊東:1年半くらい、僕らが何度も「こうやればできるんだよ」って言っても、「そんなことやってられない」って言われて。
岡田:やったことないし、リスクも高いってことですよね。
伊東:そうなんです。そうすると工期もどれくらいかかるかわからないっていうことで。結局始めて11年かかったんですけれども、奇跡的にできたと。
「台中メトロポリタンオペラハウス」の建設中は、「こういう空間を自分で作るんだという思いで始める建築は、これで僕にとっては卒業かな」とまで考えていたそうです。しかし、その思いを変えさせたのが東日本大震災でした。
伊東:建築家として三陸でできることはないかと思い行って、「みんなの家」を作り始めて。現地で普段あんまり会わない被災地の人、農業をやってたり、漁業をやっているような人たちと、かなり一緒に話をしていて、「これは建築をちょっと考え直さないとダメだよな……」って。こういう人たちのために自分は一体何ができるんだろうって考えて。それで始めたのが「みんなの家」ですけれども。
「みんなの家」とは伊東さんが、被災地で家や仕事を失った人々が、新しい生活を回復するための拠点として建てられたコミュニケーション施設。取り組み始めた当初は、これは伊東さんがやるべきことなのか? と周りだけでなく、事務所の人たちからも疑問視されたそう。
伊東:振り返ってみると、「俺、こんなすごいのやったぜ!」と建築雑誌に発表して、建築家仲間に「おお、すげーじゃん!」みたいなことを言われて、それの繰り返しみたいなことを、僕も若い頃はそう思ってたし。でもそれではダメだよなっていうのは前から思ってて、それで主軸を作ったんですよ。だから東北・三陸に行って、そこでやっぱりこういう人たちと一緒に何かをやることで、もう少し違う建築を考えられるかなと思い始めたんです。
東日本大震災で誕生した伊東さんの「みんなの家」は、現在、大三島の活性化プロジェクトにも受け継がれています。この日は伊東さんの言葉から、“建築”というものの可能性の広さを考えさせられたオンエアとなりました。
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【番組情報】
番組名:「GROWING REED」
放送日時:毎週日曜 24時-25時
オフィシャルサイト: http://www.j-wave.co.jp/original/growingreed/
■建築に11年かかったオペラハウス
伊東さんが番組にゲスト出演するのはちょうど5年ぶり。その間に「プリツカー建築賞」の受賞や、10年以上の歳月をかけた台湾のオペラハウスの完成など、建築家としての輝かしい功績を残されています。そんな伊東さんが今、目を向けているのが、愛媛の最北端に浮かぶ、今治市大三島の活性化プロジェクト。今回は日本を代表する建築家が目指す、人生の第2章についてたっぷりとお聞きしました。
そもそも伊東さんが大三島に関わるきっかけになったのは、島内にある美術館「ところミュージアム大三島」を作った元実業家の所敦夫さんから、別館を作りたいという設計依頼だったそう。
伊東:所さんといろんな話をしているときに、所さんに「僕はこれから若い人のために何かやりたい」と話をしたら、「それじゃあここでやればいいじゃないか」って言われて。場所を貸してくれるのかなと思ってたんですが、そうじゃなくて、「俺のミュージアムでなくて、おまえのでいいんだよ」って言われて、ビックリしちゃったんですけども。
今治市もその話に賛同し、2011年に「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」をオープンすることに。実はそれまで伊東さんは大三島に行ったことがなかったといいます。そこから伊東さんは、若手の人たちと大三島に通うようになり、ワイナリーを作るなど、島の活性化に携わっています。
一方、その間にも、台湾・台中市のオペラハウス「台中メトロポリタンオペラハウス」の設計を手がけていた伊東さん。コンペが2005年に始まり、完成したのが2016年と実に11年もの歳月がかかっています。
岡田:あれもすごいですよね。すごい建築というか、なんか外観は洞窟っぽい……。
伊東:そうですね。外側は洞窟のような形をしてるんですが、中も入ると洞窟の中。どこへ行っても洞窟みたいな空間で。どこを歩いているのか自分でも、現場のときはわからなくなるくらいでしたね。
岡田:そういう10年以上歳月をかけてやるものもあれば、それこそ大三島ってちょっと違うじゃないですか。
伊東:そうですね。
「台中メトロポリタンオペラハウス」は完成に至るまでの中で、「これはもうできない。ダメだな」と思うことが何度かあったという伊東さん。施工が難しくてやってくれる建設会社が見つからなかったのだそう。
伊東:1年半くらい、僕らが何度も「こうやればできるんだよ」って言っても、「そんなことやってられない」って言われて。
岡田:やったことないし、リスクも高いってことですよね。
伊東:そうなんです。そうすると工期もどれくらいかかるかわからないっていうことで。結局始めて11年かかったんですけれども、奇跡的にできたと。
「台中メトロポリタンオペラハウス」の建設中は、「こういう空間を自分で作るんだという思いで始める建築は、これで僕にとっては卒業かな」とまで考えていたそうです。しかし、その思いを変えさせたのが東日本大震災でした。
伊東:建築家として三陸でできることはないかと思い行って、「みんなの家」を作り始めて。現地で普段あんまり会わない被災地の人、農業をやってたり、漁業をやっているような人たちと、かなり一緒に話をしていて、「これは建築をちょっと考え直さないとダメだよな……」って。こういう人たちのために自分は一体何ができるんだろうって考えて。それで始めたのが「みんなの家」ですけれども。
「みんなの家」とは伊東さんが、被災地で家や仕事を失った人々が、新しい生活を回復するための拠点として建てられたコミュニケーション施設。取り組み始めた当初は、これは伊東さんがやるべきことなのか? と周りだけでなく、事務所の人たちからも疑問視されたそう。
伊東:振り返ってみると、「俺、こんなすごいのやったぜ!」と建築雑誌に発表して、建築家仲間に「おお、すげーじゃん!」みたいなことを言われて、それの繰り返しみたいなことを、僕も若い頃はそう思ってたし。でもそれではダメだよなっていうのは前から思ってて、それで主軸を作ったんですよ。だから東北・三陸に行って、そこでやっぱりこういう人たちと一緒に何かをやることで、もう少し違う建築を考えられるかなと思い始めたんです。
東日本大震災で誕生した伊東さんの「みんなの家」は、現在、大三島の活性化プロジェクトにも受け継がれています。この日は伊東さんの言葉から、“建築”というものの可能性の広さを考えさせられたオンエアとなりました。
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【番組情報】
番組名:「GROWING REED」
放送日時:毎週日曜 24時-25時
オフィシャルサイト: http://www.j-wave.co.jp/original/growingreed/