SUGIZOが見たヨルダン「日本の被災地と似てる」

J-WAVE平日20時からの番組「JAM THE WORLD」(水曜ナビゲーター:安田菜津紀)のワンコーナー「BREAKTHROUGH!」。6月15日のオンエアでは、今年3月にヨルダンの難民キャンプを訪問したLUNA SEA、X JAPANのSUGIZOさんをお招きし、世界を揺るがしている難民問題について語っていただきました。

国連難民高等弁務官事務所の推計によれば、紛争などで国外に逃れた難民や国内避難民の総数は、昨年末までに世界全体でおよそ6,000万人と言われ、「第二次世界大戦以来の人道危機」と指摘される状況です。

20年ほど前に、娘の誕生をきっかけに難民問題に興味を持ったというSUGIZOさんは、メディアへの発信だけでなく、自身の足で現地に赴くことを大事にしています。

「自分でその場に行かないとわからないですよ。メディアだけだとわからない。もちろん、ネットやテレビやいろんな文献で物事を調べられるけど、現地に行かないと、空気はわからないし、匂いもわからないし、音もわからない。自分ですべて体験しないと納得しない」(SUGIZOさん、以下同)

そして、今年3月には、シリア難民が暮らすヨルダンの2カ所の難民キャンプを訪れました。

2012年に作られた「ザータリ難民キャンプ」は、シリアの国境からわずか15キロほどしか離れていない場所に位置する最大の難民キャンプ。広さは東京ドーム462個分で、8万人前後の人々が暮らしています。一方、約2年前に開設された「アズラク難民キャンプ」はまだ人も少なく、電気などのインフラも整っていない状況だったそうです。

「アズラク難民キャンプ」では、現地の人から「キャンプの中ではエンターテインメントを求められている」と言われ、バイオリンの演奏や音楽ライブを披露したSUGIZOさん。「想像を絶する盛り上がり」だったそうで、子どもだけでなく、大人も楽しんでくれたと語りました。

また同キャンプで、シリアで音楽の仕事をしていたという人の家に訪れたときに、その家族や周りに住む人々も巻き込んで、セッションをしたエピソードも披露しました。そして「いつか近い将来、我々がシリアに戻ったら、うちに遊びにおいで」と言われ、平和になったシリアで再会する約束をしたそうです。

ヨルダンでは、64万人以上のシリア難民が暮らしており、そのうち85パーセントは難民キャンプではなく都市部に暮らしていると言われています。なかでも、家族が内戦で負傷していたり、家主が病気を患っているような貧困層の家庭は問題が山積みです。

難民といえば、難民キャンプばかりがピックアップされていますが、実は、それ以外にも多くの人が難民として生活しています。

「まさに、日本の被災地に似ていると思ったんですよね。日本の被災地も一般的に、避難所や家が全壊した方はピックアップされて、援助金もちゃんと出る。けれども、家が半壊したり傾いていて使い物にならない方のほうが多いんですよね。

でも、そういう方はなかなか注目されず、援助も受けられず、生活に困る。日本で起きている被災地の問題と、僕が言ったヨルダンの問題ってすごく近い気がして、見えないところに本当の問題がある。見えないところに経済的な面でもそうですが、それと同じくらいに精神的な支援が大事だと思いました」

6月20日は「世界難民の日」。難民として暮らす人々が少しでも早く、平和になった自国へ戻れる日が来ることを願うばかりです。

また、J-WAVEの毎月第3日曜日の夜は、東日本震災後の未来を考える番組「Hitachi Systems HEART TO HEART」をお届けしています。6月19日(日)22時からのオンエアでは、“震災後の食文化”をテーマに、音楽家の小林武史が宮城県石巻市・女川町を訪れます。

【関連サイト】
「JAM THE WORLD」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

小林武史×吉川晃司 「東日本大震災」を語る(2016年04月18日)
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2016/04/post-1410.html

小林武史が緊急取材、熊本地震の現場で感じた想いとは(2016年05月13日)
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2016/05/post-1490.html

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