J-WAVE平日20時からの番組「JAM THE WORLD」(金曜ナビゲーター:青木理)のワンコーナー「BREAKTHROUGH!」。6月17日のオンエアでは、「もしイギリスがEUを離脱すれば一体何が起こるのか? 今、イギリス、EUで何が起こっているのか?」をテーマに、毎日新聞の前欧州総局長、小倉孝保さんにお話を伺いました。
EUから離脱をするかしないか、現地時間6月23日にイギリスで国民投票が行われようとされており、世界がイギリスに注目しています。世論調査の結果は、離脱/残留支持者が拮抗しており、最近の調査では、離脱派が残留派をわずかに上回る調査結果も出ているそうです。
そもそも与党代表のキャメロン首相は残留派であるのに、なぜ国民投票を行うことになったのでしょうか? これは、小倉さんに聞くと「キャメロンさんの戦略ミス」とのこと。戦略ミスとはどういうことなのか、詳しく聞いてみると…
「キャメロンさんはずっと『EUに残るべき』という主張だったんだけども、EUから出たいという勢力がどんどん力を付けて票を集めてきたんです。しかも、キャメロンさんからそっちに票が流れていったので『このまま行くと、2015年の選挙で負ける』と思ったんです。それで2013年の時点で、『選挙に勝ったら国民投票をやる』と約束してしまったわけです」(小倉さん)
こうして、負けるのではと思われていた昨年の選挙で大勝したキャメロン首相。選挙にさえ勝てば残留するよう国民を説得できる、と思っていたそうですが、離脱派が盛り上がってきてしまったそう。そのため「彼はとても焦っていると思いますよ」と小倉さん。
これを受け、青木は「キャメロンさんが選挙に勝つために言い出したことが、世界中に大波紋を広げてしまう結果をもたらすかもしれない…というわけですね」と感慨深げ。さらに、小倉さんは「キャメロンさんのした約束は、2017年までにというものだったんですが、『(国民投票を)早めにやったほうが勝てるぞ』ということで、2016年のこの時期を選んだんですね。もっと説得できたはずなのに、早めにやるという選択ミスもしてるんです」と続けていました。
では、実際にイギリスがEUから離脱すると周りの国はどうなるのでしょうか。
「この国民投票の結果をEU中の人が固唾を飲んで見守っています。と言うのも、イギリスが離脱してうまくいったら『俺たちも離脱したほうがいいんじゃないか』という国がけっこうあるんです。
たとえばデンマーク、オランダ、フィンランド、スウェーデン。国民投票まではいかないにしても、そういう主張の政党がグッと盛り上がってくる。そうなると1950年代からヨーロッパが積み上げてきた理想に向けた実験が、逆方向に動き出す可能性があるんですよ。EU崩壊に向けた局面になるかもしれませんよね」とまとめていました。
さらに日本の経済界も、この問題について注視しているそうです。
「イギリスで作っている車は、日本車が一番多いかもしれません。それくらい日本車をイギリスで作ってヨーロッパに出しているんですね。イギリスの離脱派は『関税は掛からずに車を出せるようにEUと交渉しますよ』という話をするけど、EU側はそうはしないですよね。そうすると2年後には、イギリスからヨーロッパに輸出するのに10パーセントの関税が掛かるかもしれない。そうなったら大陸側に工場を作りますよね」と自動車を例に出して解説。
実際、日本企業の中でもこのような話し合いがされているらしく、実際に離脱すると大きい動きが出るそうです。最後に小倉さんは残留派か離脱派かを聞いてみると、小倉さんは「絶対残留すべきだ」との答え。理由を聞いてみると…
「これは『エコノミー対エモーション』の問題なんです。経済的には、離脱しても良いことはひとつもないんです。でも感情論では『ヨーロッパと一緒にやるの嫌だよ』となっているわけです。しかし世界の経済の影響を考えると、一国の感情で動かしていいのか…と僕は思いますけどね」(小倉さん)
いよいよ23日に国民投票が行われます。世界中から注目が集まるこの投票。結果はどうなるのでしょうか。
平日20時からの番組「JAM THE WORLD」は青木理のほか、津田大介、堀潤、安田菜津紀、萱野稔人が日替わりでナビゲーターを務めます。お楽しみに。
【関連サイト】
「JAM THE WORLD」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/
森永卓郎「1週間を1,200円で過ごす方法」(2016年06月18日)
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2016/06/11200.html
「なんでもっと早く来てくれなかったの」児童労働の現実(2016年05月19日)
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2016/05/post-1605.html
EUから離脱をするかしないか、現地時間6月23日にイギリスで国民投票が行われようとされており、世界がイギリスに注目しています。世論調査の結果は、離脱/残留支持者が拮抗しており、最近の調査では、離脱派が残留派をわずかに上回る調査結果も出ているそうです。
そもそも与党代表のキャメロン首相は残留派であるのに、なぜ国民投票を行うことになったのでしょうか? これは、小倉さんに聞くと「キャメロンさんの戦略ミス」とのこと。戦略ミスとはどういうことなのか、詳しく聞いてみると…
「キャメロンさんはずっと『EUに残るべき』という主張だったんだけども、EUから出たいという勢力がどんどん力を付けて票を集めてきたんです。しかも、キャメロンさんからそっちに票が流れていったので『このまま行くと、2015年の選挙で負ける』と思ったんです。それで2013年の時点で、『選挙に勝ったら国民投票をやる』と約束してしまったわけです」(小倉さん)
こうして、負けるのではと思われていた昨年の選挙で大勝したキャメロン首相。選挙にさえ勝てば残留するよう国民を説得できる、と思っていたそうですが、離脱派が盛り上がってきてしまったそう。そのため「彼はとても焦っていると思いますよ」と小倉さん。
これを受け、青木は「キャメロンさんが選挙に勝つために言い出したことが、世界中に大波紋を広げてしまう結果をもたらすかもしれない…というわけですね」と感慨深げ。さらに、小倉さんは「キャメロンさんのした約束は、2017年までにというものだったんですが、『(国民投票を)早めにやったほうが勝てるぞ』ということで、2016年のこの時期を選んだんですね。もっと説得できたはずなのに、早めにやるという選択ミスもしてるんです」と続けていました。
では、実際にイギリスがEUから離脱すると周りの国はどうなるのでしょうか。
「この国民投票の結果をEU中の人が固唾を飲んで見守っています。と言うのも、イギリスが離脱してうまくいったら『俺たちも離脱したほうがいいんじゃないか』という国がけっこうあるんです。
たとえばデンマーク、オランダ、フィンランド、スウェーデン。国民投票まではいかないにしても、そういう主張の政党がグッと盛り上がってくる。そうなると1950年代からヨーロッパが積み上げてきた理想に向けた実験が、逆方向に動き出す可能性があるんですよ。EU崩壊に向けた局面になるかもしれませんよね」とまとめていました。
さらに日本の経済界も、この問題について注視しているそうです。
「イギリスで作っている車は、日本車が一番多いかもしれません。それくらい日本車をイギリスで作ってヨーロッパに出しているんですね。イギリスの離脱派は『関税は掛からずに車を出せるようにEUと交渉しますよ』という話をするけど、EU側はそうはしないですよね。そうすると2年後には、イギリスからヨーロッパに輸出するのに10パーセントの関税が掛かるかもしれない。そうなったら大陸側に工場を作りますよね」と自動車を例に出して解説。
実際、日本企業の中でもこのような話し合いがされているらしく、実際に離脱すると大きい動きが出るそうです。最後に小倉さんは残留派か離脱派かを聞いてみると、小倉さんは「絶対残留すべきだ」との答え。理由を聞いてみると…
「これは『エコノミー対エモーション』の問題なんです。経済的には、離脱しても良いことはひとつもないんです。でも感情論では『ヨーロッパと一緒にやるの嫌だよ』となっているわけです。しかし世界の経済の影響を考えると、一国の感情で動かしていいのか…と僕は思いますけどね」(小倉さん)
いよいよ23日に国民投票が行われます。世界中から注目が集まるこの投票。結果はどうなるのでしょうか。
平日20時からの番組「JAM THE WORLD」は青木理のほか、津田大介、堀潤、安田菜津紀、萱野稔人が日替わりでナビゲーターを務めます。お楽しみに。
【関連サイト】
「JAM THE WORLD」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/
森永卓郎「1週間を1,200円で過ごす方法」(2016年06月18日)
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2016/06/11200.html
「なんでもっと早く来てくれなかったの」児童労働の現実(2016年05月19日)
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2016/05/post-1605.html