相模原障害者施設殺傷事件から1年。今、改めて考える

J-WAVEで放送中の番組「JAM THE WORLD」(水曜担当ナビゲーター:安田菜津紀)のワンコーナー「BREAKTHROUGH!」。 7月26日の放送では、相模原の障害者施設で起きた殺傷事件について、元毎日新聞記者で、自閉症の息子の父親という立場から障害者の社会参加について発信している、RKB毎日放送の東京報道部長・神戸金史さんをお迎えしてお話を伺いました。

神奈川県相模原市の津久井やまゆり園で入所者19人が殺害され、職員を含む26人が重軽傷を負った事件からこの日でちょうど1年を迎えます。

この事件では、被害者や家族の話は匿名報道だったため、加害者の「障害者なんていなくなればいい」という衝撃的な発言や加害者が笑顔で送検される姿ばかりが大きく報道されました。これに「いたたまれない気分になった」と神戸さん。その笑顔が何度もフラッシュバックし「心の内側をやすりで削られる気分がした」と告白しました。

事件から3日後に神戸さんがfacebookに綴った「障害を持つ息子へ」という詩は反響を呼び、その後『障害を持つ息子へ ~息子よ。そのままで、いい。~』として書籍化されました。

「加害者の言葉ばかりがテレビで流れていることに耐えかねてたんですね。3日後の夜、家に帰ってパソコンに向かった時に一気に書いたんです。詩を書いた意識はなくて容疑者に対して『そんなのじゃない!』と憤りをぶつけたかったんです。ただ、ヘイトの思想を持っている人は怒ると喜ぶので、彼らが喜ばない言葉を書きたくなったんです。自分が子どもに障害があると分かった頃に思った言葉から書き始めて、今どう思っているのか、15年間位の気持ちを言葉にしたんです」(神戸さん)

その後、SNS上で反響を呼んだ詩はネットメディアで紹介されたあと、TBSテレビの「NEWS23」で全文が取り上げられました。「加害者の言葉だけを報道してしまっている、憎悪を増幅させてしまっている状況をメディア自体が気にしていたのだと思います」と神戸さん。メディア側の「加害者の言葉へのカウンターになる言葉が欲しい。しかし匿名で発表されているために(被害者側に)アクセスができない」というジレンマの中で、この詩は大きく取り上げられました。

この件に関して神戸さんの元に届いた痛烈な批判の声はハガキ1通だけ。「JAM THE WORLD」でこのハガキの一部を紹介した上で、神戸さんは「実際には私たちの住んでいる社会にはヘイト思想を持つ人は多くないのでは。僕らは今の社会を信頼してもいいのかもしれない」と話していました。

オンエアでは、この後、メディア側の観点から障害者を持つ家族が匿名にせざるを得なかった理由や、事件後の話を時間をおいて聞かせてくれたことについて、神戸さんは元記者として、そして障害者家族を持つ親として語ってくれました。

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【番組情報】
番組名:「JAM THE WORLD」
放送日時:平日 20時-22時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

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