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恐竜、知られざる化石発見の裏話

恐竜、知られざる化石発見の裏話

J-WAVE平日20時からの番組「JAM THE WORLD」(水曜ナビゲーター:安田菜津紀 )のワンコーナー「BREAKTHROUGH!」。5月4日のオンエアでは首長竜や恐竜の分類に取り組む東京学芸大准教授、佐藤たまきさんにお話を伺いました。

1968年に福島県いわき市で、全長およそ7メートルある首長竜の化石がほぼ完全な形で発見されました。発見された化石は「フタバスズキリュウ」といって、映画「ドラえもん・のび太の恐竜」に出てくるピー助のモデルです。ところが、さまざまな事情から、研究、調査が進まず、38年の時を経た2006年5月19日、ようやく新しい種類と正式に認められ、学名を「フタバサウルス・スズキイ」と命名されました。佐藤さんはこの研究に加わり、優れた研究成果をあげた女性科学者をたたえる「猿橋賞」を受賞しました。

発見された化石が新種かどうかを調べる時には、その証拠となるものを少しずつ少しずつ揃えていくそうです。骨の形をこれまでに知られている種類の化石と比較して、独特の特徴があるかどうか…など色々と調べていき、新種だと分かると「あ、これは新種なんだな〜」と思うそうです。見た瞬間に「これは新種!」と分かって喜ぶという雰囲気ではないのだとか。

そもそも、化石を発見したらどうするのでしょう。佐藤さんによると、化石のスケッチをするそうです。写真を撮りさえすれば良いように思いますが…。

「壊れていることが多いことや、細かい形をしていることが多いので、個々の骨の形を頭に入れる目的があります。写真を撮ると表面の凹凸が分かりづらく、フラッシュを使ったら影ができてしまって、その部分が見づらいことがあります。スケッチをすると、細かい情報を伝えられるし、形などの必要な情報だけを取り出すことができるんです」

やはり、肉眼で確認することが大事とのこと。ちなみに「フタバサウルス・スズキイ」は恐竜ではないそうです。

「首長竜は海に住んでて手足がヒレになってる生き物なんですけど、恐竜は陸にいて四つ脚で体重を支えて歩いていた爬虫類のことなので、同じ爬虫類ではありますが、別のグループなんです」

ちなみに、空を飛んでいるプテラノドンも恐竜ではないとのことです。

佐藤さんは恐竜ひとすじ。子どもの頃に恐竜図鑑ばかりを見ていて、幼稚園の頃には恐竜学者になりたいと思っていたそうです。恐竜を好きになったきっかけを聞いたところ「どこに魅力があるのか分からないけど、昔から好きなんです(笑)」とのこと。お気に入りの、ディプロドクスという恐竜の人形は、今でも研究室に置いてあるそうです。フタバサウルス・スズキイのことも「カレ」と呼んでいたとか。元々は冗談で言ったそうですが、それだけ化石のことばかり考えていたそうです。

また、佐藤さんは「恐竜で福島を応援しようプロジェクト」の発起人でもあります。「福島第一原発の南に広野町というところがあるんですが、ここは昔、恐竜の化石が見つかったんです。それを記念して、町役場に数メートルの大きさのチンタオサウルスの全身骨格模型が展示されてたんですけど、震災で壊れてしまったのでそれを修理することで復興を応援するというものです」。

資金はクラウドファンディングで集められて修復も完成。現在は国立科学博物館で開催中の「恐竜博2016」で展示されているそうですので、足を運んでみてはいかがでしょうか。

【関連サイト】
「JAM THE WORLD」オフィシャルサイト
https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

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