倉本聰が考える、今の日本に足りないもの

J-WAVEで放送中の番組「ACOUSTIC COUNTY」(ナビゲーター:坂倉アコ)のワンコーナー、「SAWAI SEIYAKU KEY TO LIFE」。2月1日(水)のオンエアでは、脚本家の倉本聰さんをゲストにお迎えしました。

今年1月1日に82歳になられた倉本さん。国民的ドラマ「北の国から」「前略おふくろ様」など多くのドラマの脚本、舞台の演出を手掛けていらっしゃいます。「北の国から」では厳しくも美しい大自然の中で、経済的には決して豊かではないけれど、家族皆で助けあう深い愛が描かれました。

今、日本は経済的には恵まれていますが、幸福度が下がっていると言われています。倉本さんが考える「今の日本に足りないもの」についてお聞きすると…

「一番足りないのは、家族の結びつきのような気がしますね。家族との濃い時間。僕は、親父が死んだのは僕が16歳くらいの時でしたが、親父の匂いを今も覚えていますよ。お袋はもっとずっと後に死にましたが、お袋の匂いも覚えています。親父には小さい頃よく山の中に連れていってもらって、一緒にテントで寝る生活をよくしたんで、親父の匂いっていうのは、焚き火と枯草の匂いなんです。それが年中、寝てても抱いてくれてたみたいなそういう記憶が僕の中にしみ込んでいますね」(倉本さん、以下同)

倉本さんは北海道に、俳優、脚本家の養成を目的とした「富良野塾」も作られました。生活をする場、稽古場など、身の回りに関わるすべてを作りながら若者を指導していったそうですが、入塾した人たちはどのように変わっていったのでしょうか。

倉本:やめてく人間もけっこういましたよ。夜逃げ、駆け落ち、いろいろありましたが(笑)、500人くらい入って、370人くらいがちゃんと卒業したんですかねえ。農業をやって生活費を稼ぎ、自主的に彼らが運営します。
坂倉:倉本さんが考える、人を育てる上で最も大事なことはなんでしょうか?
倉本:役者、脚本家として以前に、人間として良い人間を育てられるかというのが、一番、テーマでしたね。心も体も物の考え方も清潔感がある人間、正しくありたいという人間がどれだけ育ったか、ということです。

そして、最近の若者についてもこう持論を語ってくださいました。

「一概に言えないんですよ、『今の19歳は…』という言い方はできない。でも親の年齢では言えます。僕が考えるに、昭和20年代生まれまでの親に育てられた子供はまだ良い。昭和30年以降の親に育てられた子供は非常にだめですね。(その年代の親たちが)『躾』というものに対する厳しさがないんじゃないかなと思う。もっと古い…おじいちゃん、おばあちゃんに育てられた子はすごく良いですね。そういうふうにおじいちゃんとおばあちゃんが日本本来の躾とか礼儀作法とか伝統的な文化をずっと孫に教育してくれていると、日本人はずいぶん変わると思います」

最後に倉本さんに、その創造力の源はどこにあるのかお聞きしました。

倉本:怒りですね、多分。世の中いろんなことに対して。僕、怒りっぽいんでね(笑)。何かに怒っているとパッションがわいてくる。
坂倉:今現在も何かに怒ってますか?
倉本:はい、怒ってますね。なんでこんな時間にラジオ局にいるんだろうっていう怒りですね。
坂倉:すみません…(笑)。
倉本:冗談です(笑)。

現在、倉本さんが作、共同演出を務め、「最後の舞台」と公言する舞台、「走る」が上演中です。気になる方は、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。

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【番組情報】
番組名:「ACOUSTIC COUNTY」
放送日時:月・火・水・木曜 14時-16時30分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/acoustic/

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